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塩野町鉱山・選鉱場跡 [鉱物 (村上市・塩野町鉱山)]

新潟県北部(村上市管内)にあった鉱山で、どうしても行ってみたい鉱山がありました。
それが塩野町鉱山。
塩野町という名前が付いていますが、当時はその場所が塩野町に属していたからその名前が付いたのであって、現在は早稲田地区になります。
この鉱山は結構いろいろな文献に出てくるのですが、地図を掲載している資料はなく、具体的な場所を特定できないでいたのです。
ところが2ヶ月前に、とうとう鉱山の位置を記した資料を見つけました。
その資料名は~「早稲田里山の自然と歴史」2018年3月発行~です。
新潟県地質図説明書(S52)にも塩野町鉱山についての記載がありますが、上記の資料の方が詳しく書いてあるので、この資料から一部抜粋します。

「昭和20年前後から昭和34,5年にかけて、草場鉱業㈱と華陽鉱業㈱によって稼行された。・・・鉱物は銅、硫化鉄、モリブデン、タングステン等であった。1953年の生産実績は、重石精鉱200kg(W65%)、水鉛精鉱200kg(Mo85%)が報告されている。」
鉱床形態:鉱染~一部脈状
地質:岩船花崗岩に属する斑状花崗岩が主に分布し、これを東西方向に貫いて含柘榴石両雲母花崗岩が貫入している。
鉱床:含柘榴石両雲母花崗岩中のアプライト質部の一部がポケット状に白雲母・柘榴石によって交代され、その中に輝水鉛鉱・鉄マンガン重石が鉱染したグライゼン鉱床で、脈幅1m、走向長50m、傾斜長10mの3鉱体が知られている。
鉱石鉱物:ポケット状交代部では輝水鉛鉱、鉄マンガン重石がみられ、黄鉄鉱、黄銅鉱、閃亜鉛鉱も伴われる。
脈石鉱物:白雲母、柘榴石、石英

この資料に、選鉱場と採掘坑の写真が載っており、取りあえず選鉱場を目指して行ってみました。

IMG_6014.jpg

坑口は例の資料から判断すると、標高230~250mの尾根上にあるようです。
上の写真で、ちょうど正面の杉林の向こう側にあたります。

IMG_6016.jpg

1/2.5万地形図には載っていない林道が途中から分岐しており、そこを50mも歩くとこの河原に出ます。
最初ここがズリかなと思ったのですが、自然の崩落地形だったようです。
写真には写っていませんが、すぐ左手にかすかな踏み跡がありました。
踏み跡の入り口にはポカリの空き缶が捨ててあり、それが目印。
ただし、杉林の中に続く踏み跡は不明瞭で、行きは尾根の取り付き部まで最短距離で林内を歩いてアプローチ。
ヤブは浅く、おそらく夏場でも行こうと思えば行けるのではないかと。
しかし、尾根の取り付き部まで来ても、尾根の上に続く踏み跡は見当たりません。
仕方ないので、左横方向に河岸段丘上をトラバース。
そして、まもなく念願の選鉱場跡と思われる3段の石垣が視界に入りました。

IMG_6021.jpg

天気は生憎小雨が降り止まず、時刻も既に15時半を過ぎていたので現場は薄暗く、ストロボを焚かないとどうしようもない状態。
カメラ内臓のショボいストロボなので、これ以上離れると光が届きません。
この石垣、3段になっているのですが、もっと引かないと全景は写りませんね。

IMG_6033.jpg


この石垣の前に3m四方の広場があり、そこに鉱石が散乱していました。
ズリというほどの量ではないのですが、どれもキラキラした白雲母や輝水鉛鉱が付いています。
先の河原の転石には、このような鉱物は見られませんでした。
石垣の横幅は20~30mくらいでしょうか。
両端に上へと向かう踏み跡があり、一応どちらも歩いてみましたが、それらの踏み跡上にもポツンポツンと鉱石が転がっています。
そのどれにも白雲母が付いていました。
ちなみに、ヤフオクに以前”塩野町鉱山産の鉄礬柘榴石”が出品されていたことがありますが、ぼくが今回見かけた石も全部これと類似の石ばかりでした。
このような石でよければ、選鉱場跡の周辺でいくらでも拾うことができます。


IMG_6028.jpg

かつて選鉱場が立っていたであろう丘の裏に回り込むと、両方向からの踏み跡は合流し、左側を流れる小沢(上の写真)を横断し、さらに奥へと続いていました。
今回はここでUターン。
坑口が記された尾根はこの沢の右手の尾根上にあるはずなのですが、踏み跡はもう少し上手で尾根へと進路を変えるのか、それとも比較的平坦なこの林内の奥に坑口が待ち受けているのか、それはわかりません。
例の文献でも坑口は複数個あるニュアンスで書いてあるし、坑口探しは次回のお楽しみということで。
ただ、例の資料に書かれた地図が正しいとすると、標高差は約100mしかないものの、傾斜がかなり急なので、ちゃんとした踏み跡が残っていないと突っ込んでいく気にはなれません。

IMG_6036.jpg

今回4つの小さな石を持ち帰ったのですが、基本的にどれも成分は同じ。
白雲母が大半を占めます。
この石に限っていえば、真ん中あたりに濃いグレーの部分が見られますが、これは亜鉛系の鉱物だと思います。

IMG_6049.jpg

まだ柘榴石が付いている鉱石を拾ったことがなかったので、柘榴石が付いていないかチェック。
透明な部分は石英ですが(長石の可能性もある)、パラパラと小粒の柘榴石がそこに隠れていました。

IMG_9277.jpg

こちらは別な石の部分拡大。
柘榴石の最大サイズ、1.5mmくらいでしょうか。
次回はもっと大きい結晶を見つけたいと思います。

IMG_9286.jpg

シルバーの光沢を持つ結晶は白雲母(モスコバイト)。
次回は特に白雲母と柘榴石のさらなる美晶を見つけてみたいです。


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