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板屋越鉱床の探索 [鉱物 (村上市・板屋越鉱山)]

新潟県地質図説明書(S52)いわく、「新潟県内のタングステン・モリブデン鉱床は大部分白亜紀花崗岩中のペグマタイト~気成鉱床で岩船地方に多く、その他、日出谷、日本平地区にわずかにみられる。岩船地方には鍋倉、塩野町、金丸等の鉱山が知られるが、量的には問題にならない。」
塩野町鉱山はすでに記事にしてありますが、距離的にも近く、資料によっては塩野町鉱山の一部としても扱われている板屋越鉱床の坑口も見つけてみたいと以前から思っていました。
この3年の間3回訪れているのですが、まだ採掘エリアの発見には至っておりません。
先週と今日とでまだ探索していなかったエリアをくまなく探索し終えたのですが、一定の成果はあったので記事にしてみようと思います。
板屋越鉱床について言及しているのは、”羽越地域の花崗岩類と鉱化作用”(地質調査所月報 第34巻第1号、1983)です。
引用します。
「塩野町鉱床の南方、板屋越の西方、早稲田字番山の板屋越鉱床は、細粒優白色花崗岩中のN40°E、45°Nの石英脈3条から成る。延長数十メートルのひ押坑道が10箇所で掘進された。脈幅15cm±、少量の鉄マンガン重石を伴い、盤際変質に若干の珪化がみられる。」

itayagoshikoushou.jpg

場所については、ネットでも見られるこの地質図が参考になります。
鉱床について記載された元の図の縮尺が1/20万なのでかなり大雑把ですし、場所によってはかなりズレもあるのであくまで概念図ということで。
ひ押坑道が10箇所ということは、坑道の数だけカウントすると塩野町鉱山より多いです。
ただ、塩野町鉱山の坑口も既に崩落しているため、こちらの坑口もちゃんと残っている可能性は少ないと予想されましたが、結果としてその通りになりました。

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前喝の地質図の表示をそのまま受け止めると、最も怪しい地点がこの沢を少し入った辺りになります。
ところが、ここよりやや手前の小沢もそうだったように、地形図に載っていない堰堤が現れ、行く手を拒みました。
大高巻きをするのはいやなのでこの沢はスルー。
10箇所で掘進ということですから、あちこちで採掘を行っていたと考えるのが自然なので、怪しそうだった別な地形へと歩を進めました。

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前回見つけた踏み跡を辿っていくと、標高160m付近で急に視界が開け、割りとオープンな地形に出ました。
8月の豪雨のせいか、一面に土砂が流入していますが、ズリっぽい雰囲気もあり、この奥だと直感。

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そして崖崩れ跡かもしれないのだけど、坑口があったと思われる地形に出たのです。

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この河原で見つけた石英。
よく見ると、あちこちに黄鉄鉱の細粒が付いています。

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こちらは典型的な、いわゆる岩船花崗岩。
つまり、カリウム長石を斑晶状に含む粗粒黒雲母花崗岩ということです。
板屋越鉱床ではタングステン鉱物を採掘していたので、鉄マンガン重石や灰重石を見つけてみたかったけど、そういった鉱石は見かけませんでした。
それだけが心残り。

IMG_0024.jpg

そしてもう一登りすると、ここだ!と思われる地形に遭遇。
おそらく坑口は完全に埋没しているのだと思います。
8月の豪雨の後にではなく、もっと以前から。
周辺はかなり荒々しい地形になっており、唐突に空気感が変わるので、その変化を体感できるのが鉱山跡探しの醍醐味でもあります。







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