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鮫銅山・滝壺の沢鉱区の痕跡 [鉱物 (弥彦山周辺・鮫銅山)]

11日、先日初めて訪れた、弥彦山麓を流れる小沢を再訪しました。
その沢はマンガン方解石がゴロゴロしており、途中二股に分かれているため、今度はもう一方の沢に入ってみました。

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ある程度は予想していたけど、倒木だらけの陰気な感じのする沢でした。
岩の種類などは隣接する沢とほぼ同一だったけど、方解石は全く見当たりませんでした。
そして、20分も歩かないうちに行き止まり。
直登は微妙に難しそうで、ここは左岸を高巻き。
その先も狭いゴルジュ帯が続くようで、水量も少ないのですぐに進退極まることは確実。
なので早々に見切りを付け、前回歩いた尾根一つ隣の沢へ移動しました。
ちょうどこの滝の右手の斜面にかすかな踏み跡が付いており、そこを辿ると隣の沢へ通じていました。

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やはりこちらの沢は面白い。
結局前回引き返した大きな滝の下まで遡行したのですが、体感以上に長い距離を歩いており、直線距離でも1km以上分岐点から歩きました。
上流へ行けば行くほど方解石脈が頻繁に出てくる様子。

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3cm近い厚みのある方解石。

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本日の大物賞。
ワイルドな感じが気に入りました。

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これも厚みが2.5~3cmあります。
切りがないので大物だけ写真を撮り、あとはじっくり転石を観察しながらの沢歩きに集中。

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前回引き返した、倒木の詰まった滝から何とか先に行きたいと思い、改めて周囲の地形を観察。
その先に控える落差20mの大滝を乗り越えるのは無理でも、この滝の全容を見てみたかったのです。
すると、かすかな踏み跡が左手側、10m手前の尾根の先端に付いていることに気づきました。
そこは確かにその周辺で一番斜度がゆるいところで、ここしかないというところにルートが見えたのです。
標高差にして10mくらいでしょうか、急斜面を登りきるとかなり大きな広場に出ました。
30~40cmのヤブや灌木に覆われていますが、何か人工的な要素を感じます。
その広場の端っこから写したのがこの写真。
絶景でした。
今まで見てきた弥彦山系の滝の中では最も豪快です、周囲の地形を含めての印象ですが。

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時系列は前後しますが、この広場に出たときすぐ目に飛び込んできたのがこのドラム缶。
この瞬間、鉱山跡であることを確信。
ドラム缶から5~6m先には、直径8~10cmくらいの黒いパイプ(or 導管?)も地面に半ば埋もれていました。

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広場の下手側から上手側(滝側)を写しています。
黄色で囲んだのがこのドラム缶。
ちなみに右端にはかすかな、本当にかすかな踏み跡が部分的に残っています。

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広場全体、及び沢からこの広場までの斜面の広い範囲にズリが散らばっていました。

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滝の左側(沢の右岸)は、絶壁に近い大きな岩壁となっています。
広場との境目付近、どこに坑口があってもおかしくない雰囲気。
かなり時間をかけて坑口探しをしたのですが、多分土砂で埋もれてしまったのでしょう、わずかな開口部も見つけることはできませんでした。

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大岩壁の一部。
正面に筋のようなものが上下に走っていますが、もしやと思い、帰宅後”ミックンのつぶやき”というHPで「鮫銅山付近」という記事を見てみたら・・・
やはりそうでした。
上の写真は、彼の当該記事で上から3枚目の写真と同じ岩を写しています。
ドラム缶の形も同じですし、ズリの記述、埋もれたと予想される坑口のことなど、ぼくの感想と全面的に一致するのです。

明治34年に書かれた文献によると、鮫銅山は鮫ノ沢と滝壺の沢にそれぞれ鉱脈があったと書かれていますが、4月4日の記事で、現地に立っている看板から滝の川は滝壺の沢のことであり、鮫の沢は滝壺の沢が上流で分岐する左側の沢を指すのではないか、と書きました。
それを訂正したいと思います。
滝の川は鮫ノ沢のことであり、妻戸川が滝壺の沢を指すというのがぼくの見解です。
滝の川上流にも立派な滝は出てきますが、今回見つけたこの大滝の比ではありません。
それにしても、弥彦山系随一の滝がこんな山中に眠っているとは・・・
目指す鉱物が含まれる転石を辿っていくと、坑口にたどり着くことはよくあります。
ぼくの経験でいうと、新発田の千石鉱山と菅谷鉱山がそうでした。
坑口の位置はもちろん、あちこちで分岐している沢のどれが坑口につながる沢なのかわからないまま現地入りしたのですが、坑口に近づくにつれて石英の数が多くなっていったのです。
今回の大滝直下の河原に方解石は見られなかったですが、地質的には全くそれまでの沢筋と同じでした。
いつかこの大滝の上にも行ってみたいです。









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コメント 2

名無し

先日、坑口の情報提供をしたものです。
説明が悪かったのですが、無事に発見できたようで何よりです。

さて、鉱山に関係するのかわかりませんが"ミックンのつぶやき"に掲載の「4本のレール」を見つけたので報告します。

場所は37度41分55.87秒 138度47分43.68秒です。

尾根の鞍部の、南側にレール、北側にコンクリートの土台がありました。
by 名無し (2023-04-22 14:24) 

carlossato

名無し様、今回も貴重な情報ありがとうございます。大変参考になります。つい先日、石友3人を滝壺の沢へ案内してきたばかり。そのポイントの北を流れる沢が滝壺の沢だと思っています。標高200m付近で立派な滝が出てくるので、そう呼んでいます。今回は滝までは行きませんでしたが、沢沿いには坑口や狸掘り跡は出てきません。しかしながら、滝の直下の右岸には錆びたドラム缶が出てきますし、大規模な露天掘り跡が現れます。それにしても、意外な場所にあるんですね。レールまであるのですから、相当大きな坑口がどこかにないと理屈が合わない。西生寺の北を流れる沢へ行ってみないといけませんね。
by carlossato (2023-04-22 19:47) 

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