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謎の坑口、謎の鉱物 [鉱物 (村上市)]

偶然、旧山北町で謎の坑口を見つけました。
いろいろ調べたのですが、その場所には、例えば通産省所管の地質調査所が平成11年に発行している村上・地質図にも鉱山マークの記載はないし(休廃止鉱山がたくさん記載されている)、昭和62年発行の新潟県地質図説明書にも記載がありません。
尚、ここは大府鉱山(村上市堀ノ内)ではないので念の為。

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坑道の奥行き30~35m。
入り口は狭い(といっても、背を屈めずに入れる)ですが、中の空間は広く、天井は一番高いところで7~8mはありそうです。
上の写真は最奥部。

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これは天井。
右側にはテラス状となっている部分があり、そこにはハシゴを使わないと侵入できません。
地面には錆びたレンチのようなものや、朽ちた木製のハシゴかなんかの残骸、茶碗やレトロな形のガラス瓶がたくさん入口付近に散乱していました。
上記の地質図によると、このあたりは(笹川流れ全般に見られる)黒雲母花崗岩に隣接して、安山岩溶岩及び火砕岩となっています。
確かに坑道内は安山岩がメインだとは思いますが、複数の地層が混在しているような気が・・・
それにしても、何を採掘していたのでしょう?
少なくとも、亜炭でないことは確か。
笹川流れ山脈(ぼくが命名)では、葡萄鉱山と並び、鍋倉鉱山が最も規模が大きかったようですが、鍋倉では灰重石、鉄マンガン重石などのタングステン鉱石を採掘していました。
近隣の共立鉱山では黄銅鉱やモリブデン鉱石(輝水鉛鉱など)、鷺沢鉱山ではモリブデン鉱石を採掘していたようです。
ざっと壁面を観察してみると、ところどころ半透明なグレーの鉱物が析出しているのが目に付きました。

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ハンマーを持っていなかったので、もろそうな所はないかと片っ端から突起をわしづかみしていたら、運良くベリッとこぶし大より一回り大きな石がベリッと剥がれてくれたのでそれをお持ち帰り。
帰宅後、ルーペでじっくり観察したり、UVライトを当ててみたり・・・

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おお、なんか紫に蛍光している部分があります。

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こちらは反対側。
やはり紫に蛍光している部分がある!
あと、肌色に蛍光しているところや、青白く蛍光しているところ、ピンクに蛍光しているところもある。
今度はもっと近接して撮ってみました。

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同じ質感、色合いの結晶なのに、紫に蛍光する部分とそうでない部分とがあります。
こういう結晶群は初めて見ました。
ただし、蛍光度合いは弱め。
手持ちの石の中では、斜長石がこれと同じ色合いに蛍光します。
ということは斜長石?

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肌色に光っている部分も気になります。
石のあちこちをルーペで観察したり、写真をピクセル等倍で観察した結果、黒い粒子は黒雲母で、ところどころ輝水鉛鉱が混じっているようです。
黄鉄鉱や黄銅鉱は皆無。
長石系は肉眼での判別は難しいものが多いのですが、カリ長石、斜長石、アルカリ長石が見られました。
今度行く時は長波(365nm)のUVライトを持っていって、壁面を照射してみなければ。

補足:調べている過程で、去年から疑問に思っていた謎が一つ解けました。
どうも村上市管内のどこかの鉱山で蛍石が少量ながらも採れていたみたいなのですが、それがどこかわからなかったのです。
その場所がわかりました。
鍋倉鉱山です。
ヤブが思い切り深いようなので、早春といえど現地にたどり着くのは困難かもしれません。
でも、一度は行ってみなければ。




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