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五十公野鉱山を訪ねて(前編) [鉱物 (新発田市・岩井堂鉱山)]

つい先日、鉱山関係の文献を調べていたら、新発田市郊外にある五十公野丘陵に鉱山があったことを知りました。
昭和14年(株)日本製鉄の鉱山部門が独立し、(株)日鉄鉱業が設立されました。
その日鉄鉱業が昭和52年から、五十公野の岩井堂地区で探鉱を開始したのです。
その文献によると、「第三紀層とこれを貫く石英粗面岩、凝灰岩中の黒鉱鉱床。東西70m南北40mに分布、他に小鉱床あり」とあります。
また、そこで採れる鉱石として、閃亜鉛鉱、方鉛鉱、黄銅鉱、黄鉄鉱、重晶石、石英の名前が挙がっています。
いつまで営業を続けていたのかは記載がなく、わからないのですが、昭和50年台後半か60年台前半には採掘をやめてしまったのではと推測します。
この文献には、旧山北町と村上市に多くの鉱山※があったことが書かれており、機会があれば探索してみたいと思います。

※笹川鉱山、鷺沢鉱山、新保鉱山、鍋倉鉱山、畑鉱山、共立鉱山、能化山鉱山

さて、4月24日、五十公野鉱山を探す前に、石井神社を訪ねてみました。
岩井戸山(86m) 山頂に立つ神社で、いわい神社と読みます。
10世紀前半に編纂された延喜式にも名前が載っていることから、歴史の古い由緒ある神社であったことがわかります。
実際、ぼくも小学生の時に探検したことのある、巨岩にはさまれた中腹の洞窟からは土師器が出土しています。
この神社の本来のご神体は、神社周辺の山中に屹立する巨岩の数々でしょう。
近くの桝潟周辺の遊歩道を歩くと、ところどころメノウ脈が走っていることが伺えます。
そのあたりの遊歩道沿いの水晶は全て採り尽くされた感がありますが、五十公野丘陵一帯で最も岩場が多い岩井戸山を探したというブログ記事は一切読んだことがありません。
もっとも、鉱山が操業していたくらいですから、山中のめぼしい鉱脈は全て採掘され尽くしていることは想像に難くないですが、まずは現地調査です。

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数年前から、学術的にも貴重なはずの巨岩をことごとくコンクリートで覆う工事が開始され、今年の春完成しました。
これまでの人生、数々の自然破壊を目撃してきましたが、これほどまでの暴挙を見たことがありません。
ただただ言葉を失うばかりです。

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山頂直下の風景。
正面の登山道沿いの岩は全滅です。洞窟もなくなりました。

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嘆いてばかりいても始まらないので、気を取り直して鉱物を探します。
これは山頂にある井戸。
昔は清水がこんこんと湧いていたと言いますが、現在は枯れています。

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幸い、裏の登山道(五十公野公園側に下りることができます)沿いの巨岩は無事でした。
こちらにも巨岩が幾つか点在しており、昔ながらの奇観を見ることができます。

IMG_1172.jpg

おっと、人工的に岩を切り出した跡を見つけました。
やっぱりこの巨岩地帯で広く採掘が行われていたようです。
残念ながらメノウ脈は皆無でした。
赤茶けた岩や黒っぽい岩が目立ちます。
ある資料によると、鉄分やマグネシウムを含む岩質だとかで、やはり黒鉱メインで採掘されていたのでしょう。


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