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間瀬銅山入り口 [鉱物 (弥彦山周辺・間瀬銅山)]

昨年5月、初めて間瀬銅山の坑口が連なっている深ヶ沢を遡行しました。
江戸時代から稼業されていた間瀬銅山、幾つかの鉱区が知られていますが、最も歴史が古く、かつ規模が大きいのが深ヶ沢沿いの坑口群なのです。
それ以来の間瀬銅山だから、1年半ぶりの訪問。
ただし、今回は坑口探しが目的ではなく、鉱山集落があったあたりの河原の転石を調べるのと、深ヶ沢の出合付近の地形を再度確かめるのが目的。

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不動明王が藪の中に埋もれているあたりの河原で、何やらプレハブの建物の残骸が斜面に散らばっているのを発見。
よく見ると背後の岩場の上部がえぐれているので、露天掘りが行われていたのかもしれません。
念の為そこまでよじ登って、ライトで中を照らし出してみました。
奥行きはごく浅かったですが、間違いなく露天掘りの跡でした。


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深ヶ沢の合流点の近くに堰堤があります。
林道のどん詰まりにある駐車場の近くにも堰堤がありますが、この堰堤はそこよりやや上流側にあるのです。
本流筋に当たる真川(=宝川)を詰めていくと途中小さな滝があり、そこで行き止まりになります。
つまり、沢沿いにこの堰堤の下へ行くには高巻きが必要となるのです。
なので、もっとラクに降りられそうなところがこの付近にないか、今日は時間がなくて探せませんでしたが、次回は新しいルートを見つけてこの堰堤の下へダイレクトに行ってみたい思います。
このえぐれた岩場も露天掘り跡でしょうか?
先人の取りこぼしがあったら嬉しいなあ。


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そして、深ヶ沢下流部。
ここで5~6cmほどの方解石を見つけ、持ち帰りました。

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本流筋に当たる真川では、このように緑青が付着している石をかなり見かけました。
その中ではこの石が最も大きく(20cmくらい)、色も鮮やかでした。
右側には赤茶色をしている銅が見られます。
裏側には小さな黄鉄鉱も付いていました。

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同じく、真川の河原で見つけた方解石。
やはり小さな黄鉄鉱や黄銅鉱も付いています。
サイズはこぶし大くらい。
あとで持ち帰ろうと思っていったんはスルーしたのだけど、帰りにピックアップするのを忘れてしまいました。

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これが唯一持ち帰った小さな方解石。
マンガンを含んでいるようで、長波(365nm)のUVライトを当てたら見事なサーモンピンクに蛍光しました。

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裏面。
やはり金属(黄銅鉱)の部分は真っ黒になりますね。
明るい水色に蛍光している部分はどんな鉱物なのだろう?

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四面体の結晶は黄鉄鉱(パイライト)。
黄銅鉱と同居しています。
鉱物の小宇宙を机上で探検していると、1時間なんてあっと言う間です。



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五頭の玉髄シリーズその2 [鉱物(阿賀野市)]

27日、最初加治川治水ダムの奥にある飯豊鉱山へ行こうとしたのだけど、スノーシェードが10月31日まで工事中だとかで、日曜祝日以外の平日は琴沢橋から先が通行止めになっていました。
次に馬ノ髪山へ向かいました。
この山は三川鉱山に隣接しており、登山道は最初の30分ほど増谷沢沿いに付けられております。
そのまま増谷沢の源流を目指せば、何かおいしい鉱物に巡り会えるのではないかと。
しかし、上綱木の林道の入り口から通行止め。
災害復旧工事のためとのこと。
仕方ないので、もう一度表五頭の小沢へ行きました。
実はこの小沢、途中で二手に分かれており、まだ1回しか遡行したことのないもう片方の沢はボサがひどく、木の枝が沢を覆い尽くしている区間が多いので今までは避けていました。
今回、その沢の源頭部を主体に探索。
もちろん源頭部を訪れるのは初めてです。

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EOS M6 Mark II + EF-M 18-150mm F3.5-6.3 IS STM (共通)

源頭部はスッキリしています。
こんなところにも玉髄が転がっているのです。
しかしながら、先日訪れた沢よりは玉髄の数は少なく、1/4くらいしかなかったです。

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河原に落ちている玉髄は少なかったけど、代わりに小さな落ち込みの岩の半分以上が分厚い玉髄で構成されている場所を発見。
周辺部の土をかき分け砂利をどかし、掘り起こそうとしてみたのですがビクともしません。
大きな岩盤の一部が露出しているようでした。

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その近くで30cmくらいの大きな玉髄を発見。
2m四方の河原にはメノウや玉髄が散乱しており、それらを1箇所に集めて記念写真。
今回持ち帰った石はありません。
このままのカタチで現地にあります。

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右上のメノウ部分を拡大。
このような板状のメノウは結構見かけました。

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2枚めの写真と同じ場所です。
幅20cmほどの玉髄の岩盤の上を水が流れています。

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先日アップしたアメジストの写真の岩は、沢から4~5m離れた土手の上にありました。
この沢でも同様に、沢を少し上がった斜面に散在している岩を、逐一玉髄脈が出ていないかチェック。
結果、このようにラベンダーカラーの玉髄が付いている岩を二つ発見。
それ以外にも色々と写真を撮ったのだけど、うっかりして手ブレ補正をオフにしたままで撮っていたのでブレブレ写真を量産してしまいました。
EF-Mマウントのレンズは手ブレ補正スイッチがレンズの鏡筒に付いておらず、カメラ側でオンオフを切り替えなければならないんです。
キャノン機は他社のカメラより全般に操作性がこなれていると思うのですが、この点だけはいただけません。





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五頭山麓のアメジスト [鉱物(阿賀野市)]

昨年何回か、表五頭のとある小沢を遡行(というほど大袈裟なものじゃないけど)しました。
そこは意外や意外、玉髄の宝庫で、板状のそれだけでなく、犬歯状の大きめサイズ(10~15cm)のクラスターも多数見られました。
その沢の下流部は今年の春、初めて行ってみたのだけど、ヤブがひどくてあまりじっくり水晶探しをすることができませんでした。
今日(26日)、今年始めてその小沢の源頭部を訪問。

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部分的に伏流水になっています。
それにしてもこのドラム缶、どこからやってきたのだろう?

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今年の7月は阿賀野市の山間部でもかなり雨が降ったはず。
なので、新たに水晶を含む鉱物が山肌から沢筋に流れてきたのではないかと。
そのような甘い期待を抱いての遡行でしたが、ほとんど地形や植生は変わっておらず、露頭では真新しい石は発見できず。
しかしながら、今回は懐中電灯を持っていったので、そいつでちょっとした落ち込みの裏にできている岩陰を照らしみたら運良くキラキラ輝く玉髄を発見。
窮屈な体勢で腕を伸ばしてなんとかゲット。
それがこれです。
沢筋で見られる玉髄はどれ多かれ少なかれ摩耗しているのが残念ですが、それでもここ2年間で採集した犬歯状の水晶の中では最も結晶の粒が大きかったです。
横幅14cm、質量710g。
ただ、この沢で見られる玉髄はどれも無色で、なかなか色の付いたそれにはお目にかかれません。
せいぜい、部分的に黄褐色になっているぐらい。
365nmのUVライトを照射してみると、ほんのり蛍光しました。
五頭山録で見られる玉髄は蛍光するものが多いですね。
部分的にピンクに蛍光しているところがありますが、どんな成分が反応しているのだろう?
ピンクは初めてです。

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クローズアップさせてみました。
いろんな面をマクロレンズで撮りましたが、どこも等しく摩耗している。
柱状のポイントの発達も散見されますが、先端部が折れていたり、激しく摩耗しているものがほとんど。

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さて、今回の一番の収穫は、こんな絵に書いたようなパステルカラーの紫が鮮やかなアメジストが付いている岩を見つけたこと。
沢の左岸の土手に鎮座していた、80cmほどの岩の裂け目にアメジストが見られました。
昨年裏五頭の某所でこのようなクラスターを幾つか見つけましたが、それらもこいつも母岩が大きく硬いので、お持ち帰りはできません。
見るだけです。

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紫部分の結晶の横幅、5cmくらいでしょうか。

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下側は無色ですが、わずかに黄色味がかっている部分もあります。
実はこのあと落ち込み近くの岩場でも類似の結晶を見つけたのですが(色はこれほど鮮やかではありませんでしたが)、そのとき既に軍手が泥だらけになっていたので写真は撮りませんでした。
五頭と言ったら綱木の伝説のアメジストが有名ですが、確かに五頭山系の沢筋ではどこも玉髄がそこそこ見られると思います。
二王子岳や奥胎内ではこうはいきません。
まだまだ五頭山系の沢もごく一部しか探索していませんが、この小沢のように川幅が70cmしかない無名の沢にむしろ立派な玉髄が転がっているようです。
と言いつつ、中ノ沢の三階滝沢とか有名どころの沢も近々行ってみようと思っているのですが。






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焼峰山に昇るオリオン [星景写真(新発田市)]

10月20日、最初はいつもの二王子山麓、長峰原の丘へ向かいました。
まだオリオン座は昇ってきていなかったけど、なにせ久々の星空なので取りあえず二王子岳をバックに広角レンズで星景写真を撮りました。
しかし、なんだか眠い空。
写りを見ると、いつになく緑被りがひどいような。
結局、自宅で画像処理してみるとやはり被りが過去最大級で補正しきれないので、その写真はボツに。
山麓の外灯がどんどんLED灯に置き換えられてきましたが、その影響でしょう。
早めにこの場所は切り上げ、次なる場所へ移動。

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EOS R改 + RF15-35mm F2.8L IS (17mm)

こちらも内の倉ダムのダムサイトを照らし出している強力なライトと、中々山や赤谷の光害が年々きつくなってきていますが、長峰原から見る二王子岳よりはマシ。
オリオンの真下にあるピークが焼峰山(1085m)です。多分。
さすがにやや眠い空での固定撮影ではバーナードループは写りませんね。
次回はじっくり追尾撮影してみたいものです。

IMGC0447_0456p.jpg

同じ場所から背後の空~阿賀野市や新潟市方面の光害バック~を焦点距離20mmで撮影。
こちらはレンズを向けた方向の至近距離に集落がないため、緑被りが出ませんでした。
相対的な明るさは明るいんだけど、画像処理はラク。
意外な発見。




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謎の鉱物、その後 [鉱物 (村上市)]

20日、もう一度旧山北町の謎の坑口を訪れました。
「ミックンのつぶやき」の超抜粋シリーズに、笹川鉱山(山北村・勝木)の名前が載っていましたが、ひょっとしてこれかな?
引用します。
「花崗岩中の鉱脈10数条、走向E-W、傾斜Nのものが多く、他に走向N-S、脈幅0.1~。鉱石:黄銅鉱、黄鉄鉱」
1955年現在、中外鉱業(株)によって探鉱中だそうです。
もともとの脈幅が小さいのと、ほぼ採り尽くしたであろうことから、今回も黄銅鉱や黄鉄鉱の存在は確認することができませんでした。
例のやや透明度が感じられる斑晶を含む部分を削ってみると、次の写真のように花崗岩的な断面が現れます。

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数カ所、比較的もろい部分をカットしてみましたが、どれも同じ断面が現れました。
これら灰色の斑晶を含む岩石は、花崗閃緑岩か斑れい岩だと思います。
これらの花崗岩類と安山岩がせめぎあっているのがこの鉱山の地質の特徴。
このようにカットして露出した新鮮な断面にUVライト(365nm)を照射すると青紫に蛍光するのですが、地層の表面は汚れているのでほとんどが擬似蛍光。
かなり近くから照射してやっと暗紫色に蛍光しているのに気づく程度。
ですから2mも離れた地点から照射すると疑似蛍光ばかりになるのですが、面白いから実験してみました。


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3枚目の写真の左側には、薄い紫に蛍光する斑晶が多数写っています。
これは稀な例だったのですが。

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洞窟中程にリアカーの残骸。
あと、洞窟内には鍾乳石も見られました。
笹川流れには鍾乳洞が幾つかありますが、それらの鍾乳洞と同じく、曹灰長石が風化してできたものだと思います。
さて、家に持ち帰った2つの鉱石と現地で観察した結果をまとめると、ここで見られた鉱物は輝水鉛鉱、黒雲母、長石類(カリ長石・斜長石・アルカリ長石、曹長石など)、石英、方解石などでした。
前回よりさらに大きい斑晶からなる鉱石をゲットしたので、帰宅後、UVライトで蛍光実験。

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横幅11cm、質量440g。
EOS80D + EF100mm F2.8L IS MACRO USM 

たわしでゴシゴシこすって洗浄しただけですが、随分きれいになりました。
結果、現地でUVライトを当てたときよりビビッドに蛍光するようになりました。
基本、蛍光している部分は斜長石なのですが、これだけひとつひとつの斑晶が大きいと見ごたえがあります。
これは美しい・・・

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側面です。
こちらはわずかに赤みが交じる薄い紫です。

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ラストの写真ですが、中央の上寄りに透明な結晶が見られます。
石英です。その左側にもやや暗めの石英。
それらの部分はUVライトに反応しませんでした。






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謎の坑口、謎の鉱物 [鉱物 (村上市)]

偶然、旧山北町で謎の坑口を見つけました。
いろいろ調べたのですが、その場所には、例えば通産省所管の地質調査所が平成11年に発行している村上・地質図にも鉱山マークの記載はないし(休廃止鉱山がたくさん記載されている)、昭和62年発行の新潟県地質図説明書にも記載がありません。
尚、ここは大府鉱山(村上市堀ノ内)ではないので念の為。

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坑道の奥行き30~35m。
入り口は狭い(といっても、背を屈めずに入れる)ですが、中の空間は広く、天井は一番高いところで7~8mはありそうです。
上の写真は最奥部。

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これは天井。
右側にはテラス状となっている部分があり、そこにはハシゴを使わないと侵入できません。
地面には錆びたレンチのようなものや、朽ちた木製のハシゴかなんかの残骸、茶碗やレトロな形のガラス瓶がたくさん入口付近に散乱していました。
上記の地質図によると、このあたりは(笹川流れ全般に見られる)黒雲母花崗岩に隣接して、安山岩溶岩及び火砕岩となっています。
確かに坑道内は安山岩がメインだとは思いますが、複数の地層が混在しているような気が・・・
それにしても、何を採掘していたのでしょう?
少なくとも、亜炭でないことは確か。
笹川流れ山脈(ぼくが命名)では、葡萄鉱山と並び、鍋倉鉱山が最も規模が大きかったようですが、鍋倉では灰重石、鉄マンガン重石などのタングステン鉱石を採掘していました。
近隣の共立鉱山では黄銅鉱やモリブデン鉱石(輝水鉛鉱など)、鷺沢鉱山ではモリブデン鉱石を採掘していたようです。
ざっと壁面を観察してみると、ところどころ半透明なグレーの鉱物が析出しているのが目に付きました。

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ハンマーを持っていなかったので、もろそうな所はないかと片っ端から突起をわしづかみしていたら、運良くベリッとこぶし大より一回り大きな石がベリッと剥がれてくれたのでそれをお持ち帰り。
帰宅後、ルーペでじっくり観察したり、UVライトを当ててみたり・・・

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おお、なんか紫に蛍光している部分があります。

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こちらは反対側。
やはり紫に蛍光している部分がある!
あと、肌色に蛍光しているところや、青白く蛍光しているところ、ピンクに蛍光しているところもある。
今度はもっと近接して撮ってみました。

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同じ質感、色合いの結晶なのに、紫に蛍光する部分とそうでない部分とがあります。
こういう結晶群は初めて見ました。
ただし、蛍光度合いは弱め。
手持ちの石の中では、斜長石がこれと同じ色合いに蛍光します。
ということは斜長石?

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肌色に光っている部分も気になります。
石のあちこちをルーペで観察したり、写真をピクセル等倍で観察した結果、黒い粒子は黒雲母で、ところどころ輝水鉛鉱が混じっているようです。
黄鉄鉱や黄銅鉱は皆無。
長石系は肉眼での判別は難しいものが多いのですが、カリ長石、斜長石、アルカリ長石が見られました。
今度行く時は長波(365nm)のUVライトを持っていって、壁面を照射してみなければ。

補足:調べている過程で、去年から疑問に思っていた謎が一つ解けました。
どうも村上市管内のどこかの鉱山で蛍石が少量ながらも採れていたみたいなのですが、それがどこかわからなかったのです。
その場所がわかりました。
鍋倉鉱山です。
ヤブが思い切り深いようなので、早春といえど現地にたどり着くのは困難かもしれません。
でも、一度は行ってみなければ。




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楢山の玉髄 [鉱物 (阿賀町) 楢山]

11日、9日に引き続いて楢山(阿賀町)へ行ってきました。
前回訪れた際、大きな岩場を2箇所発見し、そのうちの1箇所を探検しました。
今回は残る1箇所の岩場をざっと見てみるのと(晶洞がないか、岩壁の下部にクラスターが埋もれてないか・・・)、隣接する小沢を遡行してみるのが目的でした。

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最初に目指したのは、前回より右側に位置する大岩壁。
取り付きに辿り着く前に、こんな岩場が出現。
五頭の中ノ沢森林公園へ行くとこんな風景が頻繁に見られますが、ここでは残念ながら犬歯状の玉髄は見られず。
ただし、岩の表面はわりと珪質になっている部分が多く、のちのち期待を抱かせてくれました。

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その近くの岩。
もこもこしていますね。
真珠岩や松脂岩に分類されるであろう岩がたくさん山中にありました。

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そして、ここが屏風岩。
ただし、ぼくが勝手に付けたネーミングです。
岩場の付け根を30mくらいトラバースしたところで谷が現れ、傾斜が50度を超えたのでそこでUターン。
風化の度合いが少なく、割れ目などもなし。
早々と見切りをつけ、小沢の遡行に切り替えました。

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この沢が面白かった!
ここはスラブ上の小滝の直下なのですが、ここから先に進むにはザイルがないと危険なので、ここで引き返しました。
すぐ右手に大きな倒木があり、側壁が露出していました。

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粘土に埋もれて楢山特有の球顆がたくさんあり、中には割らずとも既に半透明な玉髄が露出していたり。

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結局、この小滝の落ち込みの河原が最もすごかったです。
林道脇に落ちている球顆や真珠岩より、さらに雰囲気的に上質っぽいそれが凝集しており、かなり興奮してしまいました。

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幾つかハンマーで割ってみたら、青みがかったグレーの、蛋白石ライクな玉髄が現れました。
大蕎麦谷沢を遡行しても、なかなかこぶし大より大きなサイズの球顆はゲットできないと思いますが、ここではこぶし大が平均サイズ。
さらに一回り大きな石もごろごろしています。

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いくつか持ち帰った中のひとつ。
水で湿らせて撮影しています。

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これが今回のお宝です。
玉髄部分の厚みだけで4cmあり、石全体では12X9X5cm、質量865g。
実はもっと原石は大きかったのですが、現地で整形し、一回り小さくしてから持ち帰りました。

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反対側の面。
黄色い部分も結晶です。
たわしでごしごし洗った後なので、表面がぷにぷにしているとかそういうことはありません。

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楢山産の玉髄に限らず、蛋白石ライクな玉髄はほとんどが蛍光します。
稀に暖色っぽい白に蛍光するものもありますが、楢山のそれは寒色系の白に蛍光するものが多いようです。
365nmのUVライト使用。



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大谷沢、鍵取、そして楢山・・・ [鉱物 (阿賀町)]

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上の図は「蛍石及蛍石鉱床」門田重行著(S18年刊)のものです。
蛍石鉱床といえば五十島蛍石鉱山が有名ですが、阿賀町には他にも2箇所、蛍石を採掘していた場所があったのです。
ひとつは鍋倉山(1107m)北部、谷沢川源頭の鍋倉鉱床、もうひとつは早出川支流、容ヶ谷沢源頭部の室谷鉱床。
どちらも思い切り秘境に位置し、日帰りは不可能。
しかも五十島鉱山同様、一帯はヤマビルの生息地ですから、沢登り&登山のエキスパートでなおかつ度胸がないと行くことができません。
さて上褐の本によると、鍋倉鉱床の露頭は標高750m付近にあり、そこから鍋倉山のすぐ南の小ピーク・大峰(929m)まで人力で運び、そこから麓の選鉱場まで空中索道で鉱石を運搬した、とあります。
選鉱場がどこにあったのかは書いてありませんが、地理的に鍵取集落付近にあったと考えるのが妥当かと思います。
鍵取集落は令和2年現在4戸しか住宅がありませんが、昔は一段低い河岸段丘に集落があり、19戸ほど住宅が建っていました(S32年当時)。
グーグルアースで見ると、当時の地形が手にとるようにわかります。
しかしながら、それでも選鉱場がどこにあったのかは空中写真からはわかりません。
取りあえず、鈎取集落脇を流れる大谷沢を詰めていけばヒントが掴めるかもと思い、大谷沢の河原へ行ってみました。

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左岸に小道があり、簡単に河原へ降り立つことができました。
結局、新大谷沢橋直下から500mほど遡行したのですが、渓相は終始こんな感じで非常に歩きやすかったです。
途中400m地点まで左岸に踏み跡が残っていましたが、その先はヤブに埋もれていました。
鍋倉鉱床の地質ですが、くだんの本によると上部古生層と花崗岩から構成され、古生層は主に珪岩、結晶質石灰岩、粘板岩、角岩、硬砂岩からなる。
確かに河原は粒が大きめの花崗岩が多かったです。
あと、結晶質石灰岩と石灰岩も普通に見られました。

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非常に結晶が大きい(最大1cmほど)結晶質石灰岩があったので、写真を撮ってみました。
なにげにポケットにUVライトを忍ばせ、これは?と思う石を見かけたらライトを当ててみようと思っていたのですが、残念ながら蛍石っぽい石は見かけず。
こちらは鍋倉山の南斜面ですから、なくて当たり前なんですが。
鍋倉鉱床も室谷鉱床も坑道掘りはしておらず、もっぱら露頭から採掘していたようです。
例の文献によると、鍋倉の蛍石は石灰岩中に交代鉱床をなすことが多いとの由。
蛍石は大塊状をなして不規則に存在するが、石灰岩中の割れ目や裂け目を充填する細長い網状脈として存在することもある(後者のタイプの原石を今年の春、五十母川の上流で見つけました)。
鍋倉の蛍石は、普通白色ないしは淡青色をしており、透明度の高いものが多く、品質は極めて優良であるとのこと。
う~ん、非常にそそられるのですが、今回は初見なので適当なところで引き返した次第。

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あるサイトに、鍵取分校跡推定地の写真が載っていたので、その場所へ来てみました。
かなり広範囲に渡って盛り土がされており、おそらくはこれらの土砂は外部から持ち込まれたものではなくネイティブ産だろうから、ここの石ころをざっと検分してみました。

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ほどなく、こんな岩石(80cm四方)を発見。
拡大します。

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蛋白石や玉髄が見られました。
表面を研磨すれば、水石や庭石にいいかもしれません。
残念ながらここでも蛍石は見つけることができなかったですが。

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最後に立ち寄ったのが、蛋白石で知られる楢山。
約1年半ぶりの訪問です。
災害復旧工事で林道が橋を渡ったところから通行止めになっていたので、広場に車を停め、そこからハイキング。
昨年は見かけなかった、玉髄の球果を含む手頃なサイズの真珠岩が結構林道脇に転がっていました。
時間がなかったので割ってみたのは1個だけ。それが上の写真。
現地でちょこっと水を付けてから撮影しました。
やはり水で濡らすと美しさが倍増しますね。
サイズも小さいし、色もこの地では一般的な灰色だけど、周辺部が黄色味がかっているのがいい。

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林道歩きを早めに切り上げ、近くの山中の岩場を探検。
岩場の取り付きまで傾斜は割と緩やかだったので危険はありませんでした。
岩壁に沿って30mほどトラバースしてみたけれど、落ち葉の堆積が厚く、また岩の下部はびっしりと苔に覆われており、クラックの有無がわかりません。
右奥にもさらに大きな岩場を見つけたので、今度じっくり水晶(=玉髄&蛋白石)探しをしてみたいと思います。


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