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赤滝銅山を訪ねて [鉱物 (弥彦山周辺・赤滝銅山)]

間瀬銅山の一角をなす赤滝銅山を訪れました。
以下、間瀬郷土史からの引用です。
「間瀬集落から約半里の東南・白瀬川上流鮫ハゲ山地内にある。坑口は滝の横合いにあり、明治二十五、六年頃、吉田氏の経営にかかり、製錬所も設けてやったほどであった。やがて明治の末には山を掘り尽くし、大正に至らずやめてしまった。」

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赤が今回歩いた軌跡です。右上に、間瀬郷土史に記載されている坑道略図を載せました。
この本には他にも間瀬銅山、太刀川銅山、八前銅山の坑道略図が記載されているのですが、はっきり言ってこれらの図、というかイラストは超いい加減。距離感もなにもあったもんじゃありません。
かといって、今となっては埋もれてしまったり完全崩壊した坑道も多く、当時の坑口の正確な位置を掴むのはほとんど不可能。実地調査あるのみ。
今回もっとも感動したのは、最初の坑口を見つけたときでした。

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最後の畑地をすぎ、200mほど歩いたところで突然左手に現れたのです。
間瀬郷土史はおろか、どんな文献にも出てこない謎の坑口。

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内部はご覧のように奥行きがなく、横幅5~6mくらいでしょうか。
天井の高さはかなりあり、身長180cmのぼくでもかがむ必要はなかったです。
もっとも、この坑口は黄銅鉱などを含む鉱石を採掘していたのではなく、間瀬石を切り出していた可能性もあります。
いずれにせよ、坑口らしい坑口はこれしか見つけることができませんでした。

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鉱山道と思わしき踏み跡は明瞭に続いており、歴史を感じさせる人工物がところどころ現れます。

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下流にはこのような石垣もあり、製錬所があったという記述が現実味を帯びてきます。
しかしながら、明瞭だった鉱山道もこの先はヤブが優勢となり、倒木もあちこちで道を塞いでいたりで、先日の八枚沢銅山での沢歩き同様、非常に体力・気力を消耗することになりました。

今回、鉱山名のいわれとなった赤滝をまず目指しました。
例のイラストによると、坑口は赤滝を中心に前後に散らばっているので、赤滝を特定するのが先決。
しかし、いけどもいけども傾斜はゆるく、大きな岩場も一向に現れません。
1時間20分ほど歩いたところで沢は二手に分かれており、最初は右俣へ入ったのですが、どうも滝は出てくる気配がなさそうだったのですぐ引き返し、続いて左俣へ進みました。

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これはくだんの二股分岐点手前で写した写真(ひょっとしたら左俣へ入ってすぐの場所だった可能性もある。記憶があやふや・・・)。
このあたりから大きな岩が間断なく現れてきて、坑口がいつ出てきてもおかしくない雰囲気になってきたのです。
左側の岩の下も、ノミを使った形跡があるようなないような。
右側には黒い穴っぽいものが見えていますが、実は現場ではこれに気づかず、調査していません。
これが坑口だったら少し悔いが残りますね。

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この分岐点には、写真はありませんが小さな堰堤の残骸が残っていました。
ここから左俣の沢は一気に渓相がよくなり、すぐ上の写真の岩場が現れました。
おそらくここは露天掘りの跡でしょう。

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その先すぐに赤滝が現れました。
落差はそれほどではないですが、左右の岩はとても大きく、圧倒的な偉容をたたえてそびえています。
白瀬川についての記録は、釣り師のそれであれ沢屋のそれであれネットではみかけないので、この滝が赤滝である確証はありません。
しかしながら、それまでは滝はひとつしか現れなかったし(黒い岩肌だった)、この異様な赤さ・・・間違いなくこれが赤滝でしょう。

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ここも左右ともに深くえぐれており、特に左側が深かった(この写真)。
ここも100%自然地形であるとは思えません。
おそらく岩を切り出していると思います、右側も同様に。


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でも、岩場の連続はそこまで。
その先はこのような景色が続き、ここでUターンしました。
坂井銅山は当然坑道掘りをしていたと思うのですが、坑口らしい坑口は赤滝周辺ではひとつも見つけることがかないませんでした。
全体に斜面は灌木や草に覆われており、小さい坑口だと沢からはわからない可能性もあります。
体力がかなり尽きかけていたので、その辺の斜面を少しよじ登って探してみたり、といった作業は全くしておりません。

帰宅後、GPSで記録した軌跡を見ると、やはりというか、間瀬本山から伸びている林道終点がこの沢の延長線上にあることを確認しました。
Uターンした地点から林道まで、標高差で100m、直線距離でわずか250~300mほどです。
なので、次回の探索があるとしたら、次は林道終点まで歩き、そこから沢を赤滝までクライムダウンしながら坑口探しをするのが最も楽チンな方法だと思います。
この林道もグーグルアースで見ると、終点まできっちり視認でき、状態はいいものと予想します。
オフロードバイクだったら余裕で走れるかも。

IMG_1855.jpg

おまけ写真。
昭和の空き缶・・・

※20210213追記:2枚めの写真の坑口は、間瀬石の切り出し場跡であると思われます。事業者が同じであるかどうかはわかりませんが、凝灰岩を切り出していた場所であることは確かです。

※2024/02/01追記:
当初、坂井鉱山と赤滝銅山がイコールだと思いこんでいたため、最初は坂井銅山を訪ねてというタイトルにしていました。しかしながら、先日入手した決定な資料(採掘権第707号)により、ここは坂井鉱山の鉱区ではないことが判明。
よって赤滝銅山とタイトルを修正しました。




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