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塩野町鉱山の主坑道発見! [鉱物 (村上市・塩野町鉱山)]

2年ぶりに塩野町鉱山(村上市)へやって来ました。
昭和20年前後から昭和34~35年にかけて稼行された鉱山です。
採掘対象となった鉱物はタングステンとモリブデン。
輝水鉛鉱、鉄マンガン重石が主体で、昭和28年の生産実績は、重石精鉱200kg(W65%)、水鉛精鉱200kg(Mo85%)と報告されております。
三段の石垣から成る選鉱場が残っているのですが、8月の大雨のあと、何らかの悪影響がなかったのか心配で来てみた次第。

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来てみて我が目を疑いました。
なんと、橋が流されており、その先の林道も25~30mほど消失しています。
林間もすごいことになっており、これほどまでにズタズタになっているとは。
すぐお隣の、10月下旬に板屋越鉱床の痕跡を探しに出向いた沢はそれほど荒れてなかったのとは対照的。

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幸い、選鉱場はまだ残っていました。
周囲の林間は土砂の流入により、どこもかしこも砂だらけ、石だらけ(ほとんどは岩船花崗岩に属する斑状(斑晶)花崗岩。

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採掘跡は選鉱場の左側に連続して出てくるのだけど、選鉱場前の広場や林間では見られなかった、この鉱山の鉱石の特徴である白雲母をまとった石があちこちに出てくるようになります。

「早稲田里山の自然と歴史」(2018年3月)からの抜粋です。
『地質:岩船花崗岩に属する斑状花崗岩が主に分布し、これを東西方向に貫いて含ざくろ石両雲母花崗岩が貫入している。
鉱床:含ざくろ石両雲母花崗岩中のアプライト質部の一部がポケット状に白雲母・ざくろ石によって交代され、その中に輝水鉛鉱・鉄マンガン重石が鉱染したグライゼン鉱床で、脈幅1m、走行長50m、傾斜長10mの3鉱体が知られている。
脈石鉱物:白雲母、ざくろ石、石英。』

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2020/11/06に訪れた時と同じような鉱石しか見つかりませんでした。
白い部分は石英。
ルーペで見ると、細かいざくろ石が稀に見受けられます。
前回1.5~2mm程度のざくろ石しか見つけることができなかったので、それより大きい結晶を見つけたかったけど、途中から雨が降ってきたので撤退せざるをえず、現地には40分しかいませんでした。
なので、5mm以上の大きなざくろ石探しは来年に持ち越しです。

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下越でこれほど白雲母が簡単に見つかる場所を、ぼくは他に知りません。

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今回は坑口探しが目的ではなかったのですが、偶然新たな坑口を見つけてしまいました。
家に帰ってからさきの文献に載っている(P110)図5の写真と比べてみたら、同じ坑口であることがわかりました。
ちょっと感動。
今まで見つけた2つの坑口は、いずれも入り口が崩落しており中へ入れないのです。
こちらは大丈夫そうです。
しかも長そう・・・

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支保工が一部まだ残っています。
天井も決して低くはありません。

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坑道は途中で二股に分かれるようです。
コウモリの糞の堆積がすごい。

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左手の坑道の風景。
生々しい・・・

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こちらは右手の坑道。
左側の坑道より気持ち長いです。

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一応行けるところまで行ってみましたが、突き当りが終点でした。

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左側の坑道も、通せんぼをしている支保工の間をすり抜け、その奥を目指しました。
ここが終点です。
両端に支保工と思われる棒が突き刺さっています。
おそらく坑道はこの先も続いており、自然崩落で塞がってしまったのでしょう。

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坑道の壁に埋もれていた空き缶。
鉄パイプなどではなく、明らかに空き缶でした。
缶詰か何か?これは古そう。
この坑口へ来るまでに2つの坑口(どちらも埋没)を通り過ぎます。
例の郷土資料によると、鉱体数は3ということなので、これ以上坑口はないものと思われます。






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白雲母の世界 [鉱物 (村上市・塩野町鉱山)]

7日、図書館へ行き、見落とした箇所がないか改めて「早稲田里山の自然と歴史」(早稲田里山研究会編)を精読。
ぼくがコピーして持ち帰ったのはp2の地図なのですが、p13にも採掘跡を記した地図が載っており、その地図の示す場所は昨日ぼくが見つけた坑口の場所とドンピシャで一致します。
すると、やはりp2の地図は誤りなのだと思います。
このようなことはよくあること。
間瀬郷土史の間瀬銅山各鉱区を現した地図なんて、もっといい加減ですし。

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昨日は3つの石を持ち帰りました。
どれも似たような雰囲気の石で、残念ながら狙っていた柘榴石でびっしり覆われた石は発見できませんでした。
サイズはこれでこぶし大くらい。
高倍率のルーペで見るとすごいんです。

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白雲母(モスコバイト)は今まで馴染みがなく、今回初めてじっくり観察しました。
薄い結晶の層がサンドイッチ状に積み重なっており、独特の味わいがあります。
雲母類は様々な種類があるのですが、基本的にカリウムを主成分とし、古代エジプトや古代ローマの時代から石薬として用いられてきたようです。
現代においては耐熱材や絶縁体として工業用に利用されているほか、ファウンデーションの使用感を向上させるための化粧品材料としても幅広く利用されています。

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金属光沢を示す結晶もあります。
最初輝水鉛鉱かなと思ったのですが、これも白雲母のようです。

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比較的大きめの結晶が別な石に付いていたので、それの拡大。

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1枚目の石の白い部分は石英だと思うのですが、端っこの方にこのように薄い板状に積み重なっている部分がありました。
次のサイトのサンプルによく似た石が取り上げられており、そのサイトではそれを長石であると論じていました。
ですから、これも長石の一種なのか?
ちなみに、長波のUVライトによる蛍光現象は見られませんでした。




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塩野町鉱山の坑口目指して [鉱物 (村上市・塩野町鉱山)]

前日に引き続き、塩野町鉱山へ。
まずは選鉱場跡周辺を改めて歩き回り、それからメインの坑口があるはずの尾根上に向かって踏み跡が残っているかどうかを調べました。

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昨日の写真は全体がよくわからないので撮り直し。
それから左手の踏み跡を辿り、昨日の到達地点からさらに先を目指しました。
すると、いくらも歩かないうちにズリらしき地形を発見、さらに坑口と露天掘り跡を続けざまに発見しました。

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間違いなく坑口です。
2/3ほどが土砂に埋もれており、入り口から1m入ったところで天井が狭くなっているので潜入は不可能。
ライトで中を照らし出してみると、25度前後の傾斜で下へ落ち込んでいます。
奥行きはかなりありそうでした。

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手を伸ばして内部を写してみました。
天井はそこそこ高さがあり、鉄マンガン重石らしき黒っぽい鉱物が析出していました。

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坑口手前のズリです。
近くの細い谷筋にも鉱石が多数散らばっていたのですが、結構石英が目立ちました。

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坑口近くの斜面の岩。
このような組成がひとつのパターンです。

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こちらは近くの露天掘り跡。
ほぼ上部の壁が垂直なので下から見上げただけですが、黒い部分は鉄重石でしょうか。
この鉱山では鉄マンガン重石も採っていたので、黒っぽい岩はそれに見えてしまいます。

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ほぼ埋没していますが、もう一つ坑口がありました。

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ズリに転がっていた石より。
母岩の石英にキラキラした白雲母が付いています。
このような石は昨日も写真に収めましたが、坑口前のズリの石の方が断然白雲母の密集度が大です。

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白雲母がびっしり。
細粒の柘榴石もところどころ付いています。

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ひょっとして、これが鉄マンガン重石?

「早稲田里山の自然と文化歴史」の地図に記載の坑口へ続くであろう踏み跡は結局見つけられなかったので、思い切って尾根に取り付きました。
それにしても、腕力登りはキツイ・・・
途中から部分的に踏み跡の痕跡が出てきたのでホッとしたけど、GPS機器(ガーミン etrex30x)持ってきてよかった。
谷から痩せ尾根に出ると踏み跡はさらに明瞭になりましたが、それなりに灌木が行く手を遮っているので疲労度は半端ない。
登り始めて30分、坑口があるはずの標高240m地点に到達。
しかしそれらしき地形は現れず、踏み跡も消えかかってきました。
結局250m地点まで歩いたところで撤退。
ヤブはそれほどでないけど、密生している灌木や樹木のせいで見通しがそれほど良くないので、坑口が7~8m横にあるのだとしたら気づかないでしょう。
でも、坑口が近くにあるのだったら踏み跡が現れそうなものですが、それはなかったのでもっと先に坑口があるのか?
まあこの日は既に坑口を見つけたので満足度は高く、尾根上にあると思われる坑口は幻に終わっても悔いはありません。
今日は大満足。

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ということでやっとスタート地点よりやや奥の河原に下山。
くだんの尾根は右側になります。
塩野町鉱山へはもう来ることはないと思うけど、もう一箇所、これもつい最近知ったのですが、板屋越にも鉱山があったみたいなのです。
ある文献に塩野町鉱山などと共に名前が出てくるのだけど、ここも訪れてみたい。
産出鉱物は笹川流れからR7にかけての山脈に位置する全ての鉱山共通で、タングステンかモリブデン、あるいはその両方。
ですから真新しい鉱物が見つかるわけではありませんが、地形図を見ると1箇所だけ気になる場所があるので、そこへ一度行ってみたいと思います。

※追記:改めて「早稲田里山の自然と文化歴史」収録の坑口の写真を見てみると、非常によく似ていることがわかりました。ひょっとしたら、これがメインの坑口であり、尾根上にはないのかもしれません。つまり、地図の誤記ということも考えられます。







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塩野町鉱山・選鉱場跡 [鉱物 (村上市・塩野町鉱山)]

新潟県北部(村上市管内)にあった鉱山で、どうしても行ってみたい鉱山がありました。
それが塩野町鉱山。
塩野町という名前が付いていますが、当時はその場所が塩野町に属していたからその名前が付いたのであって、現在は早稲田地区になります。
この鉱山は結構いろいろな文献に出てくるのですが、地図を掲載している資料はなく、具体的な場所を特定できないでいたのです。
ところが2ヶ月前に、とうとう鉱山の位置を記した資料を見つけました。
その資料名は~「早稲田里山の自然と歴史」2018年3月発行~です。
新潟県地質図説明書(S52)にも塩野町鉱山についての記載がありますが、上記の資料の方が詳しく書いてあるので、この資料から一部抜粋します。

「昭和20年前後から昭和34,5年にかけて、草場鉱業㈱と華陽鉱業㈱によって稼行された。・・・鉱物は銅、硫化鉄、モリブデン、タングステン等であった。1953年の生産実績は、重石精鉱200kg(W65%)、水鉛精鉱200kg(Mo85%)が報告されている。」
鉱床形態:鉱染~一部脈状
地質:岩船花崗岩に属する斑状花崗岩が主に分布し、これを東西方向に貫いて含柘榴石両雲母花崗岩が貫入している。
鉱床:含柘榴石両雲母花崗岩中のアプライト質部の一部がポケット状に白雲母・柘榴石によって交代され、その中に輝水鉛鉱・鉄マンガン重石が鉱染したグライゼン鉱床で、脈幅1m、走向長50m、傾斜長10mの3鉱体が知られている。
鉱石鉱物:ポケット状交代部では輝水鉛鉱、鉄マンガン重石がみられ、黄鉄鉱、黄銅鉱、閃亜鉛鉱も伴われる。
脈石鉱物:白雲母、柘榴石、石英

この資料に、選鉱場と採掘坑の写真が載っており、取りあえず選鉱場を目指して行ってみました。

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坑口は例の資料から判断すると、標高230~250mの尾根上にあるようです。
上の写真で、ちょうど正面の杉林の向こう側にあたります。

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1/2.5万地形図には載っていない林道が途中から分岐しており、そこを50mも歩くとこの河原に出ます。
最初ここがズリかなと思ったのですが、自然の崩落地形だったようです。
写真には写っていませんが、すぐ左手にかすかな踏み跡がありました。
踏み跡の入り口にはポカリの空き缶が捨ててあり、それが目印。
ただし、杉林の中に続く踏み跡は不明瞭で、行きは尾根の取り付き部まで最短距離で林内を歩いてアプローチ。
ヤブは浅く、おそらく夏場でも行こうと思えば行けるのではないかと。
しかし、尾根の取り付き部まで来ても、尾根の上に続く踏み跡は見当たりません。
仕方ないので、左横方向に河岸段丘上をトラバース。
そして、まもなく念願の選鉱場跡と思われる3段の石垣が視界に入りました。

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天気は生憎小雨が降り止まず、時刻も既に15時半を過ぎていたので現場は薄暗く、ストロボを焚かないとどうしようもない状態。
カメラ内臓のショボいストロボなので、これ以上離れると光が届きません。
この石垣、3段になっているのですが、もっと引かないと全景は写りませんね。

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この石垣の前に3m四方の広場があり、そこに鉱石が散乱していました。
ズリというほどの量ではないのですが、どれもキラキラした白雲母や輝水鉛鉱が付いています。
先の河原の転石には、このような鉱物は見られませんでした。
石垣の横幅は20~30mくらいでしょうか。
両端に上へと向かう踏み跡があり、一応どちらも歩いてみましたが、それらの踏み跡上にもポツンポツンと鉱石が転がっています。
そのどれにも白雲母が付いていました。
ちなみに、ヤフオクに以前”塩野町鉱山産の鉄礬柘榴石”が出品されていたことがありますが、ぼくが今回見かけた石も全部これと類似の石ばかりでした。
このような石でよければ、選鉱場跡の周辺でいくらでも拾うことができます。


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かつて選鉱場が立っていたであろう丘の裏に回り込むと、両方向からの踏み跡は合流し、左側を流れる小沢(上の写真)を横断し、さらに奥へと続いていました。
今回はここでUターン。
坑口が記された尾根はこの沢の右手の尾根上にあるはずなのですが、踏み跡はもう少し上手で尾根へと進路を変えるのか、それとも比較的平坦なこの林内の奥に坑口が待ち受けているのか、それはわかりません。
例の文献でも坑口は複数個あるニュアンスで書いてあるし、坑口探しは次回のお楽しみということで。
ただ、例の資料に書かれた地図が正しいとすると、標高差は約100mしかないものの、傾斜がかなり急なので、ちゃんとした踏み跡が残っていないと突っ込んでいく気にはなれません。

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今回4つの小さな石を持ち帰ったのですが、基本的にどれも成分は同じ。
白雲母が大半を占めます。
この石に限っていえば、真ん中あたりに濃いグレーの部分が見られますが、これは亜鉛系の鉱物だと思います。

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まだ柘榴石が付いている鉱石を拾ったことがなかったので、柘榴石が付いていないかチェック。
透明な部分は石英ですが(長石の可能性もある)、パラパラと小粒の柘榴石がそこに隠れていました。

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こちらは別な石の部分拡大。
柘榴石の最大サイズ、1.5mmくらいでしょうか。
次回はもっと大きい結晶を見つけたいと思います。

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シルバーの光沢を持つ結晶は白雲母(モスコバイト)。
次回は特に白雲母と柘榴石のさらなる美晶を見つけてみたいです。


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