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金丸地区のウラン鉱床 [鉱物 (関川村・金丸鉱山)]

1955年11月、花崗岩上に分布する新第三系基底部の礫岩または砂岩中に、日本で初めて堆積型ウラン鉱床が発見されました。
以来次々と国内各地でウラン鉱床の発見が相次いだのですが、新潟山形県境に位置する小国・金丸地区でも195911月、新第三系基底部に数箇所のウラン露頭とその一部に燐灰ウラン石が発見されたのです。
金丸鉱山周辺では動燃により7箇所ほど試錐調査がなされ、文末で紹介する参考文献には3箇所のポイントが記述されています。
すなわち、第一・第二露頭とH露頭。
H露頭が最もウランの濃縮度が高く、昨年あたりから一度はそこへ行ってみたいと思うようになりました。
奇しくも最近知り合った、金丸鉱山で以前働いていらっしゃったKさんから金丸地区のウランについての新たな情報を得、H露頭の場所もわかったので5月11日金丸鉱山大切坑のズリを訪れた後、ここへ立ち寄ってみました。

引用します。
「この露頭(H露頭のこと)の上位のアルコーズ(砂岩)は層状に褐鉄化し、燐灰ウラン石が多量に鉱染している。またこの燐灰ウラン石の鉱染している部分を掘り下げ、新鮮なアルコーズの、特に放射能の強い黒色部分からコフィン石が検出されている。
 露頭付近の精査の結果では鉱床の層厚は約3m、ほぼ東西方向に約30mの間10°内外の南西傾斜で、層状をなして連続している。」
「小国・金丸地域におけるアルコーズ中の層状鉱床のウラン鉱物は、初生鉱物としてコフィン石と、酸化帯に見られる二次鉱物の燐灰ウラン石である。燐灰ウラン石はこれと密接に共生する褐鉄鉱と共に最も新しく晶出したものである。」
「H露頭では放射能異常部は3mの厚さで、特に燐灰ウラン石の濃集部は厚さ20~30cmの層を成している。」

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この沢の先にH露頭があります。

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文献にありますように、露頭は東西約30mの長さがあるのですが、まさにその通りでした。
花崗岩の上に砂岩層があり、その上に3m前後の堆積物が重なっています。
表面を観察すると褐鉄鉱が目立ちますが、素人目には燐灰ウラン石はわかりませんでした。
一応UVライトを持っていったのですが、ほとんど活躍することはなく・・・

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露頭上部。
今から思うと、熊手を持っていけばよかったと反省しています。
20cmくらい掘り起こしたら、或いは燐灰ウラン石が出てきたかも。

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この日のために買ったガイガーカウンター(放射線線量計)で計測すると、この露頭は概ね0.3~0.35の数値を示しました。
金丸鉱山への林道沿いでは0.15~0.18程度なので、やはり線量は高めです。
背景の石は褐鉄鉱。
このガイガーカウンターはあくまで空間の線量を測定するもので、石に近づけて石の発する放射線を測定するという使い方はできません。
安物なので、数値はあくまで参考です。

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H露頭東端部。
この先も50~70mほど沢を遡行しましたが、岩盤も堆積層もなくなり、線量もぐっと下がりました。

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これが褐鉄鉱。
燐灰ウラン石と共生関係にあり、燐灰ウラン石は褐鉄鉱に鉱染(鉱物が母岩中の細かい割れ目や微小な孔に散在していること)していると、文献で言及されている鉱物です。
風化がそれなりに進んでいるためとても脆く、力を加えると簡単に割れます。

IMG_0311.jpg

こちらは裏側。
石英と黒雲母がメインかなと思いますが、ひょっとしら1mm前後のコフィン石も混ざっているかもしれません(希望的観測)。

※参考文献
a:新潟山形両県境小国・金丸地区ウラン鉱床(島津光夫・徳永重元・小関幸治)
b:新潟・山形県境小国・金丸地域の地質とウラン鉱床(門田長夫)





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