SSブログ

新発田の千石鉱山 [鉱物 (新発田市・千石鉱山)]

1週間くらい前から新発田のどこかの山中にあった千石鉱山のことを調べているのだけど、事態は急展開をみました。
こないだ胎内市のクレーンストーン博士の館を訪れた際、壁に貼ってあった新潟県地質図の写真を撮ったことを思いだし、その写真を調べてみました。
すると、2010年版のそれとは違う二王子山麓の位置に、鉱山マークが記載されているのです。
こちらの地質図は平成10年版、つまり1998年発行です。
歴史図書館から借りてきた1962年版の新潟県地質図説明書には、各休廃鉱山のある集落名が書かれているのですが、改めて集落名と鉱山マークを照合してみたら、2010年版の地質図は高知山鉱山であり、1998年版のそれは千石鉱山である可能性が高いことが判明しました。
次の問題は場所の特定です。
その地質図は縮尺が1/20万なので、極めて大雑把。
でも、なんとか1/2.5万の地形図上でここかなあと場所を特定しました。
自信度70%。
こうなるといても立ってもいられず、11日押っ取り刀で駆けつけてみた次第。
二王子山麓はほとんど全域、山菜採りやなんやかやで全ての林道を走破ないし踏破しているし、踏み跡だけの道もかなり歩いています。
そして、今回ここかなと狙いを付けた地点は、やはり以前その沢の出会い付近まで歩いたことのある場所。

IMG_1700.jpg

沢に降りたってすぐ、左手の支沢に入ります(写真ではわかりにくいですが、ここで沢は二手に分かれいます)。

IMG_1713.jpg

支沢は水量も少なく、そこそこ歩きやすいです。
歩き始めてすぐ、写真のような大きな石英(珪石)があちこちに転がっていることに気づきました。
間違いありません。
千石鉱山では珪石を採取していたので、この小沢が坑口につながっているに違いないと確信しました。

IMG_1718.jpg

1/2.5万地形図では、小沢に入ってから標高差にして60~70mも登るとある地形を示す記号が現れるので、その辺かなと思っていたのですが、なかなか坑口らしきものが見えてきません。
やがて沢の水はほとんど涸れ、沢は傾斜を増し、これ以上は無理なんじゃないかと思い始めた頃、坑口は現れました。

IMG_1725.jpg

IMG_1730.jpg

内部は1m先から水没しています。
先人の探検記?によると、サンショウウオの卵があったと書いてあるのですが、水辺には近づいていないので、そこまでは確認できませんでした(というか、その時点でヘロヘロだったので、中へ入ってみたい欲求は起きなかった)。

IMG_1728p.jpg


入り口の壁です。
石英脈が露出しています。
ところで、この坑口周辺だけでなく、ここに至る沢沿いで見られる石英は全部不透明な白いものばかりでした。
たまに灰色がかったものもありますが、透明~半透明のものはひとつも見つけることができませんでした。
もちろん透明なポイントも無し。
岩の隙間の粘土を掘ってみても、石英しか出てきません。
ただ、個人的には純白の水晶(石英)は好きです。
これらが全部アゼツライトの原石だと思えば(アゼツライトは半透明なものより純白度の高いものの方が値段が高い)、まったく不満はありません。

IMG_1743.jpg


さて、先人の記録によると、この上にもっと坑口が控えていると書いてあったのを思い出し、沢をさらに詰めていきました。
しかしながらここから先は傾斜が増し、ぼくの臨界点を間もなく超えました。
標高差にして20mほど登ったところでUターン。
最初の坑口からはひたすら腕力登りが続き、ザイルを持って来ていないのでこれ以上進むと下降に危険を伴うと思ったからです。
帰宅後先人の記録を読み返してみたら、西側に露天掘り跡が出てくるので、そこから西へ西へと向かったとあります。
そこは覚えていませんでした。
先人の探検記には火薬庫の写真まで載っているのですが、とてもそこまで探索する心の余裕も体力の余裕もなかったので、ぼくは上部の坑口に到達できないまま引き返しました。
それにしても、この先人氏~鉄人M君~はスゴイ。
もっとも、かつてこの鉱山で働いていた人も超人ですけどね。
ぼくは廃坑マニアというわけではありません。
天然石のあるダイナミックな風景をこの目で見たいというのが、今年になってから始めた鉱物ウォーキングの動機です。
その観点からすると、今回は十二分に満足しました。
目的地に辿り着いただけでも奇跡のようなものです。
これからも無理をすることなく、鉱物ウォーキングを続けていきたいと思います。

IMG_1738.jpg
(引き返した地点からの風景。)

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。