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世界線の違う世界 [鉱物 (弥彦山周辺)]

24日、弥彦神社へぶらりと参拝しに行きました。
そのついでに、とある岩礁地帯へのんびりウォーキング。
そのポイントは過去10回近く訪れ、表面採集は既に終えていると思っていた場所なのだけど、今回は我が目を疑いました。
新規の石が多数露出しているではありませんか。
上の方から落下してきたとは、地形を考慮するとあまり考えられない。
帰宅してからも一晩熟慮してみたのだけど、わかりません。
世界線の異なる世界へ足を踏み入れたとしか考えられないのです。
ということで、今回のタイトルが決まりました。
カメラは持って行かなかったので、現地の産状の写真を撮れなかったのが心残り。

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個体①

細かい錐面からなる水晶メインの石です。
ここでは水晶や石英もあることあるのですが、全面的に水晶だけで構成される大きな石は初めて見ました。
2枚目が蛍光写真。
基底部の玉髄が蛍光するので一見全面的に蛍光しているように見えますが、透明な水晶部分は蛍光していません。
線上に青白く蛍光している部分は方解石です。

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個体②

この場所でゲットした石の中では、過去一二を争うほど素晴らしい結晶です。
透明な部分が水晶で、それ以外は方解石。
水晶の結晶自体は歪ですが、大きさがあります。
2枚目は蛍光写真ですが、蛍光具合もゲージュツ的。
方解石で、ここまで水色に近い発色をしている個体は初めて見ました。

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個体③

くぼみの部分に水晶が入っていますが、それ以外は方解石です。
これも蛍光具合が見事。
同じ白でも、寒色から暖色へのグラデーションが素晴らしい。

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個体④

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個体⑤

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個体⑥

このポイントでは典型的な飴色方解石。
飴色の場合は蛍光の強度に個体差があるのですが、これはわりと強めの蛍光を示しました。

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個体⑦

母岩から完全に分離した、方解石だけの個体。
2枚目が蛍光写真なのですが、この個体は蛍光度が弱かったです。
山の神様、ありがとう。





奇跡のマンガン方解石 [鉱物 (弥彦山周辺・鮫銅山)]

19日、おそらく今年最後になるであろう石活にいそしんできました。
場所は弥彦山の日本海側山麓の山奥。
早朝まで雪がちらついており、麓の林道などはところによっては2~3cmうっすらと雪に覆われていましたが、沢に入るとほぼ雪は消えました。

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水量はさすがに多め。
しかし、落ち葉が意外と少なかったので石探しには絶好のコンディションでした。

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この地区での典型的なマンガン方解石の産状。
母岩は緑泥石系の石。
方解石はすべからくマンガンを含んでおり、長波でピンク~赤に蛍光します。
ハンマーで割るとたまに黄銅鉱も出ます、間瀬鉱山界隈の鉱石全体に言えることですが。

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水垢かなんかで黒ずんでいますが、緑泥石の表面が厚さ2cm前後の白い方解石でびっしりと覆われています。
横幅は20cm以上ありそう。
この沢、石英は全く見かけないのですが、マンガン方解石は本当に多い。

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そして奇跡の瞬間が訪れました。
最初は遠目に残雪かなと思ったのですが、近づいてみると大きなマンガン方解石の塊が水中に横たわっていたのです。
これは大きい・・・
しかも結晶の表面がとてもきれいで、水垢が付いていない。
なんだかんだ、ぼくの5年に及ぶ鉱物採集歴の中で、気がついたら方解石、特にマンガン方解石は水晶に次ぐお気に入りの鉱物となっていたのでした。
母岩は含めずあくまで結晶部分の体積でいったら、間違いなくこのマンガン方解石は過去一大きい。

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形状的に結晶部分だけを切り離したり、母岩を半分にカットしたりするのは形状的に不可能に思えたので、このまま両手に抱えて持ち帰りました。
ザックにはまだスペースに余裕があったけど、両手でおへその上辺りに石を押し付けると重心が取れ、安定するんです。
長距離をこのスタイルで歩くのは無理だけど、少なくとも片手で石を入れた袋を持つよりは疲労が少ないことを発見。

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横幅28cm、質量6.2kg。
蛍光具合、最高!


奇跡の索道 [鉱物(下越)]

本格的に鉱物趣味を初めて約5年間になるけど、その間随分下越の山中をさまよい歩いてきました。
索道(鉄索)をはじめとする鉱山遺構を見つけるのも、坑口を見つけるのと同様に楽しいものです。
そして昨日(14日)、初めて未だに立っている木製の索道支柱を発見しました。

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高さがあります。
周囲の杉林に溶け込んでいて、下だけ向いて歩いていたら気づかなかったでしょう。

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真下には、索道関連のパーツが幾つも落ちていました。

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ワイヤーはそれほど太くはありません。
ほとんど垂れ下がっている状態なのだけど、この支柱の立っている向きに注目すれば、その方向に坑口が控えているはず。
それにしても、おそらくは戦前のものと思わる木製の支柱が未だに立っているとは奇跡以外の何物でもありません。
鉄製の支柱でさえ、ちゃんと立っているのは金丸鉱山のそれ(越後金丸駅の近くに1本残っている)以外に見たことはないです。
しかも、立っている地形は尾根上。
まばらに杉の木が立っているとはいえ、かなり風当たりは強いはず。
もちろん積雪も多いだろうに、よくもまあ。

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この先に索道支柱が立っていました。
最初沢沿いに歩いたのだけど、途中から尾根に上がってみたらちゃんとした踏み跡が残っていたので、それを辿っていったのです。

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沢沿いにも鉱山道の名残が残っていました。
かなりヤブっぽかったけど、踏み跡を外さなければ大したことはない。
初冬限定のお楽しみです。

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この山域の探索はこれで2回目。
前回到達した標高まで登ったあと、坑口がありそうと目星を付けておいた谷間へ下降開始。
簡単には行かなかったけど、やっと坑口を探し当てることができました。
なかなかの風格です。
20~30m手前から、小沢に支保工用に切り出したと思われる丸太が何本も散乱しており、前兆はありました。

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入口周辺の壁の一部。
3mくらい手前から壁面は石英に覆われており、期待を抱かせます。

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しかし、内部はほぼ埋没。
左側の黒い土が見られる辺りに15cmの隙間があり、這いつくばって奥を覗いてみると支保工の残骸の一部が視認できました。
しかしその奥で完全に土砂に埋まっている様子。
沢沿いに開口している坑道の場合、やはり崩落&埋没しやすいですね。
あとで地図を見てみたら、この坑口の位置は例の索道の支柱の向きとほぼ一致していることがわかりました。
昔の文献の地図だと、近くにもう一つ坑口がありそうなのだけど、そちらは見つけることができませんでした。

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坑口下部の沢の風景。
ナメが連続しており、沢歩きも快適そうでした。