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赤谷鉱山点描その12 [鉱物 (新発田市・赤谷鉱山)]

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準旧坑という立ち位置の坑道。
赤谷鉱山はその歴史の後期においては銅の採掘に力を入れていたのだけど、それまでは鉄鉱石の採掘がメイン。
そして、この先の鉱区で大々的に採掘されました。
ある地点から何と言うか、わちゃわちゃした感じになり、いつ崩落してもおかしくない状況に変化します。

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そこでの赤鉄鉱。

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この鉱区では、この階層及びさらに上の階層において何箇所も試錐坑道が出てきました。
2回の探索で4箇所は見つけたと思います。

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別な試錐坑道。
サンプルはそのまんまの状態。
こうしてボーリングして、地質の調査をするわけです。
ちなみに、これらの試錐調査は閉山後に行っています。

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ある坑道の壁が苦灰石一色でした。
大きな晶洞もいくつかあり、なかなか見ごたえがありました。

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苦灰石の壁の近くで黄鉄鉱の脈を発見。
お隣り、飯豊鉱山では緑泥石の母岩と共に見つかりますが、こちらでは母岩が苦灰石ベース。
形はいびつなものが多いものの、大きさ的には長辺3~4cmあるものもあり、迫力満点。

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新たに巨大なホールに遭遇。
地底世界へようこそ。
地上とは全く異質なエネルギーが充満しています。

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この大ホール入口付近に、ゴミが投棄されている場所があったのだけど、こうした過去の遺物を見るのも楽しいです。
醤油瓶に一升瓶。
労働者たちの精悍な顔つきが目に浮かびます。

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その一角で、とても貴重な鉱物を発見しました。
ブルーアラゴナイトなのですが、新聞紙の上に成長しています。
錆びた鉄のレールや丸太の上にアラゴナイトが成長するケースは特に珍しくないですが、これは下手すると世界でもオンリーワンではないだろうか?笑



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赤谷鉱山点描その11 [鉱物 (新発田市・赤谷鉱山)]

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ここはかつての駅でした。

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斜坑巻き上げ機。

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全長130mの試錐坑道。

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試錐坑道終点付近の壁は結晶質石灰岩(大理石)で覆われていました。

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とある採掘区。

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同じホール。

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初生期のブルーアラゴナイト。

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とある採掘区その2。
緑色の石は緑閃石。

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とてつもなく広大な空間。
この倍は広かった・・・

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詰所跡。




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名もなき沢の石英脈と謎の坑口 [鉱物(下越)]

今年の春に2回遡行し、上流部でこれはと思えるアメジストのちょっとしたクラスターが付いた大きな岩を見つけました。
その時はカメラを忘れてしまったので写真は撮っていないのですが、ぜひ記録に残したいと思って12日に再訪。

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下流部はすごく傾斜がきつく、このような大小の滝が連続してぐんぐん高度を稼いでいきます。
下から見上げるととても登れそうにないと思うのですが、どの滝も幸いにしてなんとかザイル無しで直登可能。

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等高線が混み合う区間を過ぎると傾斜は落ち着き、その後はこのように穏やかな渓相が続きます。
沢は途中で二手に分かれ、今回右俣・左俣とも標高520m付近まで遡行してきました。
というのも、記憶にあったアメジストが見つからなかったからです。

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最初、分岐点から右側の沢へ入ったのですが、こちらは石英脈が濃く、終始このような独特の形状の水晶(海綿状カルセドニー)が見られました。
次に左側の沢へ。
すでにかなりヘロヘロになっていたのですが、水温がこれ以上低くなると長時間の沢登りはきつくなるので、これが今期ラストチャンス。
しかし、こちらの沢はやや登りやすいものの、石英脈が消えました。
一応標高520m地点まで遡行しましたが、体力も尽きかけているのでUターン。
そして、50mほど下ったところで坑口を見つけてしまいました。

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来るときも前を通ったはずですが、気づかなかった。
沢沿いにあるので土砂の流入が激しく、パッと見、自然地形と思ったのかもしれません。

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しかし1mほど入って内部を見てみると太い支保工が・・・
左の壁が青く染まっています。
たとえ胆礬であろうと、ここまで青いのはなかなか見かけません。
これはスゴイ。

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坑口は縦長になっており、こちらは下の方。
隙間の向こうに坑道が見えます。
上部の空間でさえ出だしが非常に狭く、四つん這い、あるいは這いつくばらないと前へ進めません。
そこまではしたくないし、できないので写真だけ。

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坑口の周りの壁面を観察したら、どこも石英脈が露出していることに気づきました。
しかも、柱面の発達した形状の水晶がところどころに顔を出しています。

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これなんか、アメジストと言えそうです。

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坑口前の沢の水中にも同様の水晶がありました。
このサイズではわかりにくいですが、原寸大にして眺めるとポイントが何本も見られるのです。

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壁面の石英脈中、最大の水晶ポイント。
3cmくらいでしょうか。

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茶色の細かい多角形の粒粒は、自形の菱鉄鉱。
先日の新潟ミネラルマルシェではコーデックスさんのファンになり、同店が主力商品として販売していたベラクルスアメジストに魅せられましたが、新潟産なんちゃってベラクルスアメジストと言えないこともない。





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赤谷鉱山点描その10 [鉱物 (新発田市・赤谷鉱山)]

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古いタイプの人車。

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人車の座席。
振動も騒音もひどかったとのこと(実際に乗ったことのある人の話)。

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こちらは新しいタイプの人車。

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人車は最も上の階層にも眠っているようです。

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この棚は?




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変わり果てた赤石沢 [鉱物(阿賀町・幸地蔵鉱山)]

中ノ沢川の支流に幸地蔵沢という沢があります。
その上流は赤石沢といい、昔は露天掘りで黒鉱や閃亜鉛鉱、銀などを採掘していたとのこと。
もっとも、このことに言及している文献は「日本金山誌」だけで、郷土史にも一切名前は出てきません。
2022年10月、入手したばかりの日本金山誌の記述を手がかりに、初めて赤石沢を目指しました。

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在りし日の赤石沢(といっても、わずか1年前ですが)。
全体的にボサがひどく、ヤブっぽい区間が長いのですが、赤石(赤玉、レッドジャスパー)の露頭は見事なものでした。

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このような80cm前後の赤石を3個くらい見かけた思います。
なぜ日本金山誌に、赤石露頭のことが載っているのか?
それは、次の文章を読むと明らかになります。

「・・・黒鉱露頭は赤石沢の左岸の山腹に、黒鉱質鉱石の大塊としてみられる。(中略)石英、重晶石を主とし、これに少量の絹雲母、緑泥石を伴い、方鉛鉱、黄鉄鉱と微量の閃亜鉛鉱が鉱染したもので、品位はAg 500~800g/tを示す。赤石露頭は黒鉱露頭の300m上流の左岸にあり、延長3.5m、高さ1.8mの露出である。沢底にも赤石の露出がある。この赤石の一部には石英の網状脈が走り、方鉛鉱などを伴う。そのような部分、及び赤石の上盤の青緑色粘土に銀が含まれており、Ag 60g/tから、最高400g/tを示した。」

2年振りに訪れた赤石沢ですが、荒涼とした山肌が目の前に拡がっていました。

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野球場2つ分くらいの面積がきれいに伐採されてしまったのです。
実はこの日、赤石沢を訪れる前にやや下流部を流れる枝沢に入ってみたのですが、そこも上流部がこのような荒れ果てた光景となっており、新たな林道も作られていました。
現地に立っていた標識を読むと、(61~72)年生スギの皆伐ということのようです。
対象となる区域を示す地図も書いてありましたが、これは広い・・・
近年ただでさえ豪雨の傾向が高まっているのに、保水力を減ずるような大規模な皆伐はいかがなものか。

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林道や新たに造成された伐採道のあちこちに、このように切り出された材木が山積みされていました。

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さて、気を取り直して赤石沢が流れていたと思われる谷間を探ってみました。
大きな切り株や枝が、無造作に捨てられており、沢の転石が見えない区間が8割を占めます。
もはや沢という体をなしておらず、小さな谷間でしかない。
しかし、かろうじてまだ大きな赤石は残っていました。
2枚目に掲げた赤石はもう少し上流にあったと思うのだけど、そこまで歩いていく気力も意欲もなく・・・
正面に写っている80cmほどの赤石ですが、表面は砂埃を被ってひどいものですが、下半分は本来の美しさを保っていました。

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おお、これぞ赤石、レッドジャスパー!

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その近くで地面から掘り出した、30cmほどのツヤッツヤのレッドジャスパー。
この白っぽい網状の石英脈にも、高純度の銀(Ag)が含まれているのでしょうか?
沢の転石が見えているところであれば、まだまだ赤石は容易に見つけることができます。
しかし、ここから20mほど沢を登ってみたけど、とにかく倒木がひどく、歩くのが非常にやっかい。
この沢は死にました。

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下流部は幸地蔵沢と呼ぶのですが、この辺りは伐採工事の影響を受けておらず、昔ながらの穏やかな渓相が続きます。
この辺でも赤石は見られ、それほど大きなものはないですが、小さなものならすぐ見つかります。

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改めて思ったのですが、上流部も中流部も赤石の質の高さはほとんど変わらず、天下一品かと。

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幸地蔵沢から南西に分岐する沢(ナカダイラ沢)にも入ってみましたが、途中でやはり広範囲に渡って伐採工事が進行中であり、沢が大小の倒木で埋もれていたので、ここで引き返しました。
ちなみに、なぜかこの沢へ入ると赤石は全く見られなくなりました。






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多宝山のヒュッテ跡 [鉱物 (弥彦山周辺)]

つい先日、多宝山東麓を流れる沢沿いで石英脈が付いている大きな岩を発見しました。
10月1日、この岩の周辺で他にも石英脈が付いている岩がないか、調べに行ってきました。

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結局何も見当たらず、斜面を上へ上へと追い上げられ、ついには昨年発見した、石瀬鉱山で最も標高の高い位置にある坑口の前へ出てしまいました(前回の記事とは別の坑口)。
ここも坑口周辺には踏み跡の片鱗が残っているのですが、本来のルートを忠実にトレースすることは不可能だと思います。

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改めて坑道内の壁を念入りにチェックしたら、天井にも黄鉄鉱の脈が浮き出ていることを発見。
どちらの写真の結晶も最大で長辺1cmくらいなので、黄鉄鉱としては全然小さいのですが。

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坑口を出てから、踏み跡を拾いながらスタート地点へ戻ることにしました。
やはりあちこちで大きな倒木や崩落があり、分断されまくりです。
しばらくは斜面をトラバース気味に踏み跡は付けられており、どうやら尾根を超えて一本北側の沢へ続いているように見受けられました。
そろそろ方向転換して、スタート地点方向へ戻ろうとした頃、上方に鉄パイプみたいな人工物が見えたのです。
そこまで登ってみたら、なんとも形容詞がたい光景が待ち構えていました。
平らな部分に足を踏み入れるとギシギシ音がします。
どうやら落ち葉の下に波板が敷かれているようです。

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谷側です。

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こちらは山側。

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最初は大きな立坑を封鎖した跡ではないかと思ったのですが、すぐに記憶にあるイラストマップの一部が脳裏に蘇ってきました。
県立図書館で見かけたある資料に”ふるさと散策マップ”なるものが載っており、そこに多宝山の滝の名称や、一般には知られていない踏み跡のルートなどが描かれていたのです。
そこに”ヒュッテ”という単語があったのを場所とともに覚えていたのです。
まさにこの場所はヒュッテがあった場所。
ヒュッテの詳細については一切不明。
今度調べてみたいと思います。



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