SSブログ

金丸鉱山の関連施設跡 [鉱物 (関川村・金丸鉱山)]

改めて、ざっと金丸鉱山の歴史を概説します。
昭和7年、行者が上の沢の上流で光沢のある鉱物が付着した石を発見、それがのちにタングステン鉱石であることがわかり、昭和11年から採掘作業が開始されました。
第二次大戦による休業期間をはさみ、一帯に長石が多いことから長石の採掘を目的に日本窯業化学が上ノ沢鉱業所を昭和23年に開設。
翌年には上ノ沢と、越後金丸駅に隣接する選鉱所を結ぶ全長4650mの索道を建設、昭和25年より採掘を本格的に始めました。
上ノ沢には鉱山集落が形成され、昭和41年には38戸93人が生活していたといいます。
小中学校の分校も置かれていたのですが、長石需要の減少により昭和44年には中学校の分校が、昭和50年には小学校の分校が閉鎖され、住民も離村しました。
しかしながら鉱山は閉山せず、規模を縮小しながらも通いの従業員で細々と営業が継続され、完全に閉山となったのは平成8年のことでした。
金丸鉱山で採掘された長石は陶磁器の原料に使われ、それらの産業が盛んな名古屋方面に出荷されたとのことです。

さて、あるサイトを見て、索道の鉄塔が1基残っていることを知りました。
昨日の記事では越後金丸駅周辺にあった貯石場の広場からの星景写真を載せましたが、やはり昼間の風景をじっくり見てみたかったので翌日も現地を訪れました。

IMG_4779.jpg

荒川の対岸にその鉄塔は立っていました。
具体的には前瀬集落の外れです。
高さは30m近くあるでしょうか。
周囲は長石と石英の小さな破片が無数に散りばめられており、きれいな小石が拾えます。

IMG_4792.JPG

実は前瀬集落から400m上流の河原に”さざれ石”が見られると、今はなき金丸小学校のHPで見たもので、さざれ石の河原を探すべく、前瀬からさらに農道を進みました。
その農道が途中から、さっきの鉄塔周辺の広場と同じように小さな長石と石英のチップが敷き詰められており、この写真のようにこぶし大の石もそこかしこに点在していたのです。

IMG_4787.JPG

わ~い、ズリだ!
鉄塔周辺の広場にはこんな場所も。

DC_IMG_4849p.jpg

そこで見つけた質量800gほどの鉱石。
おそらく輝水鉛鉱だと思います。
黒雲母も多少付いているのかもしれません。
金丸鉱山の初期の頃は前述したように、タングステン及びモリブデン鉱石を採掘していたので、そのいずれかの石を見つけるのも目的でした。
山元でも少しは見かけましたが、これほどびっしりとメタルチックな鉱物に覆われた石は初めて見ました。
スキーのリフトに乗ると、鉄塔を通過するたびにガクンと小さな衝撃を受けますよね。
ですから、この索道の鉄塔を通過するたびにコンテナが揺れ、少しづつ鉱石がこぼれて鉄塔の周辺に巻かれたのではないかと推測します。
結局、さざれ石の河原には行けませんでした。
踏み跡がヤブに埋もれており、最初から戦意喪失。
軽装で来ていたので即Uターン。

IMG_4833_ookura.jpg

IMG_4834.JPG

金丸集落の高台に、今は廃校となった金丸小学校の建物が残っています。
そのさらに後方に神社(写真)があります。
境内に名称を示すものはなかったのでネットで調べてみたら大蔵神社ということでした。
鳥居の右横に大きな岩が2つ並んでいるのですが、この黒い鉱物はそれらの岩に露出していました。
モリブデンの主な鉱石は、鉄重石、マンガン重石、灰重石、鉄マンガン重石。
タングステンの主な鉱石は、輝水鉛鉱、モリブデン鉛鉱。
これのいずれかだと思うのですが、手持ちの数冊の図鑑で調べた限り、鉄重石がもっとも似ていますかね。

IMG_4822.JPG

場所は変わって、採石場跡の大斜面です。
グーグルアースのストリートビューでこの前の道路がカバーされているので比べてみると、グーグルアースの画像に比べると圧倒的に現状はヤブに覆われているのがわかります。
左手に重機が10台前後置かれている広場があり、その前には道路をはさんでグーグルアースではなかったプレハブの事務所が立っています。
ですから、完全に採石場が閉鎖されたわけではないのだろうけど、事業規模はかなり縮小されているのでしょう。

IMG_4813.JPG

ここから越後金丸駅側に歩を進めると、左手に廃屋が現れます。
前日の夜に来たときは気づきませんでした。
調べてみると、金丸鉱山の事務所だったようです。

IMG_4814p.jpg

昨日の記事の最後の写真で写っているのがこの建物(選鉱所跡)です。
その背後にまわってみたら、索道の鉄塔が視界に入りました。
そして、このときは気づかなかったのですが、PCで画像処理していると、金丸鉱山の標高570mにあった露頭上部が写り込んでいることを発見しました。
ナルホド、あそこからここまで一直線に見渡せるのですね。
索道のルートが一目瞭然。

IMG_4797.JPG

選鉱所の中はこんなになっています。
ここにも長石と石英の細かなチップがありました。
金丸鉱山ではカリ長石メインに、石英、灰曹長石、微斜長石、柘榴石(ガーネット)、白雲母、黒雲母、燐灰石、方解石、磁鉄鉱などが見つかっているので、この山をほじくり返せば何かお宝が見つかるかもしれませんよ。







nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。