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金丸鉱山大切坑ズリに異変あり [鉱物 (関川村・金丸鉱山)]

最近、金丸鉱山に数年間務めていたというKさんと知り合いになりました。
貴重なお話をたくさん聞かせて頂いたので、一般鉱物ファンにとって有意義となる情報を幾つか紹介したいと思います。
まずズリに関してですが、大切坑下のそれは坑内採掘及び山元選鉱で生じたもの。
よりズリの規模が大きい観世音沢のズリは、露天採掘の際に剥いだ表土が主体なので、各種鉱物が拾えるのは大切坑下のズリだそうです。
確かに後者は鉱石の品位が低く、単なる岩石も多いので、この話を聞いて納得。
探すなら大切坑下のズリですね。
というわけで風薫る新緑の5月11日、金丸鉱山へ行ってきました。
直近で訪れたのは2019年の11月ですが、そのときに比べると長石橋前後の林道の状態が悪化していました。
林道が終わって踏み跡に切り替わってからは特に変わったところはなく、ヤブも浅かったのですが、大切坑下のズリに着いて我が目を疑いました。

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なんと、大規模な土砂崩れが起きており、谷の3分の2が埋もれていました。
すぐ右横にある、ここより斜度のきつい斜面はセーフだったのですが、これは悲しい。

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こちらは大切坑ズリの上部です。

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この日の目的の一つに、対岸から露天掘り跡の大斜面の写真を撮るというのがありました。
標高550m前後に位置する広大な露天掘り跡へ山元から通じる道路は、とうにヤブどころか樹木が生い茂っており、そこを歩くのはほとんど苦行。
かといって観世音沢を詰めて行くルートも、(ぼくは2回試したのですが)あと一息というところで斜度がきつくなり、下りのことを考えると懸垂下降用のザイルが必要となり、容易には近づけずあきらめていました。
それならばせめてカメラで現状を写してみたいと思い、より現実的なプランを実行したのです。
大きな砂防堰堤手前の小沢に入り、標高420m地点まで遡行しました。
Kさんが言うには、坑内業員や自分も含め、金丸鉱山で自形結晶の水晶を見た人はいない。
しかしあれだけ大きなヤマなので、どこかにポイント水晶が成長している衛星鉱床がある可能性は否定できないと。
そういった衛星鉱床を素人が探すには、沢沿いをあたってみるしかありません。
ということで、まだ見ぬポイント水晶探しと露天掘り跡の大斜面の写真撮影を兼ね、山元の対岸の小沢を登ってみた次第。

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さて、これが露天掘り跡2021/Mayの最新画像です。
いつかは行ってみたいですね。
ちなみに、沢沿いはところどころ土砂の堆積が厚くなっており、おいしい露頭があったとしても埋まっている可能性が高く、水晶探しは不発に終わりました。
ここで、Kさんが教えてくれた金丸鉱山の鉱物情報をお知らします。

「金丸鉱山の輝水鉛鉱は石英の表面、長石と母岩(花崗岩)の境目に産することが多く、色もやや黒ずんだ感じで、触ると雲母がカサカサとした感じに対して、しっとりとしています。条痕色を見れば一発ですが・・特に長石特有の劈開面には白雲母が発達していました。
水鉛沢の山肌には何ヵ所か輝水鉛鉱の露頭と採掘跡が有りました。ガーネットはかなり小さいのが石英と共生していました。
長石では緑色のアマゾナイトが母岩の細粒黒雲母花崗岩との境目に僅かですが産します。石英は白い塊だけで、自形の所謂「水晶」は全く産しません。
長石を販売するようになると、タングステン、モリブデンは窯業原料としては不純物なので、ずりとして捨てられました。
鉄マンガン重石は山の反対側の長谷沢で多産。」

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この日、ぼくが持ち帰った鉱物は2個で、そのうちの一つがこれ。
Kさんが大切坑下のズリで拾ったというアマゾナイトの写真を見せてもらったのですが、それがあまりにも素晴らしく、似たような鉱石を見つけようと思っていたのです。
そのアマゾナイト(緑色の微斜長石)、カリ長石と細粒黒雲母花崗岩との境目が緑色になったもので、Kさんいわく、金丸型アマゾナイトだそうです。
結局、大切坑下のズリがあんなことになっていたのでチェックできる石の絶対数が少なく、思い描いていた鉱物は見つけることができませんでした。
そんな中でこれは、細粒黒雲母花崗岩の片鱗である黒雲母とカリ長石が合体しているもので、若干緑がかっている部分もあります。
もう一息というところ。



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