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驚愕の大沢鉱山 (1) 江戸時代の坑口群 [鉱物 (村上市・大沢鉱山)]

旧山北町(現・村上市)に江戸時代に開坑され、昭和18年まで続いた金山がありました。
大沢金山もしくは大沢鉱山と言います。
ネットで調べてみた限りにおいては、この鉱山の坑口を実際に訪れたのは「ミックンのつぶやき」のサイト主・ミックンただ一人。
歴史や変革についても詳しく書かれており、ご一読をお勧めします。
もう一人、「サルナシの掘り掘り日記」のサルナシ氏も砂金の専門家だけあって詳しく背景が述べられており、とても参考になります。
これらのHP以外では、「日本金山誌」が唯一の情報源でしょうか。
1940年に編纂されたものですが、日本金山誌は今となってはほぼ入手不可能ですから、その場合は国立国会図書館とタイアップしている図書館へ出向き、「大沢鉱山 東京鉱山監督局管内金属鉱山 59-60 小山一郎(1940)」を国立国会図書館デジタルライブラリーから探してみるといいでしょう。
日本金山誌の文章はこれの引用だからです。
4月2日、初めてこの鉱山を訪れたのですが、現地で発見に継ぐ発見であっという間に時間がたってしまい、歩き回れなかった斜面が多々あります。
まだ多少残雪もあったので、あと2週間くらいしたら再訪したいなと考えている次第。

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柴倉山(330.9)の麓までは何度も来たことがあるのですが、大きな沢を挟んでいるため、雪代水の出ている今はできれば渡渉したくありません。
それに長い歴史を有する鉱山なので、鉱山道の名残が山中に残っているかもと、まずは踏み跡がどこかに残っていないかを探しました。
沢にかかる橋を渡ったところで、なんと古い林道が尾根に向かって伸びているのを発見。
その林道はヤブに埋もれていた標識によると、平成4~6年度に作られたもので、全長4.6kmあるらしい。
結局この林道は、もともとあった鉱山道をトレースして造成されたものだと思います。
山の中腹の緩斜面に広大なズリがあると複数の文献やサイトで読んだわけですが、ズリがあると睨んだ場所に向かって林道は伸びていたので、思ったより楽にアプローチできました。

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そして、いよいよ核心部の直下に差し掛かったかなと思った瞬間、大きな石垣が目に飛び込んできました。
左側にも同様に石垣が残っており、ここに何らかの施設があったことは確実ですし、この上部に坑口が控えている可能性が大きいです。
しかし、まずはこの林道がどこまで伸びているか(全長4.6kmはかなり距離が長いですから)の目星を付けたいと思ったので、もう少し林道を歩いてみました。
柴倉山の北斜面から東斜面に向かって、5合目あたりをほとんどアップダウンなく林道は伸びていました。
坑口はもっと上の方にあるはずなので途中から林道を外れ、いざ急斜面の直登開始。

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すぐに広大なズリが現れました。
ちょっと上の方には岩場も見えてきました。
そして、これらの岩場に坑口が密集していたのです。

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坑口はたくさん見つけたので、主なものだけ掲載します。

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内部はほとんどの坑道が3m前後しかなく、江戸時代の坑道だと考えると腑に落ちました。

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坑口は本当にあっちにもこっちにもあり、岩場の多い急斜面を10~20m単位で登ったり降りたり。
かなり体力を消耗しました。
さて、こちらは立坑でした。

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足場が悪く、奥の方をカメラに収めるため、かなり危険な体制で撮影。

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たくさんの土砂が流れ込んでいるようでしたが、それでも迫力十分。
ここは本当に足がすくみました。

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坑口はどれも入り口の表情が同じような感じなので、どれがどこにあったかはもう記憶にありません。

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天井が低い坑道がほとんどだったけど、どこも土砂の流入がそれなりに見られたので、本来はもっと天井が高かったのだろうと思います。

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大沢鉱山付近には草水・小川型花崗岩が広く分布しており、柴倉山の9合目から上は安山岩溶岩。
日本金山誌による記述では、鉱床は花崗岩中の含金銀石英脈であり、広く母岩一体に鉱染した鉱染状の鉱床ということです。
あとで取り上げる露天掘り跡や、ズリ及び坑道内で見かける鉱石はワンパターンで、上の写真の石がその典型。
じっくりズリや坑道の壁面の鉱物を観察する余裕がなかったので、突っ込んだことは言えないのですが、花崗岩は巨晶花崗岩っぽいものもかなり見られたので、ペグマタイト由来の鉱物も探せば見つかるのでは?と思っています。








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