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遙かなる五十島鉱山 [鉱物 (阿賀町・持倉鉱山)]

鉱物趣味を始める前から、そう10数年前からなんとなく五十島鉱山のことが気になっていたのでした。
隣接する持倉鉱山ではなく、あくまで蛍石を採取していた五十島鉱山の方です。
最近国内産の蛍石の原石を入手してからますます蛍石のことが好きになり、五十母川の川ズリ原石でいいから当地の蛍石をこの目で見てみたいと思うようになりました。
ここ2ヶ月ばかり徹底的に持倉&五十島鉱山のことを図書館やネットで調べていたのですが、坑口の場所を記した地図は見当たらず(つくば市の地質調査総合センターへ行けば、そこに保管してある某資料に記載があるかもしれないけど)、現実的なのは事務所跡の前後の河原で転石をチェックすることではないかと。
もうひとつ、あえて暗くなってから行き、UVライト片手に河原を探し回るのも考えられます。
来年4月から五十母川の探索を開始するつもりだったのですが、12月1日、昼間の予定が早く終了したので夕方急遽現地へ駆けつけてみました。

IMG_1086.jpg


2ヶ月くらい前に一度林道終点まで下見に来たことがあり、そのとき目を付けていた河原(林道終点より200m程手前)へ降り立ちました。
ここは容易に河原へ出られるので既に多くの人が探しまくっているだろうなあと思いながらも、365nmの高出力UVライトで照らせば効率よく蛍石を見つけることができるのではないかという淡い思いを抱きつつ・・・
現実はやはり厳しかったです。
水量は少なかったので150mほど沢シューズを履いて遡行しましたが、その間蛍石はおろか、1個も蛍光を発する石はなかったです。
石はほとんどが石灰岩系と花崗岩。
このあと、五十母川の支流(11月6日の記事の場所)も1時間ほど探索したけど、こちらも光る石は皆無。
やはり最終堰堤の上まで行かなければ見つけることは難しいのでは?
ただし、JaxmanのUVライトは単四電池3個使用の一般的な375nmのそれとは違ってやはりパワーがあり、屈まなくても十分3~4m四方を照らし出すことができました。
これは快適でした。効率の良さは絶大。
しょせん紫外線なので高出力といっても照度は低く、これだけで河原を歩き回ることはさすがにできませんでしたが。

補足すると、林道終点から事務所跡まで、1/2.5万地形図によると4つの砂防堰堤があり、さらにその先にも2つの堰堤が見られます。
(新潟峡彩山岳会の遡行図によると、事務所跡から先に6つの堰堤があることになっています。マンダロク沢も下部に小さな堰堤が3つ連なっています。)
どの堰堤を指すのかわからないけど(多分、事務所跡手前の堰堤?)、そのうちの一つである大きな砂防堰堤は昭和34年に作られたもの。
鉱山が完全に閉鎖されたのが昭和38年1月なので、最終堰堤とまでは言わずとも、できれば事務所跡前の河原まで行きたいところです。
以下、防備録なのですが、ネットで見つけた資料のリンクを貼っておきます。

※五十母川の遡行記録
五十母川持倉沢
五十母川赤松沢右俣遡行~マンダロク沢下降 (以上、新潟峡彩山岳会)

実際に山奥にひっそり眠る坑口まで鉱石を採りに行ったという記録は少ないです。
少ないながらもそれらの記録を包括すると、沢沿いに一目で蛍石とわかるような転石はほとんどなく、坑口付近まで行ってもズリはない。
ズリがあったと思わしき場所の地面を10cmくらい掘ると、やっと蛍石を含むズリが顔を出す。
事務所跡から先、踏み跡は深いヤブに覆われており、沢歩きする方が快適。
歩行時間はどこまで行くか、その人の沢登りの経験値にもよるが、選考所跡&居住地跡まで2~3時間かかる。
上部の坑口へ行くには、五十母川沿いに沢を遡行するより、日本平山への登山道からクライムダウンする方が手っ取り早い(どっちのルートも常人以上の体力を要す~私の感想)。
選考所跡と居住地跡は離れている可能性がある。
持倉鉱山と五十島鉱山の区域は一部重複しているので、坑口を見つけたとしてもそこがどの坑口なのかは詳細な地質図がない限り判別不能。
事務所跡から最も近い坑口は大通洞坑(近くに石灰岩の巨岩があるのが目印)。
しかし大通洞坑は内部が完全に水没している。

なので、我々シロートが頑張って2時間以上歩いて五十母川上流へ行ったとしても、蛍石を見つけることは不可能に近いと思います。
マンダロク沢下流部にはゴーロ状の河原が長く続く箇所があるので(地形図を見ても等高線は緩やか)、マンダロク沢下流部の探索も面白いかもしれません。
赤松沢出合いまで事務所跡から徒歩1時間なので、赤松沢から400m手前に位置するマンダロク沢出合いまでだったら40分くらいで到達できそう。
マンダロク沢のゴーロ地帯へ出るには3つの小さな堰堤と2つの小滝を超えなければならないが、おそらく高巻きせずとも行けるのでは?
この辺の地質を詳述した複数の本によると、蛍石は五十母川流域のみならず、近傍の山塊に広く分布するようなので、マンダロク沢でも蛍石の川ズレ転石を見つけることができる可能性は大いにあります。
五十母川本流は上流部へ行くに従ってヤブ沢と化すらしいし、途中ゴルジュ地帯を通過するので、沢登りの経験者でないと難しそう。
事務所跡から先はどこを目指すにせよ充分な準備と体力が必要そうですが、最終堰堤を越えたあたりの河原までなら比較的容易に行けそうなので、来年4月、まずは最終堰堤を目指して行ってみたいと思います。


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bandlover

お疲れ様です

五十島鉱山検索で たどり着きました

谷の名前まで 調査されているので 地図があれば なんとか行けそうですね

私の調査 居住跡?の谷を挟んだ 反対側に 坑口があった様子ですが 地図がないので どのあたりか はっきりしないです

翌年 行かれたのかな?
by bandlover (2022-01-29 15:39) 

carlossato

bandloverさん、こんにちは。
その後の記事は、持倉鉱山のタグでアップしていますので確かめてみてください。最終堰堤までは昨年秋に行きました。五十島鉱山は持倉鉱山と鉱区がダブっているので、詳しい資料を入手しないと坑口の正確な位置はわからないと思います(ぼくはその後貴重な資料を入手しました)。また、旧鉱山道は途中崩壊しているところがあり、順調に行ったとしても事務所跡の廃墟から徒歩2時間半はかかると思います。実は石友が昨年秋に五十島鉱山のズリまでたどり着きました。人分山の山越えルートで片道3時間半。坑口を探す体力はさすがに残っておらず、ズリの探索をちょっとしただけで帰ってきたそうです。
ぼくはそこまで体力ないですし、来年本坑エリアまで行くかどうかはわかりません。
多分行かないだろうなあ・・・
by carlossato (2022-01-29 17:29) 

リアン

2022年の6月に初めて持倉鉱山の事務所跡へ行きました。
大雨が降った後に石が流れて来た可能性が有ると思い再び事務所跡へ行きました。
事務所跡から100メートルほど上流の川岸に蛍石を発見
川を流れて来た為か丸くなっており、とても綺麗な蛍石でした。
by リアン (2022-07-10 21:06) 

carlossato

ぼくは今年はまだ持倉鉱山へ行っておりません。おお、それはラッキーですね。100m上流でホタル石を見つけられたとか。おめでとうございます。大雨の後に行くのも考えてみれば一つの手ですね。今後参考にさせてもらいます。
by carlossato (2022-07-10 23:19) 

リアン

ユーチューバーおっさん1号さんが本坑跡で蛍石をいくつか見つけています。
ヤマビルが居ると思うと行く気がしません。
動画でおっさん1号さんのズボンが血だらけになってました。
自分が探した場所は事務所跡から最初の堰堤までです。

by リアン (2022-07-11 23:02) 

蓮水柊斗調査部

大変興味深く拝見させて頂いております。11月18日に、本山地区(本坑エリア)の探索を予定しております。中山新道駐車場から、谷沢分岐よりのアクセスを予定しております。前回は、十五釜付近と思われる地点から藪で断念したので再チャレンジです。小田氏より、全面的に資料提供と情報協力受けてます。もし、ご同行頂ければ幸いです。蓮水は、登山のセミプロです。私は、駐車場で無線機使用して安全対策をしています。
by 蓮水柊斗調査部 (2023-08-31 14:19) 

carlossato

友人が最近2年間で、そのルートで2回本坑エリアを訪れたので、詳細は把握しております。しかしながらすでに私はそこへ行く興味を失ったので、当面の間行くことはないでしょう。
by carlossato (2023-08-31 15:12) 

蓮水柊斗調査部

了解しました、ありがとうございます。今後とも、よろしくお願いします。
by 蓮水柊斗調査部 (2023-08-31 15:24) 

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