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金丸鉱山跡を訪ねて [鉱物 (関川村・金丸鉱山)]

米坂線の越後金丸駅から北へ5kmほど入った山中で昭和7年(1932)、行者がタングステン鉱石を発見、昭和11年(1936)から観世音鉱山として操業を開始。
その後、太平洋戦争による休山をはさんで、昭和23年(1948)に日本窯業化学が上ノ沢鉱業所を開設、以後日本で最も高品質の長石を採取する鉱山として平成20年(2008)まで操業していました。
鉱山のあった上ノ沢には昭和41年(1966)10月の時点で38世帯93人が暮らし、60人が他地区から鉱山へ通っていたとか。
新潟県金丸鉱山のペグマタイト鉱床について」というPDF資料がネットにアップされているので、リンクを貼っておきます。
詳しい探訪記を探したけど、ネットでは見つけることができず、ここで拾ってきたという鉱物の写真をあるブログで見ることができたのみ。
さて、現状やいかに?


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国土地理院の1/2.5万地形図に長石橋という固有名詞が書いてありますが、そこまで車で入ることができました。
そこから先も林道は続いておりましたが、路肩を補修したり舗装したりなどの工事のため、一般車の通行はできません。
そこから7~8分も歩くと、林道脇に写真のような純白の石英が転がっているのが目に止まりました。
先日訪れた、新発田の千石鉱山もこのような白い石英が見られましたが、個人的に純白の石英は大好きなのでワクワク感が募ります。
上ノ沢の渓相も素晴らしく、鉱物探し抜きにしてもすぐれたハイキングコースたりうると感じました。

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途中右から大きな沢が3本ほど合流し、最後の沢を過ぎると林道はそこまでで、そこから先はご覧のように踏み跡だけとなります。
長石橋から25~30分ほどで最初のズリが左手に現れます。

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斜度もこの辺は緩く、好みの石捜しが簡単に行えます。
この辺は石英が最も多く、次いで長石でしょうか。
石英とよく似ているので見極めが難しいのですが、結晶質石灰岩もあるようです。
ぼくのように石英が目的なら、この先のズリよりこちらの方が石英の数が多く、質も高いものがごろごろしているので、最初のズリでUターンしても構わないと思います。
尚、このズリはかなり奥まで続いているのですが、時間の関係で奥の方は足を踏み入れていません。

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その後ヤブこぎがしばらく続き、そこを抜けると一気に展望が開けます。
右には大きな堰堤があり、その手前に電柱のようなものの残骸がありました。
そして、左手には大きなズリが現れます(上の写真)。
おそらくこれが観世音沢だと思います。
斜度は20度前後でしょうか。
傾斜はそれほどでもないので、どんどん上へ歩いていきます。
足場はしっかりしているので、思ったより歩きやすかったです。

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ズリの中間部。
まだ傾斜はそれほどきつくないので、どんどん先に進みます。
このズリは石英が長石より多く、両端にはかなり大きな石もあります。
ただし、ポイントが群集した水晶や、半透明な石英は皆無でした。

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観世音沢のズリ上部。
ここから30mも進むと両側が崖となり、そこで引き返しました。
例のPDF資料の地質図と照らし合わせると、3抗の南50m下で折り返したようです。

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長石です。
花崗岩のピンク色の部分はカリ長石ですが、それが肥大化したものです。
真っ白な石英に比べると暖色系の色合いなので、一目で見分けが付きます。


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こちらは石英もしくは珪石。
表面に銀色に光る物質が付いていますが、これは何?鏡鉄鉱?
銀色の細かな粒子は、長石にも付いているものがありました。
(2020/05/23 追記:輝水鉛鉱でした。)

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こんな感じで、ズリの端っこの方には大きな珪石がごろごろしています。


IMG_1873.jpg

1/2.5万地形図を見ると、最後の堰堤の左斜め上に神社マークがありますが、そこを突き止めるのがひとつの目的でした。
結果的によくわからなかったのですが、この廃屋がそうなのかな?
中には入っていないので、未確認ですが。
(2020/05/23 追記:神社でした。)

IMG_1875.jpg

ここから後ろを振り返ると、コンクリートの残骸の一部が視界に入りました。
位置的には、あのあたりが大切抗ではないかと。
PDF資料によると、鉱床上部は海抜約570mの地点に露出し、1抗、2抗および3抗の坑道によって地表下約100mの深さまで開発されうんぬん・・・とあります。
1/2.5万の地形図を見ると、道は標高520mのあたりまで続いていますが、間違いなくこの道は鉱床上部に至る道だったのでしょう。
現在はこの道は自然に帰してしまい、深いヤブに埋もれています。
もう2~3週間早かったっら、ひょっとするとトレースできたかもしれませんが。
PDF資料の地質図や坑内透視図を見ると、非常に大規模な鉱山だったことがわかります。
石英や長石以外にも様々な鉱物が採取されていたようですが、おそらくそれらの鉱物もあの広大なズリに見られたのでしょうけど、見てもわからないので写真は撮りませんでした。
できれば柘榴石は見つけたかったのですが。
帰宅後、改めてネットでいろいろ調べていたら、平成10年度に写された選考場の写真を見つけました。
リンクを貼っておきます。
今とは全然草木の生え方がちがいますね。
これなら地形がよくわかります。
それにしても、往時はここに上ノ沢分校があったんですね。
ちょっと信じられません。
時代は変わりました・・・

IMG_1884.jpg

帰り道、渓谷の写真を撮りながら歩きました。
沢歩きも楽しそうです。
沢沿いの岩壁には、水晶のポイントが隙間に生えているなんてことはないのかな?
支沢もいい感じだったので、いつか沢歩きしてみたいです。

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コメント 2

rika

いや〜
本当に凄い!
by rika (2019-05-21 20:50) 

carlossato

ここでは鉱山の全景の写真はアップしていないのだけど、ものすごく気持ちのいい山です。また行きたいなあ。
by carlossato (2019-05-21 21:04) 

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