SSブログ

金丸鉱山のズリ [鉱物 (関川村・金丸鉱山)]

金丸鉱山へ行くのは今回が3回目(昨年2回)。
標高550m前後に展開する露天掘り跡や、幾つか残る坑口を見てみたいのは山々なれど、今回(22日)も昨年同様ズリの鉱石を見て回ってきました。

kanamaru_mapmono.jpg

金丸鉱山も現在急速に自然に還りつつあり、国土地理院の地形図なども林道が見直されてしかるべきです。
これは今回ぼくが幾つかの文献を元に作成した地図なのだけど、まず、林道は砂防堰堤横までで消えています。
その先もしばらくは踏み跡が残っていますが、GPS機器で記録した赤い軌跡の末端の辺りでほぼ消滅。
神社もとっくに祠の屋根が崩壊しており、周囲も深いヤブに覆われているので、4月中に行かないとその屋根でさえ見つけるのは容易でないと思います。
緑で囲った部分が今回訪れたズリ、黄緑で囲ったズリは今回は探索しませんでした。

IMG_3396.jpg

こちらは大成坑のズリ。
結構横幅があり、こちらは左側なのですが、右へ行けば行くほどやや傾斜が増します。
ここまでなら長石橋から歩いたとしても、所要30分で来ることができます。
今回気づいたのですが、観世音沢沿いのメインのズリよりはるかにカリ長石や石英の密度が高く、それらの石で良かったらこのズリを探し回ったほうが効率がいいです。
尚、昨年4月に初めて訪れたときは大成坑の施設の一部が視認できましたが、今回は葉っぱが生い茂っていたため視認できなかったです。


IMG_3389.JPG

こんな純白の石英がゴロゴロしています。
もう少し透明度が高いものがありますが、それらは灰色に濁っているものが多く、キレイなものはあまりありません。

IMG_3369.jpg

こちらは観世音沢の入り口付近(標高365m)。
5月の中旬ともなると、観世音沢の入り口が木々に埋もれて見えないので、初めて来る方は迷うと思います。
20mほどの藪こぎでこの地点へ来ることができます。
中央に古タイヤが見えますが、このタイヤが目印。
おそらくずっとこのタイヤはこの場所にあり続けると思うので、タイヤの有無を一応確認するといいでしょう。

IMG_3374.JPG

観世音沢上部です(標高415m)。
今回標高422m地点で引き返しましたが、この先で傾斜は一気に増し、沢沿いのズリ歩きはこの辺までです。
膨大な数の鉱石が散乱していますが、鉱物の種類はそれほど多くはありません。

IMG_3402p.jpg

大きい方の石英で、横幅14cm。
アゼツライトの原石のような、非常に質感の高い石英は大切坑のズリで簡単に見つけることができます。

IMG_3383.JPG

金丸鉱山でよく見かける、輝水鉛鉱付きのカリ長石(こちらは観世音沢のズリにて)。
金丸鉱山の鉱床は、細粒黒雲母花崗岩とアプライト質岩から成るペグマタイト鉱床です。
ここで見られる鉱物は、黒雲母、白雲母、ざくろ石、曹長石、輝水鉛鉱、燐灰石、灰重石、鉄マンガン重石、石英、微斜長石、カリ長石など。
ただし、長石系と石英以外は丹念に探さないと見つからないかも。
鉱床は標高550~570m地点に露出し、1坑、2坑、及び3坑の坑道によって地表下約100mの深さまで開発されています。



nice!(0)  コメント(3) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 0

コメント 3

mikenekodoki

私が金丸鉱山の仕事をしていた頃は、3号坑より30m下部の5号(4は縁起悪いから)坑から入坑、採掘を行い、4トントラックで越後金丸駅に隣接した選鉱場に搬入して、手作業で長石、珪石を選別します。
金丸鉱山は日本二位の規模の長石ペグマタイト鉱床ですが、晶洞は無く、水晶は産しません。石英は白い塊状鉱のみなのが残念です。文中の「大切坑」は昭和20年頃に、長谷沢(金丸鉱山の反対側の沢)のタングステン鉱を搬出するための開削中にペグマタイト細脈を発見。地上の探査を行い、不老峰付近で長石の大露頭を発見、(株)日本窯業化学が設立され、カナマル(株)と経営が変わりながらも閉山まで長石の採掘を続けました。私が携わった仕事は、坑内採掘から露頭採掘に切り替える作業でした。
平成4年に鉱山会社から製造業に転職して、今は宮城県にいます。時おり新潟県に行く時に小国から金丸駅前を通ります。とにかく懐かしいですね。平成10年頃に山元に行きました。写真の山神社から少し下った場所に砂防ダムを建設するらしく(たぶん上の沢と水鉛沢の合流付近、小学校跡地下)、車で容易に行けました。ブログを拝見して、山神社の傾いた建物や、草に覆われたずり捨て場を見て月日の経過をしみじみと感じました。金丸鉱山跡を探訪していただいて、金丸鉱山のことをブログという形で皆様に知らしていただきありがとうございます。もし金丸鉱山に関して何かご質問有れば、昔のことで、記憶にない事柄も有りますが私の分かる範囲でお答えします。
私のメールアドレスです
hanabi-shi@docomo.ne.jp
by mikenekodoki (2021-04-29 22:28) 

mikenekodoki

一号坑から三号坑(坑口崩落により入坑不可)までは山神社の尾根に有り、五号坑は大切坑の上部約50mに有ります。二号坑、三号坑、五号坑の標高差はそれぞれ約30m。坑内採掘は平成元年頃まで五号坑から上部をシュリンケージ採掘で行い、一部3号坑上部を採掘。三号坑は五号坑より梯子で昇り、切羽に到達。鉱床が大切鉱レベルまで延びているため、六、七号坑まで計画されましたが下部は珪石が増え、長石のアルミナ成分も低下するため断念。鉱床上部の露天採掘に方針変更しました。あの大切坑は山の裏側に抜け、タングステン鉱山への資材運搬と鉱石搬出に掘削されたもので、タングステンの需要が減り、長石の採掘が始まると採掘場所も現在の場所になったために坑口を閉塞して貯水槽に用途変更し、生活、選鉱用水に使用しました。七号坑まで採掘しなかったため、厳密には金丸鉱山の大切坑は五号坑になります。ずりも大切坑から手前のほうが坑内採掘、山元選鉱で生じたもので、各種鉱物が採取できます。観世音沢のずりは露天採掘の際に剥いだ表土が主です。懐かしくてまた再訪したいですね。長石橋から歩くのは年齢的に大変だから、以前のように車で上の沢小学校跡地(砂防ダム横)まで行けると良いのですが・・
by mikenekodoki (2021-04-30 09:35) 

carlossato

mikenekodoki様、
詳細な情報、どうもありがとうございます。
鉱山関係者の方の書き込みは非常に貴重です。関係者でしか知り得ない情報も多く、このブログを御覧になっている鉱物ファンの方もみなさん感激しているのではないでしょうか。
改めて御礼申し上げます。
by carlossato (2021-04-30 23:03) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。