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400年前の坑口~日出谷金山 [鉱物 (阿賀町・日出谷金山)]

先日、阿賀町の図書館へ資料漁りに行った際、とても興味深い資料に出合いました。
そこには棒掛山ビイロ沢にある、日出谷金山跡について書かれていました。
著者は地元水沢集落の長老である高松さんをガイドにビイロ沢を訪れ、坑口を3つ発見します。
地図こそ載っていませんでしたが、非常に詳しく地形の特徴が述べられていたため、行ったらなんとかなるんじゃないかという希望的観測のもと、19日、いざ出撃。
尚、昭和に入ってから、日出谷金山について書かれた文献は他には見当たらず、遠藤氏が書いた今回の記事は大変貴重。

金山の歴史を要約すると、耶麻郡中町村(現西会津町奥川)の与市郎という者が鉱脈を発見。
文禄年間(1592-96)、もしくは天正18年(1590)頃には採掘が開始され、寛永17年(1640)頃まで産金が続けられたが、その後は廃坑となった。
坑口跡はビイロ沢と一本ブナ沢沿いに点在、大小7つの坑口があったと言われる。
ビイロ沢の上の方に立坑(縦坑)があり、沢端の横坑口と中でつながっていた(この横坑口は著者の遠藤氏も探したようですが見つからず、砂防ダム工事で河床が上がった影響で、坑口がふさがってしまったと結論づけています)。
採鉱量や、どのくらいの規模(金堀り人の数など)だったのかなどは一切不明で、地元の人でも日出谷金山の存在について知っている人はほとんどいない。
以上です。
江戸時代初期に、わずか50年間だけ産金活動を行っていた、歴史から忘れ去られたマイナーな金山。
なんとかビイロ沢の場所を特定できたので、行ってみた次第。

IMG_7298.jpg

急な林道をLowギアでゆっくりゆっくり走っていくと、途中山の神をかたどったと思われる石像に遭遇。
この祠も400年前のものかもしれません。

IMG_7310.jpg

ひたすら堰堤が連続しているビイロ沢。
3つほど超えましたが、これ以上は無理。
予め1/25,000地形図で、坑口が待ち構えているかもしれない場所をピンポイントで予測を立てたのですが、そこは既に過ぎています。
遠藤氏が高松さんの案内で坑口を見たのは右岸なのですが、高松さんの話として左岸にも坑口はあるとのことでしたから、念のため左岸の斜面も見てみました。
しかしかながら、既に斜面は緑のカーペットに覆われており、よほど近づかないとディテールが全然わかりません。
一つでも多く坑口を探そうと思ったら、春ではなく晩秋が適期ですね。

IMG_7300.jpg

沢の転石もチェックしましたが、意外と石英が多いです。
ただし透明なものはなく、くすんだ色合いのものばかり。
もちろん自形結晶など見当たりません。
そんな中、奇跡的に出会えたクラスター。
思い切り風化しまくった質感ですが、水晶もあることはあるんですね。
石英脈に付随していた砂金を採取していたということでしょうか。

IMG_7313.jpg

右岸に大きな崩壊地があったので(林道からも見えた)、そこへ立ち寄ってみました。
やはり一定の割合で石英脈が入っています。
何枚石英部分を接写し、あとでPCの大画面でピクセル等倍で鑑賞、砂金があるかどうかチェック。

IMG_7319.jpg

特に砂金と思われる結晶は見つからなかったのですが、ひとつだけ怪しい部分を発見。
もちろん現地では気付いておりません。
左上の黄色い部分に注目。
ピントが合っていないのでなんとも言えないですが、これが自然金だったらすごい!
でも、多分黄銅鉱だろうなあ。
もう一度行って確かめてみたいけど、あのガレ場のどこでこの写真を写したか全く覚えていないので、再会は難しい・・・

IMG_7326.jpg

小さな沢の上の方がなんとなく”匂った”ので探索してみると、坑口らしきものを発見。
ほとんど埋もれていますが、ライトで7cmほど空いている隙間を照らしてみると、少なくとも40cmくらいまでは奥行きがある模様。
坑口である確率70%。

IMG_7329.jpg

その近くで、完全に人工的な地形を発見。
金山跡でよく見かけるタイプの窪地です。
このあと、類似の地形をもう一つ見つけました。

IMG_7336.jpg

そして、いきなり目の前に坑口が現れました。
くだんの資料に載っていた坑口の写真と似ていたので、帰宅後比べてみたら、やはり同じ坑口のようでした。

IMG_7341.jpg

坑口内部。
奥行き3~4mくらいでしょうか。
基本的には横穴だと思うのですが、縦坑だった可能性もあります。
このアングルではわかりませんが、突き当りの上の方も掘り進められており、ひょっとしたら1m以上空間が上へ伸びている可能性も。

IMG_7342.jpg

この坑口の右下にかなり広い扇型に広がっている谷間がありました。
まだ2/3くらい雪渓で覆われていたのですが、この斜面が怪しい・・・

IMG_7344.jpg

右上に続く崖も非常に怪しい。
自然の洞窟かもしれないけど、暗い穴が2ヶ所見えます。
林の中と、草付き斜面下部にもそれぞれ1~2ヶ所。
遠藤氏がこの場所を探索したのは8月だとか。
残雪が消えた頃もう一度来てみたいですが、夏場だとアブ天国になっていると思われるので、やはり来るなら晩秋ですね。

※参考文献:
阿賀町郷土誌 ”阿賀路 第51集”
「棒掛山ビイロ沢にある日出谷金山跡」遠藤勝利







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