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千石鉱山を極める [鉱物 (新発田市・千石鉱山)]

15日、新発田市の千石鉱山を探検してきました。
これで2回目なのですが、1回目は最初の坑口にたどり着くのが精一杯で、その後道を間違えたせいもあり、広大な露天掘り跡を見つけることができませんでした。
なので、今回の目標は次の通り。

a.露天掘り跡を見つける
b.火薬庫跡を見つける
c.索道関係の遺構を見つける

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まず、索道のものと思われるワイヤーを発見。
ところが、ワイヤーの伸びている方向が予想外であり、その解明はまたの機会に。
尚、この沢の上流に鉱山があるのではなく、鉱山跡はこの河原のちょっと手前で分岐している小沢の上流に位置しています。

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分岐点から100mくらいはボサが被っており鬱陶しいですが、そこを過ぎるとあとはこのような歩きやすい渓相が続きます。
珪石もこの辺りから目立って多くなります。

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2年ぶりに坑口へやってきました。
間口は意外と大きく、迫力があります。

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おそらく10m先で、坑道は右に折れているように思います。
画像処理で明るく加工していますが、普通のライトを照らしたところでここまでディテールは浮かび上がってきません。
本能的に怖かったので、中へは今回も侵入しませんでした。

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坑口入り口上部。
一見、胎内市の某水晶鉱山の壁面に似ていますが、こちらはどこを見ても不透明な白ばかりで、半透明な石英が見当たりません。

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この坑口から沢を20mほど進み、そこから左手方向へ踏み跡の痕跡を見つけたので辿ってみました。
ほどなく高さ7~8mの岩場が現れ、念願の露天掘り跡へ到着です。

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穴が2つありました。
真上から撮っているのですが、左のそれは間口が1mくらいあります。
中へ入るつもりでライトを取り出したら、なんと接触が悪いのか点灯しません。
なので、内部の探検(これが最もやりたかったことなのですが)はまたの機会に。

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このズリの向こうには何もありませんでした。
鉱山はここまでのようです。

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景色でもどうぞ。
・・・これを言ってみたかった。わかる人にはわかる(笑)。

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珪岩の小滝。

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帰りに、なんと水晶のクラスター(質量605g)を河原で見つけました。
まさかこのように犬歯状の結晶に覆われた石を見つけるとは・・・
結晶は摩耗しているし、透明度もあまりありませんが、予期していなかっただけに嬉しいです。
足元の転石はもちろん、小滝の側壁や落ち込みなど、水晶と呼べそうな石がないか歩いてきたのですが、まさかまさかです。

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これだけ家に持ち帰り、タワシで洗ったあとマクロレンズで拡大撮影。
よく見ると、比較的透明度の高い結晶もあるようです。

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火薬庫は思わぬところにありました。
てっきり露天掘り跡の近くと思い込んでおり、そこから苦労して一段下の斜面も歩き回ったりしたのですが、火薬庫は沢沿いの河岸段丘にひっそりと佇んでいました。
2つあり、右側のそれには鉄の扉が付いています。

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その内部。

この周辺には人工的な地形が幾つか見られ、石垣などもありました。












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千石鉱山遠望 [鉱物 (新発田市・千石鉱山)]

新発田市には、珪石を採掘していた場所が二箇所あります。
昭和52年版「新潟県地質図説明書」にそれらの概要が記述されているのですが、これらの鉱床はあまり大きくなかったようです。
最大で10m、延長50m程度で、約10鉱体が確認されているとのこと。
ここで取れる珪石は鉱物学的に言うと、実川型花崗閃緑岩の貫入に伴って生成された古生層中の石英脈だそうです。
鉱石(珪石)はフェロシリコン(鉄と大量のケイ素の合金)を作るために使われたのですが、現在日本国内での精錬は行われておらず、すべて中国もしくはブラジルから輸入しています。
昨年なんとか千石鉱山の坑口までたどり着いたのですが、勘違いで鉱床は縦に広がっているものと思い込んでいたためすぐ行き詰まってしまい、撤収せざるを得ませんでした。
鉱床は横に広がっているらしかったので、ひょっとしたら今の時期なら双眼鏡で鉱床の全体像がわかるかもしれないと思い、復習がてら雪化粧しかけた二王子山麓へ。

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あれです!
思ったよりハッキリとそれらしい地形が見えたので感動。
やっぱり鉱床は横長でした。
ただし、双眼鏡で眺めてもブッシュが密生しているため、本来の岩肌のディテールがわかりません。
それではといったん家に戻り、超望遠ズームレンズをカメラに装着。
すぐさま現場へ舞い戻り、35mm換算で960mmとなる焦点距離で写してみました。

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うっすらと露天掘りの跡と思わしき地形が確認できます。
端から端まで50~60mくらいでしょうか。
だとすると、地質図説明書の記述内容とも合致します。
現場には火薬庫跡が残っているのですが、そこまでなんとか足を伸ばしてみたい。
ぼくが昨年Uターンした地点も双眼鏡で眺めるとピンポイントでわかったので、次回は千石鉱山の全容を写真に収めることができそうです。

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帰りに、沢へ降りるもっとラクな場所はないか、左岸を100m弱歩いてみました。
昨年はちょっと藪こぎしてから沢へ出たので、藪こぎしなくてもいいルートを探したのです。
これは難なくショートカットのルートを見つけることができました。
そのルートを取ると、この河原へ出ます。
水量は思ったより多く、水勢もそこそこあります。
普通の長靴ではちょっと厳しいかも。
沢通しに歩くには、太ももまでカバーするヒップウェーダーが必要かな、足を濡らしたくないなら。
さて、千石鉱山はこの沢の支流沿いにあります。
ここから4~5分で二股に出るのですが、そこを左側の沢に入り(右側の沢のほうが水流が多い)、詰めていけば水が枯れかけた頃、突如大きな坑口が右岸に現れます。
昨年の印象だと、二股までは河原に石英はあまり見なかったと記憶しているのですが、やはり転石が少ないため、石英らしき石はあまり見かけませんでした。

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水底はおおむね砂が堆積しており、パイライトの細かい粒粒でキラキラしていました。

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ちょっと水垢が付いていてあまり美しくはないですが、一応石英です。
二股から上流へ行けば、このような石英がゴロゴロ出てきます。
今回は普通の長靴しか持ってきていなかったので、二股までは行かず、新たな下降地点をチェックしたらすぐ現場を離れました。
探せば、黄鉄鉱の脈もあるのかもしれませんね。
全ては3月以降のお楽しみです。




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新発田の千石鉱山 [鉱物 (新発田市・千石鉱山)]

1週間くらい前から新発田のどこかの山中にあった千石鉱山のことを調べているのだけど、事態は急展開をみました。
こないだ胎内市のクレーンストーン博士の館を訪れた際、壁に貼ってあった新潟県地質図の写真を撮ったことを思いだし、その写真を調べてみました。
すると、2010年版のそれとは違う二王子山麓の位置に、鉱山マークが記載されているのです。
こちらの地質図は平成10年版、つまり1998年発行です。
歴史図書館から借りてきた1962年版の新潟県地質図説明書には、各休廃鉱山のある集落名が書かれているのですが、改めて集落名と鉱山マークを照合してみたら、2010年版の地質図は高知山鉱山であり、1998年版のそれは千石鉱山である可能性が高いことが判明しました。
次の問題は場所の特定です。
その地質図は縮尺が1/20万なので、極めて大雑把。
でも、なんとか1/2.5万の地形図上でここかなあと場所を特定しました。
自信度70%。
こうなるといても立ってもいられず、11日押っ取り刀で駆けつけてみた次第。
二王子山麓はほとんど全域、山菜採りやなんやかやで全ての林道を走破ないし踏破しているし、踏み跡だけの道もかなり歩いています。
そして、今回ここかなと狙いを付けた地点は、やはり以前その沢の出会い付近まで歩いたことのある場所。

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沢に降りたってすぐ、左手の支沢に入ります(写真ではわかりにくいですが、ここで沢は二手に分かれいます)。

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支沢は水量も少なく、そこそこ歩きやすいです。
歩き始めてすぐ、写真のような大きな石英(珪石)があちこちに転がっていることに気づきました。
間違いありません。
千石鉱山では珪石を採取していたので、この小沢が坑口につながっているに違いないと確信しました。

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1/2.5万地形図では、小沢に入ってから標高差にして60~70mも登るとある地形を示す記号が現れるので、その辺かなと思っていたのですが、なかなか坑口らしきものが見えてきません。
やがて沢の水はほとんど涸れ、沢は傾斜を増し、これ以上は無理なんじゃないかと思い始めた頃、坑口は現れました。

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内部は1m先から水没しています。
先人の探検記?によると、サンショウウオの卵があったと書いてあるのですが、水辺には近づいていないので、そこまでは確認できませんでした(というか、その時点でヘロヘロだったので、中へ入ってみたい欲求は起きなかった)。

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入り口の壁です。
石英脈が露出しています。
ところで、この坑口周辺だけでなく、ここに至る沢沿いで見られる石英は全部不透明な白いものばかりでした。
たまに灰色がかったものもありますが、透明~半透明のものはひとつも見つけることができませんでした。
もちろん透明なポイントも無し。
岩の隙間の粘土を掘ってみても、石英しか出てきません。
ただ、個人的には純白の水晶(石英)は好きです。
これらが全部アゼツライトの原石だと思えば(アゼツライトは半透明なものより純白度の高いものの方が値段が高い)、まったく不満はありません。

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さて、先人の記録によると、この上にもっと坑口が控えていると書いてあったのを思い出し、沢をさらに詰めていきました。
しかしながらここから先は傾斜が増し、ぼくの臨界点を間もなく超えました。
標高差にして20mほど登ったところでUターン。
最初の坑口からはひたすら腕力登りが続き、ザイルを持って来ていないのでこれ以上進むと下降に危険を伴うと思ったからです。
帰宅後先人の記録を読み返してみたら、西側に露天掘り跡が出てくるので、そこから西へ西へと向かったとあります。
そこは覚えていませんでした。
先人の探検記には火薬庫の写真まで載っているのですが、とてもそこまで探索する心の余裕も体力の余裕もなかったので、ぼくは上部の坑口に到達できないまま引き返しました。
それにしても、この先人氏~鉄人M君~はスゴイ。
もっとも、かつてこの鉱山で働いていた人も超人ですけどね。
ぼくは廃坑マニアというわけではありません。
天然石のあるダイナミックな風景をこの目で見たいというのが、今年になってから始めた鉱物ウォーキングの動機です。
その観点からすると、今回は十二分に満足しました。
目的地に辿り着いただけでも奇跡のようなものです。
これからも無理をすることなく、鉱物ウォーキングを続けていきたいと思います。

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(引き返した地点からの風景。)

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