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広谷鉱山探訪記 (1)マラカイト化しつつある露頭 [鉱物 (阿賀町・広谷鉱山)]

阿賀町の三大鉱山と言えば、三川鉱山、持倉鉱山、草倉銅山の3つ。
そのうちの草倉銅山の支山として明治~大正時代に栄えたのが広谷鉱山です。
この鉱山に興味を持ったのは次の理由から。

①文献Aに「製錬所を広谷川と室谷川の合流点の南方・白岩に新設するなどし、一時相当な経営を行っている。」と書かれており、それなら相当大きな坑口が控えているのでは?
②広谷川源流からアプローチする、ロッククライマー垂涎のルートの一つである水晶尾根コースは、文字通り2cm前後のチビ水晶が岩のクラックにびっしり生えていることでも知られている。それならば、そこまで奥へ行かなくてもチビ水晶を含む石がズリや河原の転石で見られるかもしれない。
③鉱山跡を示す標柱の建っている場所まで、林道終点から20分前後で来ることができ、比較的アプローチ至便。
④文献Bによると火薬の使用も書かれており、完全閉山が昭和19~24年頃なので、やはり大きな坑口の存在は疑いようがない。

残念ながら坑口の位置を示す図面はどうしても見つけることができなかったし、鉱山跡の場所でさえある文献に図示されている場所と、地質図NAVIの地質図に示されている場所では違いがあったりと不安要素は多かったのですが、まずは現地へ行ってみなければ。

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御神楽岳の山開きは6月上旬なので、林道が整備されているか不安だったのですが、ノープロブレムでした。
思ったより道幅もあり、走りやすかったです。
ただし、終点手前100~150m付近で大きく道路がえぐれている箇所があり、そこは神経を使ったけど。
歩き初めてすぐ、右側に急峻な岩場が出てきます。
昔はもっと奥まで車で入れたそうですが、斜面の崩落により今は歩くのがやっとの道幅。
一箇所だけ路肩が消失していて、いったん3~4m下へ登り下りしないといけない悪場も出てきましたが、取りあえずは問題なく”鉱山跡”を示す標柱が立つ広場まで歩いていけました。

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林道終点からおよそ500mのところで、まず広場が出てきます。
ここには特に案内板は立っておらず、目指す広場ではありません。
しかしながらこの広場に鉱山関係の施設があったことは間違いないでしょう。
イエローがかった茶色に変色している部分はズリでした。
実はあとでここより4倍くらい広い、鉱山跡の本丸的広場を発見したのですが、そちらにはズリは一切ありませんでした。

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15cmくらいの鉱石です。
水晶と黄銅鉱、そして黄鉄鉱も多分見られます。

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金属質な部分のピクセル等倍画像。

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スタート地点から約900m、3基の慰霊碑の並ぶ例の広場へ到着。
この慰霊碑の写真は多くの方がネットにアップしているので、すぐわかりました。
右側に白い標柱が倒れていますが、そのうちの1本に”御神楽岳登山道鉱山跡”と書かれているのです。
しかし、この広場には鉱山関連施設の存在を忍ばせるものは皆無。
先を急ぎます。

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下調べして困ったのは、鉱山の位置を示す図面が資料によってまちまちだった点。
文献Aでは広谷川の支流をちょっと入ったところになっているし、地質図では広谷川の右岸になっている。
そもそも駐車場から歩いてきた登山道はひたすら川から20mほど上がった河岸段丘に付けられており、斜度も非常に急なので河原に降りるのは容易ではありません。
なので、まずは支流を探索してみることに。
この沢を標高差にして90mほど遡行しました。

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分岐のところで枝沢の方に直感が働いたのでちょっと登ってみると、出し抜けにピンクのテープが出てきました。
ピンクのテープはこの20m先でも出てきたので期待が高まったけど、結局何も現れず。
途中から傾斜もヤブも強烈になってきたので引き返し、分岐から左の沢を歩きました。

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その沢もこの滝で行き止まりとなり、ここでUターン。
高巻きする踏み跡が全く見られなかったので、採掘区はこの先にはないと判断。

IMG_0080.jpg

しかし、この滝壺の右端に孔雀石(もしくは珪孔雀石)の露頭がありました。
これは見事。

IMG_0082.jpg

ピクセル等倍画像。
指でこすっても手袋に全く色は移らなかったし、硬かったので苔ではありません。
広谷鉱山は銅メインに採掘していたので、銅鉱床のサインであるこのような銅の二次鉱物が出てきても不思議ではありません。
ちょっと感動。



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