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これが弥彦鉱山か、それとも? [鉱物 (弥彦山周辺)]

「ミックンのつぶやき」」のミックンの労作の一つに、”間瀬銅山鉱区変遷等”の表があります。
ここに間瀬銅山以外に名称の上がっている鉱山として次の4つが挙げられています。
多宝鉱山、浦浜鉱山、弥彦鉱山、坂井鉱山
さて、弥彦鉱山に関しては、ミックンのHP以外に取り上げているサイトはありません。
それどころか、国立国会図書館デジタルライブラリーでも日本鉱業新聞と日本鉱業名鑑に名前が出てくるだけで、詳細は不明です。
つい先日「日本鉱業名鑑」(大正7)を目にする機会があったのですが、そこに弥彦鉱山の鉱業権者である渡辺藤吉氏の名前がありました。

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坪数も生産量も”間瀬銅山鉱区変遷等”の表に一致します。
弥彦鉱山の坪数は118,653となっておりますが、これは多宝鉱山の120,298と似通っており、少なくとも面積だけはそこそこ広かったことが伺えます。
場所について触れている資料はなく、多宝鉱山の区域と坑口を特定できた今、今度は弥彦鉱山の場所を特定したいと思い、最近3回ある沢を訪れました。
この沢に目を付けたのは、例の「ミックンのつぶやき」の”鮫銅山 鮫銅山跡”というページの最後の方に弥彦山周辺における鉱脈の記述があるのですが、次の一文がずっと引っかかっていたのが要因。
引用します。
「第六の鉱脈は、嘉永年間(1848-54)に発見されたが、場所が場所だけにおおっぴらに採掘できず、鉢前と石瀬の嫁行人が盗掘したのみと云う。」
過去2年間、場所が場所だけに・・・に該当すると思われる怪しい場所をあれこれ探し回っていたのですが、やっとあらゆる角度からみて、その表現がピッタリ当てはまる場所を見つけたのです。
そして、坑口を二つ発見!
ただし、これが弥彦鉱山かというと明確な証拠はありません。
弥彦鉱山は大正時代に稼働していた鉱山であり、上記の資料では過去形で書かれています。
ただしこの資料は明治24年に書かれたものなので、その後再び採掘が始まったと考えることもできます。
坑口はぼくの調査では2つしか見つけられませんでしたが、日本鉱業名鑑記載の弥彦鉱山の坪数を周辺の地形に当てはめてみると、渡辺藤吉氏が買い取った山林の区域が容易に推定でき、その面積がおおむね一致するのです。
ただ、それ以上に決め手となる要素はなく、彌彦神社に比較的近いので弥彦鉱山と名付けたのではないかという原始的な理由もあって、ここでは弥彦鉱山である可能性がかなり高いとして取り上げる次第。

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大きな最終堰堤を越えると、すぐにこの堰が出てきます。
これがこの沢における最後の人工物。

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やがて沢はゴルジュの連続となり、最初の滝で右側に坑口が現れました。

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坑口内部。
途中から坑道は極端に狭くなり、その先へ行くには匍匐前進しなければなりません。

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坑内はあちこちから水滴が垂れてくるので、当時の作業も困難だったことでしょう。

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坑口を出てひと登りすると、すぐにまた滝の横に坑口が現れました。

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これはかなりでかいです。
なにげに、坑口へ入るのに2mの壁を登らなければならず、足場が非常に狭いため神経を使いました。

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これは長そうです。
しかし水深15~20cmくらいの水溜りを超えていかねばならず、今回は見合わせました。
ところどころ壁面に銅の二次鉱物と思われる水色~青緑色の鉱物が見られ、ここが銅を採掘していた鉱山であることを思い起こさせます。

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実際奥へ進んでみないと坑道の全長はわかりませんが、少なくとも入り口から25~30mはまっすぐ坑道は伸びています。

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この沢の風景です。
2回目の探索でかなり上流まで登り、枝沢も2本遡行しましたが、特に坑跡は現れず。
しかしながら、坑口らしい穴を2つ中流~上流にかけての左岸で見つけたので、3回目の探索ではそれらが坑口であるかを確かめることを目的に山に入りました。

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これなんて絶対坑口だと思ったのですが・・・

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急な岩場をよじ登ってみると、そこに洞窟はありませんでした。
もう一箇所の穴も同様に、オーバーハングしている岩の影が坑口に見えたのでした。
ガックシ・・・

※2024/02/01 加筆修正:
弥彦鉱山の区域がとうとう判明しました。

弥彦鉱山区域.jpg

出典:採掘権第29号 鉱山名:弥彦鉱山
明治29年長沼三男ほか一名設定、明治40年渡辺藤吉へ譲渡、昭和11年放棄(消滅)

よって、この坑口の位置はこの鉱区に含まれないので弥彦鉱山ではありません。
名無しの鉱山というのもアレなんで、タイトルは修正しませんが。








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