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洞窟のラビリンス [鉱物 (胎内市)]

2016年5月7日の記事で、初めて石切山鉱山(胎内市)のことを取り上げました。
当時はまだ鉱物趣味を始めていなかったので知識がなく、単に洞窟探検に行っただけ。
凝灰岩鉱床なので水晶系の鉱物が見つかる可能性は低いですが、一度再訪してみたいと思っていたのです。
12月27日、櫛形山脈下部はほとんど雪がないことを確認し、今年最後の探検に行ってきました。

その前に、「新潟県地質図説明書」(昭和52年3月発行)に、”中条羽黒山鉱床”についての記述があるので引用します。
『中条羽黒山鉱床は北蒲原郡中条町半山東方の標高100m近くの丘陵にあり、露天掘りにより酸性白土を採掘している。鉱床は流紋岩質凝灰岩が続成作用によって粘土化したものである。この凝灰岩層は北部で層厚を増し、南部へは層厚が低くなる。露天掘りでは上、中、下の3段に区切って採掘が行われているが、下段は主に灰青色の軽石質凝灰角礫岩を主にし、最上部に暗灰色頁岩と黄色粘土の互層で、上段には凝灰岩質頁岩が分布する。』

櫛形山脈に関して、個人的には大いに興味を抱いており、これから少しずつ鉱物探査を続けていきたいと考えています。
なにせ、文献に出てくるのは石切山くらいで、その他の鉱物があるのかどうか、特に水晶系(玉髄など)の脈がどこかにないか、全く情報がありません。
つまり未開拓ゾーン。
夢とロマンを秘めた山域なのです。
さて、凝灰岩を切り出していた石切山ですが、改めて現地に立っている案内板の文章を読むと、大小合わせて10数カ所も洞窟があるといいます。
今は廃道となっている石切場経由の登山道ですが、近年地元の有志たちが登山道を整備し(ただし建前上は立ち入り禁止で、分岐点にトラロープが垂れ下がっていますが)、ヤブが深くなる夏場以外は駐車場からほんの一投足で石切場の3段になっている大洞窟に到達することが可能。
この日もその大洞窟を目指して歩き始めたのですが、歩き始めて数分後、洞窟らしき地形を発見、そこへ行ってみました。

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近づいていみると、露天掘り跡でした。
これら2箇所の穴は入り口こそ狭いものの、奥行きはかなりありました。

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明らかに天然の洞窟ではなく、石を切り出した跡です。
この岩のすぐ上にもさらに大きな岩場があり、行ってみると予想以上に大きな洞窟が出現しました。

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右側の洞窟は垂直方向に10mほど掘られており、下部で右側の洞窟とつながっていました。
この場所は登山道からは死角になっていて見えません。
このあとさらに上部で未知の洞窟を発見したのですが、10数カ所あるということですから、探せばまだまだ見つかることでしょう。

IMG_6538.jpg

左側の洞窟内部。
水没していますが、右側奥に通路があり、次の写真の洞窟とつながっています。

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洞窟前の雪原~といっても2~3cmうっすらと積もっているだけですが~にカモシカかイノシシのものと思われる足跡が残っていました。


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洞窟を出て登山道に戻り、大洞窟へと歩を進めます。
しかし、ほどなく洞窟らしき地形が目に入り、行ってみると大きな洞窟が待ち構えていました。
扇形に横に広がっており、本来の目的地である、もっと上の尾根上にある大洞窟と遜色ない大きさ。
興奮を禁じえませんでした。

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奥の方にはコウモリの糞がうず高く堆積しており、そこにゴミや足跡(獣のそれも含む)は一切見当たりません。
面積が広いので半分くらいしか歩き回っていませんが、残念ながら珪質化した岩は見られず。
それでもところどころ色が着いていた部分があったので、写真に収めました。

IMG_6516.jpg

これがアメジストだったら嬉しいのですが、そう甘くはありません。
部分的に黄色~茶褐色に変色している部分はたくさんありましたが、紫色に変色しているところはここだけ。

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ライトを当てる前からキラキラしているところが何箇所か洞窟内にありました。
銀色に光っている部分は単なる水滴に光が反射していただけだったけど、それとは別に金色にきらめいている部分も少なからずありました。
金色部分はどれも手の届かない高所ばかりだったので正体はわからないのですが、細かいパイライトかもしれません。
これがそうなのですが、写真に写すと黄色味が薄くなってしまいます。

IMG_6524.jpg

アリの巣のような洞窟は、さっきの洞窟もそうでしたが下部に池がありました。
これらの洞窟の探索で時間を食ってしまったので、本来の目的地には行けませんでした。
ぼくのかすかな記憶を辿ると(2016年5月以降、ブログには載せていませんがもう一度だけその大洞窟を訪れたことがあるのです)、メインの大洞窟の近くにも大きな岩場があったと思うので、その岩場にも洞窟があるのではと推測します。
鳥坂山から櫛形山に向かう縦走路沿いにも大きな岩場が出てくるみたいなので(ネットで写真を見ると凝灰岩っぽいですね)、来年は一度櫛形山脈を縦走しないといけません。

※追記:櫛形山脈某所で昭和30年代半ば、放射能異常が観測され、地質調査と試錐調査が行われたようです。
その論文を持っていたのを忘れていたので、改めて読んでみました。
たった4個ではあるが、発見されたウランノジュールを分析すると、燐灰石中に最大0.33%のウランが含まれることが推定されたそうです。
含ウラン燐鉱は国内では非常に珍しく、かつウランの含有量も国内トップクラスで学術的に興味を惹かれるが、たった4個見つかっただけなので経済的な価値があるとは考えられないと結んでいます。
その論文の地図でおおよその場所はわかったので、そこも併せて探査してみたい。
燐灰石は蛍光することが多いので、UVライトは忘れずに持っていかなくては。



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