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板屋越鉱山の坑口発見! [鉱物 (村上市・板屋越鉱山)]

3年前から何度も足を運んでいる塩野町鉱山で、先日やっと長さがそこそこある本格的な坑道を見つけました。
この鉱山は村上市早稲田地区に位置しますが、当時は塩野町の町域に属していたため、塩野町鉱山と呼ばれるようになったとのこと。
前回(10月24日)の記事でおおよその位置図を載せましたが、すぐ南に板屋越鉱床がみられます。
ここも既に4回探索に訪れているのですが、未だに坑口の発見には至っておりません。
しかし11月25日、5回目の探索でようやくちゃんとした坑口を見つけることができました。

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毎回GPSでログを取っているのですが、あと探索していないのは堰堤2本の先の小沢と、対岸の急斜面を流れている小沢の3箇所になりました。
地質Naviのシームレス地質図によると、この堰堤の先が最も怪しいのです。
この鉱床図の元となっている地質図のそもそもの縮尺は1/20万なので、かなり誤差があるのは承知。
この日、頑張ってこの堰堤を乗り越え、怪しいと思われる沢に入ってはみたものの、肝心の”気配”が出てきません。
それでも標高差で20mくらいは溯行したけど、あきらめて次の堰堤に移動しました。
ところが、もう一つの堰堤は地形図だと等高線の間隔がゆるく、とても想像できないのですが、到底高巻き不可能。
先の堰堤の左岸の尾根を超えていくしか方法がなく、しかしそこまで気力がないので断念。
最後のターゲットである対岸の沢へ行ってみました。

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沢に降りてみて気付いたのですが、右岸がコンクリートで固められています。
上にはダートの林道が走っているのですが、過去何度もこの林道は歩いてはいるものの、右岸がコンクリートの護岸となっていることは知りませんでした。
ちなみに、左岸の河岸段丘にはうっすらと踏み跡の痕跡が残っており、そこを辿ってみました。
まもなく、出合いからいきなりそこそこ斜度のある小沢との分岐に到達。

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塩野町鉱山の前を流れる沢もそうでしたが、カリウム長石の大きな斑晶を伴った斑状花崗岩(花崗閃緑岩)が目立ちます。
向こうとの違いは、こちらでは白雲母と石英をほとんど見かけなかったこと。

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石英はこれぐらいです。
本当に少なかった。

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この小沢の分岐点から標高差にして15mほど登ったところで、念願の坑口発見!
実はあきらめかけていただけに、とても嬉しかったです。

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さすがに入り口には土砂がそれなりに堆積しているので、穴の中へ入るには空身にならないといけません。
しかし、ご覧のように水が15cm前後たまっており、入坑は断念。
入ってすぐ坑道は二手に分かれており、左側の坑道の長さがどのくらいあるのか、ここからは見えません。

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こちらは右側の坑道。
4~5m先で閉塞です。

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穴を出て、さらに登ってみました。
『羽越地域の花崗岩類と鉱化作用』の記述によると、延長数十メートルのヒ押坑道が10ヶ所で掘進されたとのことなので、まだまだ坑口はあるはず。
すぐにゴルジュっぽくなってきて、30m先には大きな滝が待ち構えています。
あの滝の真下が非常に怪しい・・・

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滝壺までのちょうど中間地点の辺りで、明らかに坑口が埋没したと思われる地形に遭遇。
この下に坑口があると確信する自信度80%。

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一応滝壺直下まで歩いてみましたが、残念ながら坑口も露天掘り跡も現れませんでした。
その先に行くには堰堤の大高巻きが必要なもう1本の沢沿いにも、坑口はあるのでしょうか?

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これは1枚目の写真の、堰堤を超えた河原の光景。
激しく河床が上がっています。
8月の豪雨以前から、もはや砂防堰堤の用をなしていない感じ。
ビイロ沢沿いにある日出谷金山(阿賀町)なんかも、砂防ダム建設による河床の上昇で坑口が一つ塞がってしまった、と地元の長老が証言しております。
ということは、ここも同じ理由で坑口が埋没している可能性、なきにしもあらず。
もう一つの堰堤も同じ状況でしょうから、行くだけ無駄のような気がします。







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板屋越鉱床の探索 [鉱物 (村上市・板屋越鉱山)]

新潟県地質図説明書(S52)いわく、「新潟県内のタングステン・モリブデン鉱床は大部分白亜紀花崗岩中のペグマタイト~気成鉱床で岩船地方に多く、その他、日出谷、日本平地区にわずかにみられる。岩船地方には鍋倉、塩野町、金丸等の鉱山が知られるが、量的には問題にならない。」
塩野町鉱山はすでに記事にしてありますが、距離的にも近く、資料によっては塩野町鉱山の一部としても扱われている板屋越鉱床の坑口も見つけてみたいと以前から思っていました。
この3年の間3回訪れているのですが、まだ採掘エリアの発見には至っておりません。
先週と今日とでまだ探索していなかったエリアをくまなく探索し終えたのですが、一定の成果はあったので記事にしてみようと思います。
板屋越鉱床について言及しているのは、”羽越地域の花崗岩類と鉱化作用”(地質調査所月報 第34巻第1号、1983)です。
引用します。
「塩野町鉱床の南方、板屋越の西方、早稲田字番山の板屋越鉱床は、細粒優白色花崗岩中のN40°E、45°Nの石英脈3条から成る。延長数十メートルのひ押坑道が10箇所で掘進された。脈幅15cm±、少量の鉄マンガン重石を伴い、盤際変質に若干の珪化がみられる。」

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場所については、ネットでも見られるこの地質図が参考になります。
鉱床について記載された元の図の縮尺が1/20万なのでかなり大雑把ですし、場所によってはかなりズレもあるのであくまで概念図ということで。
ひ押坑道が10箇所ということは、坑道の数だけカウントすると塩野町鉱山より多いです。
ただ、塩野町鉱山の坑口も既に崩落しているため、こちらの坑口もちゃんと残っている可能性は少ないと予想されましたが、結果としてその通りになりました。

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前喝の地質図の表示をそのまま受け止めると、最も怪しい地点がこの沢を少し入った辺りになります。
ところが、ここよりやや手前の小沢もそうだったように、地形図に載っていない堰堤が現れ、行く手を拒みました。
大高巻きをするのはいやなのでこの沢はスルー。
10箇所で掘進ということですから、あちこちで採掘を行っていたと考えるのが自然なので、怪しそうだった別な地形へと歩を進めました。

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前回見つけた踏み跡を辿っていくと、標高160m付近で急に視界が開け、割りとオープンな地形に出ました。
8月の豪雨のせいか、一面に土砂が流入していますが、ズリっぽい雰囲気もあり、この奥だと直感。

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そして崖崩れ跡かもしれないのだけど、坑口があったと思われる地形に出たのです。

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この河原で見つけた石英。
よく見ると、あちこちに黄鉄鉱の細粒が付いています。

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こちらは典型的な、いわゆる岩船花崗岩。
つまり、カリウム長石を斑晶状に含む粗粒黒雲母花崗岩ということです。
板屋越鉱床ではタングステン鉱物を採掘していたので、鉄マンガン重石や灰重石を見つけてみたかったけど、そういった鉱石は見かけませんでした。
それだけが心残り。

IMG_0024.jpg

そしてもう一登りすると、ここだ!と思われる地形に遭遇。
おそらく坑口は完全に埋没しているのだと思います。
8月の豪雨の後にではなく、もっと以前から。
周辺はかなり荒々しい地形になっており、唐突に空気感が変わるので、その変化を体感できるのが鉱山跡探しの醍醐味でもあります。







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