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明神沢立坑の謎 [鉱物 (弥彦山周辺・多宝鉱山)]

5日、まだ行ったことのない明神沢立坑へ行ってきました。
弥彦山の田ノ浦コースはそのすぐ手前までは行ったことがあるのだけど、ピークハントが目的でなかったため、当初の目的を果たした後はすぐに下山したのです。
今回は山頂の駐車場に車を停め、そこから往復しました。
その方がラクなので。

IMG_5714.jpg

かなり開口部が大きく、ちょっと感激。
今回は明るいフラッシュライトを持ってきたので、どのくらいの深さの竪坑なのか、確かめてみるのも目的でした。

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全体像です。
思ったより深くはありませんでした。

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中間地点。
左端に坑木が見えます。
ゆるく左側にカーブしながら落ち込んでいっているようです。

IMG_5705.jpg

ちょっと位置を変え、ズーム倍率を目一杯上げ、一番下の辺りを写してみました。
目的はもう一つありまして、竪坑が単独で存在するわけがなく、必ずや水平掘りで掘り進めた坑口が近くにあるはず。
幻のメインの坑口を探すのが一番の目的でした。
昨年、明神沢立坑の手前の尾根まで足を伸ばし、明神沢の支流を二つほど現頭部まで詰めてみたのもそれが目的。
ただ、今から思うとそこはちょっと距離が遠すぎるので、今回はもう少し近くの谷筋を調べてみました。
もう一つ、近くに弥彦山の駐車場へ抜ける旧道が残っているという情報を得たので、その踏み跡がわかればそこを辿ってみたいとも思っていました。
実は明神沢立坑へ到着する前にその旧道の分岐も確認したのですが、そこは帰りにトレースすることにして、まずは明神沢立坑を目指したのです。
明神沢立坑、こんなものかな?
さて、明神沢立坑を出て、もう一つのメインの坑口・候補地へ。
そして"洞窟"が現れました。

IMG_5736.jpg

明神沢立坑は竪穴ですから、メインの坑口があるとすれば明神沢立坑より標高的に低い場所にあるはず。
そして、この坑口の標高はその条件を満たしており、期待に胸が弾みます。

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中を覗いてみると思ったより天井が低く、匍匐前進しないと侵入できません。
坑道は左にカーブしており、その先が気になります。
一応上下のヤッケを持ってきていたのでそれを着込み、5mほど進んでみました。

IMG_5735.jpg

あちゃ~、残念。
3m先で閉塞。
試掘だけで終わったみたいです。

IMG_5721.jpg

すぐ脇の小沢も地質的・地形的にいい感じでした。
明神沢立坑より標高は上がりますが、この谷の上部には何かあるかもしれません。
ただ傾斜がかなり急であり、今回はザイルや補助ロープの類は持ってきていないので登攀はあきらめましたが。
前述したように、帰りは今は廃道となっている旧道へ標高444m地点から入っていきました。
最初の80mは踏み跡が視認できたのですが、その先の谷間に入るとほぼ消失。
旧道沿いに坑口が出てくることもなく、旧道歩きは空振りに終わりました。
(その代わり、谷の下の方に古そうなドラム缶が一つ転がっているのを発見。もっとも、これは上のスカイライン側から落ちてきたものだろうし、鉱山には関係ないと思いますが。)

yahikomap0405.jpg

ピンクの線が旧道です。
黄色の区間がなんとか踏み跡が残っていた部分(ちょっと見づらいですが、谷の中心部は完全に踏み跡消滅。適当に谷をトラバースしたら再び踏み跡が現れましたが、それもほんの一瞬でした)。
谷の中心部はガレ場となっており、足元が不安定となるので結構疲れます。
多分ぼくは二度と旧道は歩きません。

※4月6日追記:
2日連続で明神沢立坑の主坑探しに行ってきました。
上の地図でいうと、旧道との分岐点の北北東を流れる沢がありますが、そこを標高350mから390m付近まで遡行してみたのです。
ここになければ主坑は存在せず、あの立坑一つだけである可能性が高くなります。

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ここは左岸を高巻き。
明神沢の方は多くの方が沢登りしているので、ネットで記録を見ることができます。
しかし明神沢沿いには特に坑口が他にないようで、坑口や洞窟の存在を指摘している記録は見つけることができませんでした。
しかしこちらの沢の遡行記録は見当たらず、位置的にもちょうど良さげな場所に位置しているので期待したのですが・・・
河床に降りてみると両岸に踏み跡は全く見当たらず、ところどころこのようなジャングル状の密ヤブとなっているので、歩くのにとことん疲れました。

IMG_5783.jpg

この滝の上にも、いかにも坑口が待ち構えていそうな5~7mの黒黒とした滝が出てきたのですが(上の写真)、鉱物を採掘した痕跡は見当たらず。
明神沢立坑は結構横幅があり、端の方に滑車を取り付け、鉱石を引き上げて運搬していたことも考えられます。
やっぱりあれ一つしかないのかなあ・・・

※2024/02/01 追記:
明神沢立坑が属する正式な鉱山名が判明しました。
驚くことに、ここは多宝鉱山の一角なのです。
図を示します。

弥彦全体図_多宝.jpg

出典:採掘権第202号 多寶鉱山または太刀川鉱山
明治37年宮川伝四郎設定、明治40年太刀川弥十郎へ譲渡、昭和3年太刀川藤一が相続、明治9年放棄(消滅)

東京鉱山保安監督部が大正~昭和初期に作成した鉱区図によると、明神沢立坑の正式名称は明神沢2坑となっており、ぼくがその近くで発見した坑口にも名称が付いており、そちらは大吉二坑となっていました。
その沢の源頭部にひょっとしたらもっと大きな坑口があるかもしれないとぼくの推測を本文に書いていましたが、その推測は間違っていなかったようで、大吉一坑なる坑口があったようです。
しかし、その資料が書かれた当時すでに埋没していた様子。

(一連の情報提供を行ってくれたY氏に心から感謝申し上げます。)








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