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驚愕の大沢鉱山 (2) 近代の坑口発見 [鉱物 (村上市・大沢鉱山)]

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間口の大きさと奥行きは比例せず、このように短いものが大半でした。

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昨日の記事の坑口群とこれらの坑口はプラスマイナス20mの標高差の間に集中していたのですが、後述するようにここから約200m離れた斜面(標高はほぼ同じ)では3つの坑口を発見。
うち一つは坑道の総延長が少なくとも100m以上あり、昭和10年代に採掘された坑道ではないかと感じました。
大沢鉱山は”大沢金山鉱業株式会社”と”帝国鉱業株式会社”の2つの会社が別な鉱区で稼業したいたらしいので、200m離れた場所でそれぞれ坑口が集中していることを考え合わせると納得できます。

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一旦江戸時代エリア?の斜面から下の平坦な林に降り(行きで使った林道よりは上の斜面)、急斜面の取り付き部を横目でにらみながら西方向へとトラバース。
断続的にズリが現れ、ヤブも薄いことから採掘範囲は結構広範囲だったことが伺えます。
そして、上の写真の広場が現れました。
直感的に、これは飯場跡だと思いました。

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このあたりから再び上へ上へと登っていくと、久々に坑口出現。
間口は特に大きいということはないのですが、中へ入ってみるとそれまでのどの坑口より広さがありました。

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なんと、入ってすぐ坑道は3方向に分岐していたのです。
こちらは右側の坑道。

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こちらは真ん中の坑道。

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こちらは左側の坑道。
いずれの坑道も横幅や高さは酷似しており、左側の坑道以外は途中から15~20cmほど冠水しているのが共通点。

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冠水していない左側の坑道を歩いてみました。
ここが終点なのですが、ここまで約50mもありました。
日本金山誌に書いてあるように、粘土質石英脈を追って掘り進んだのでしょう。

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こちらは真ん中の坑道奥。
なんとなく行き止まりのようにも見えますが、カメラを構えている場所から30mくらいの距離があるので、行ってみないとわからないです。

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こちらは右側の坑道奥。
2m先から冠水しており、水深がかなり深そうなのでこちらも入り口から写真を撮るだけ。
坑道は左側へカーブしており、まだまだ続いていそうな雰囲気。

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部分的に支保工も残っていました。
日本金山誌には1号坑から11号坑までの存在が謳われており、さらには排水坑と新坑についても触れているのです。
一番長いのは1号坑でヒ押180m、2号坑は延長100mあるとのこと。
1号坑と7号坑は同じ鉱脈を稼行しており、同様に2号坑と11号坑も同じ鉱脈を稼行している。
また、1号坑には坑内に立坑がある。
日本金山誌からの記述をまとめるとこんな感じになるのですが、果たしてこの坑口は何号坑に当たるのでしょうか?
日本金山誌の当該ページには昭和16~17年にかけての、大沢鉱山の生産量を記した表が乗っているので、日本金山誌における大沢鉱山について書かれた文章は閉山間際の近代の様相を示していると考えられます。
江戸時代に栄えた金山のイメージが強い大沢鉱山ですが、実証するデータは少ないものの、昭和に入ってからの一時期隆盛を極めた鉱山だったようです。

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最初に訪れた江戸時代の坑口が集中している斜面と違い、こちらの斜面の坑口は近代の坑道の雰囲気が漂っています。
その周辺で別な2つの坑口(どちらも小さかったけど)を見つけたのですが、そろそろタイムアップだったので下山開始。
そして、この露天掘り跡に出くわしました。
日本金山誌からの抜粋です。
「・・・大沢金山は益坑上部を露天掘りにより採掘し、日本産金振興㈱日頃市製錬所(岩手県)に売鉱した。」
これがその露天掘り跡なのでしょうか?

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斜面の下には大量のズリ鉱石が散乱しており、その奥の谷間にはまだ残雪がありました。
この残雪の下にも坑口がありそうな雰囲気なので、2週間くらいしたらもう一度来てみたい。
日本金山誌に書かれている1号坑から11号坑までの坑口群は、江戸時代の坑口がたくさん見られた斜面ではなく、こちら側の斜面に存在するのではないかと考えています。
3方向に分岐する坑道を有する坑口の探検で時間を食ってしまったので、こちら側(西側)の斜面はほんのわずかしか歩いておりません。
また、日本金山誌に大沢金山跡を記した簡単な地図が載っているのですが、それによるともう一つ西側の尾根沿いにあることになります。
ただ、日本金山誌の、鉱山跡を記した地図は間違いが多いことで有名なので信憑性は低いですが、隣の尾根も探索してみる価値はありそうです。

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全体的に樹木に覆われており、道路から双眼鏡で覗いても坑口は一切視認できません。
登ってみると、坑口が集中している斜面はヤブが薄くて見通しがよく、ズリも広範囲に分布しており、驚きの連続でした。






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