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菅谷鉱山第二の坑口 [鉱物 (新発田市・菅谷鉱山)]

菅谷鉱山には2つの坑口がありますが、今回は上の坑口へ入ってみました。

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奥行きは2m弱しかないのだけど、天井はそこそこ高く、穴を前にするとワクワク感が止まりません。

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壁面の様子です。
基本的には下の坑口と変わらないけど、石英脈に関してはこちらの方がみずみずしい感じ。
ところによってはやや青みがかっている点も共通しています。

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マンガン鉱床となれば、ついつい菱マンガン鉱がないか探してしまいます。
下越にはマンガン鉱山が多く、といってもその多くは戦時中にのみ稼働した零細鉱山ですが、しかし菱マンガン鉱が採れたという話は聞きません。
マンガンについて改めて調べてみたのですが、とにかく種類が多い。
なので正確な分類は不可能ですが、酸化すれば黒く変色するという点は共通しています。
酸化マンガンの質感は共通しているので、そういう視点で見ると、なるほどマンガンだらけだなと思う。
ところで、壁面の一部に肌色の細かな結晶が付いていることに気付きました。
菱マンガン鉱はいろいろな産状で存在し、このような粒状の集合体として産出することもあるそうです。
念のためズリの中から同様の石をなんとか探し出し、こぶし大より小さなサイズですが3個石を持ち帰り、マクロレンズで拡大写真を撮ったり、365nmのUVライトを照射したり色々実験してみました。

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疑似蛍光も混ざっているので断言はできないのですが、一応肌色の結晶は軒並み紅色に蛍光しました。
菱マンガン鉱は蛍光しませんが、マンガンを多めに含む方解石はサーモンピンクに蛍光します。
マンガンの濃度があるレベルを超えると蛍光しなくなり、カルシウムなどが100%マンガンに置換されてしまうとそれは菱マンガン鉱になります。
なので、この肌色の微細な結晶は菱マンガン鉱に近いマンガン方解石ではないかと(マンガン方解石は含まれるマンガンの割合が多いと、白からピンクに変わります。蛍光色も同様に、マンガン量が多いとピンクの彩度が強まります)。
別な写真で白い微細な結晶は白く蛍光しましたし、方解石の微粒子が混じっているものと思われます。

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蛍光写真をもう1枚。
こちらは石英部分にUVライトを照射したのですが、中央やや左の部分が水色に近い白に蛍光しました。
ちょうど半透明に細かなクラックが入っている辺りです。
この部分は方解石ではないでしょうか。
それ以外にも、微妙に蛍光する箇所が多々あり、一見透明な部分は石英だけかと思いきや、方解石も混在しているようです。

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持ち帰った3個の中の1個。
割と石英部分が多い石。
黒い部分は酸化マンガン(もしくは軟マンガン鉱)。
この鉱山で最も標準的な産状の鉱石です。

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今回の大発見その1。
マクロレンズで写してみたら、鉄礬柘榴石の結晶が写りました。
探すとあちこちに付いている。
その多くは大なり小なり欠けていますが、このように完全な形を保っている結晶もありました。

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今回の大発見その2。
ラブラドライトで見かけるような、玉虫色の遊色もどきが各所で見られました。
ロバート・シモンズ氏は水晶の錐面に稀に現れる遊色付きの水晶をアナンダライトとネーミングして販売していますが、これもレア度はかなり高いのでは?

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こちらはいかにもマンガン鉱石といった風情の、黒一色の鉱石。
割った黒曜石の断面みたいに、つやつやの部分があるのが印象的。
ひょっとしてブラウン鉱?

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この断面を拡大してみたら、やはり玉虫色になっている部分がありました。
この部分は斑銅鉱だと思うのですが。
ラブラドライトにおけるシラー効果よろしく遊色が出る石があるかと思えば、サイズは小さいものの、完全な形の鉄礬柘榴石(=ガーネット)付きの石もある。
侮りがたし、菅谷鉱山。



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菅谷鉱山発見! [鉱物 (新発田市・菅谷鉱山)]

地質Naviというサイトで、全国の地質図を見ることができるというのは先日書いたけど、地質図は地形図がそうであるように年代に応じて様々なバージョンが有り、バージョンによっては収録されていない鉱山もあります。
3年前、初めて胎内市のクレーストーン博士の館を訪れた時、壁に貼ってある巨大な地質図に感動してしまい、持っていたデジカメで(許可を得た上で)模写したことがあります。
新発田の千石鉱山の場所はその図に記載のマーク(地図には鉱山名は明記されていない)が千石鉱山ではないかと思い、場所を分析した上で(クレーストーン博士の館にある地質図は20万分の1)、なんとか探り当てたのでした。
ところが、現在地質Naviで見ることができる地質図には、千石鉱山のあるべき位置にマークは何も記載されていません。
逆に、高知山鉱山はネットの地質図には記載があるけど、クレーストーン博士の館の地質図には記載がありません。
さて、新発田市にはもう一つ菅谷鉱山があったようです。
文献には何も出てこないし、クレーストーン博士の館にある地質図にも記載はないのだけど、なぜかネット版のそれには載っているのです。
採っていた鉱物はマンガン。
マンガンと言えば、お隣胎内市にも胎内川沿いの山奥に竹豊胎内鉱山と下川鉱山でもマンガンを採掘していたようです。
小さな鉱山でマンガンを採っていた鉱山は村上市や阿賀町にかなりあり、密かに目を付けている鉱山もあったりします。
例えば、菱マンガン鉱(=インカローズ)が採掘されていた、阿賀町のA鉱山やB鉱山・・・
菅谷にあったらしいマンガン鉱山でも、ひょっとしたら菱マンガン鉱が採れていたかも、という夢想と期待を抱き、多分ここであろうという場所へ行ってきました。

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猛烈な笹薮が行く手を阻み、一時はやめようかなと思いましたが、距離的にはそれほど歩かなくてもすむはずなので、頑張って藪こぎしながら沢沿いを登っていきます。
途中で左岸から右岸へと沢を渡るのですが、沢の転石を見て鉱山に近づいているという確信が芽生えました。
マンガン重石っぽい石が多いのです。
沢が二手に分かれるところでどっちへ進むべきか迷いましたが、黒い石と石英が目立つ方の沢を選択。
しばらくすると感動の瞬間が訪れました。
坑口が左手に現れました!
地形的に上の方にも坑口があると感じたので、尾根を少し登って2つの坑口を見渡せる位置から写真を撮りました。
やっぱり、もう1個小さめの坑口があるようです。

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これが下の方の坑口。

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入り口の壁を見ると、石英が結構目立ちます。
マンガン系の鉱石は石英と共生することが多いことをあとで知りました。

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入口入ってすぐの坑道。
ズリ石が散らばっています。
それほど鉱山が閉鎖されてから年月が経っていないのでしょうか、泥や落ち葉の堆積があまりなく、生々しいです。

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坑道のどん詰まり。
坑道と言っても、奥行きは5~6mしかありませんが。
よく見ると、天井の壁にも石英が見られます。
自形結晶の水晶がないか、ちょっとだけ探しましたが、さすがにそれはなかった。
しかし、ここの石英、青っぽい色をしているものがあるのです。

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僅かですが透明感もあり、石英単体としても見るべき価値のある石が転がっています。
一応、菱マンガン鉱はない模様。
あと、黄鉄鉱、白雲母などが見られました。

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こちらは、上の坑口内部。
奥行き2mもありません。
鉱物的には下の坑口のそれと同一でした。

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いかにもマンガン鉱石といった風情のこの石を持ち帰りました。
マンガン鉱石共通の特徴として比重が重いというのがありますが、この石もずっしりきます。

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拡大してみると、白雲母がかなりあることに気付かされます。
細粒の黄鉄鉱も混じっていると思います。

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縞々の部分が青白く蛍光。
もう1個、石英の小石も持ち帰ったのですが、こちらは蛍光しませんでした。
ひょっとしたら、マンガンの影響でピンクに蛍光するかなと思ったのですが。
新発田の近郊にこんな鉱山が眠っているなんて。
櫛形山脈は奥が深い。
侮れません。







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