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在りし日の金丸鉱山 [鉱物 (関川村・金丸鉱山)]

先日、金丸鉱山(関川村)の元従業員であるKさんから、Kさんが元上司のS氏より最近譲り受けたという金丸鉱山の貴重な写真をたくさん頂きました。
およそ10枚に及ぶこれらの写真、Kさんがスキャナーで1枚ずつPCに取り込みデジタルデータ化したもの。
まだ同鉱山が現役で稼動している時の写真としてはオンリーワンだと思います。
S氏もKさんも「ぜひネットで公開してください」との意向をお持ちなので、この度在りし日の金丸鉱山の写真を掲載することにしました。


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平成7年(1995)5月撮影の、山元の全景です。
次の写真は撮影年は不明ながらも、Kさんいわく、多分1枚目と同じ頃の撮影だろうということです。

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Kさんが逐一文字を書き込んでくれたので、施設の全容がよくわかる大変貴重な1枚。
金丸鉱山は平成2年に坑道採掘をやめ、露天採掘に切り替えました。
しかし、平成7年当時はまだ標高550m前後に位置する露天掘り現場への道路はなく、索道で露天切羽から事務所と選鉱場との間に設けた貯鉱所まで搬送していたそうです。
この頃には露天現場で選別してから採掘するので、山元の選鉱場は使わなくなったとのこと。
ところで、1&2枚目に写っている事務所(兼休憩所)の建物には次のようないわれがあります。
昭和42年、羽越豪雨が下越を襲い、木造の建物だった事務所も土砂崩れで倒壊してしまいます。
再建にあたり、今度は耐久性に優れた鉄筋コンクリート造にすることを決意。
取り急ぎ、当時の村上市役所の設計図名を借り、2階部分までを山元の作業員だけで建築したとのこと。
この事務所が現存していれば、有形文化財に指定したいところですね。


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豊富な湧水は鉱石の水洗いに使用されました。
下には小さな鉱石、硅石、ズリが堆積して山になっています。
これらの一部は林道の敷石として利用されました。

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平成7年、露天採掘が下部へ移行し(切羽レベルは標高400m付近)、それに伴い露天採掘現場へアクセスする道路の開削工事が始まりました。
鉱体を覆っている膨大な表土を取り除くため、大型重機の導入を決意。
鉱石も大型重機で運搬するため、索道はその後不要になりました。

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標高550mオーバーの斜面で露天採掘を開始したのは平成1年(1989)。
これはその年に写された写真です。
この頃は長年の坑内採掘により地表部分が陥没、長石鉱体が露出していたため、表土の除去はそれほど困難ではなかったようです。
しかし採掘が進み、切羽が下部に移行するにつれ表土の量も膨大なものになっていき、苦労が絶えなかったとのこと。

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別なアングルから。

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こちらは平成7年当時の露天採掘現場。
白い部分は長石、灰色~茶色の部分は表土。
取り除くべき表土の量が圧倒的に増えている様子が伺いしれます。
重機で除去された表土は、すぐ下の観世音沢に捨てられました。


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大切坑のズリが正面に写っています。
昨年秋~今年の春の間に大切坑上部で大規模な土砂崩れが発生し、大切坑のズリは残念ながら見るも無残な姿に変わり果てました。

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平成6年(1994)12月の金丸鉱山。
昭和50年頃、山元からJR越後金丸駅までの鉱石の運搬を索道からトラック輸送に切り替えたため、山元にあった上の沢小学校の分校は廃校となります。
それに伴い従業員の方たちも、山元から下山、常駐生活にピリオドを打ちます。
越後金丸駅横にあった鉱山事務所へ出勤、そこから会社所有のジープに乗り、山元へ通勤する形に変化しました。
そして、上の写真ではまだ根雪にはなっていませんが、豪雪地帯ゆえ冬の間は完全に孤立してしまいます。
そのため、冬期は越後金丸駅横に鉱山事務所に出社、その隣にあった選鉱場で春~秋の間に貯鉱した長石を選別する作業に従事したそうです。

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この写真を見るまで、てっきり上の沢小学校の分校は事務所(赤い屋根の建物)の周辺にあったものと思い込んでいました。
これを見ると、かなり上手の方にあったのですね。
地形図を見ると、大きな砂防ダムのすぐ先の右岸に平坦な地形があるので、そこに建っていたようです。

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最後に、今年5月11日にぼくが上の沢を挟んで対岸の尾根から写した露天採掘現場跡です。
山元から露天採掘現場に至る道路は既に自然に還っており、トレースは不可能。
観世音沢を詰めるのが現実的ですが、最後の方が絶壁に近くなっているので、こちらのルートも困難。
グーグルアースの空中写真を眺めつつ、大きく溜息をつくぼくでした。

※謝辞:改めてKさんとS氏に心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

※11月28日追記:Kさんが金丸鉱山のHPを作りましたのでリンクを貼っておきます。
色々なエピソードも書かれてあり、圧倒的な情報量と相まって非常に読み応えのある内容となっております。
http://stampmichi.sakura.ne.jp/kanamaru-kanzenon-mine.htm









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