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大沢鉱山、その後の発見 [鉱物 (村上市・大沢鉱山)]

つい先日、図書館で大沢鉱山(村上市)について書かれた新たな文献に出会いました。
小菅徹也「金銀山史の研究」(高志書院)がそれ。
大沢鉱山や、近くの大毎金山に関しては最も詳しく書かれていると思います。
一部引用します。
「目下判明せる鉱床にして稼行中のものは益坑ヒなり。益坑ヒは当地区の西部にある石英鉱脈の一号ヒを中心とし、周囲に多数の平行脈が集まり、この総幅員約三十乃至五十メートルに及び、一大鉱染鉱脈にして走向北三十度にし、傾斜六十五度西をもって当鉱山の三角点を横断し、走向の既知延長四百十メートルなり。目下主として三角点より北部を稼行中なれども、三角点より南部方面に無名の旧坑多数存在し、二グラム乃至六グラム程度の旧ズリ数万トンに及ぶ状況より推察し、往時盛んに稼行せられたものと思考せられる。・・・」

益坑ヒの名前は他の文献にも出てきます。
「金銀山史の研究」では、大沢金山について「大沢金山の主坑である益坑ヒはトン当たり二十~八十グラムの高品位のところもあったが、『日本鉱山誌』によれば、昭和十六年度の三千八百トンの出鉱量の品位はトン当たり金四.七グラム、銀七.三グラムとなっている。」
このように主坑であると述べられているので、益坑ヒを特定することが何より大事。
しかし、いくつかの矛盾点もあり、とにかく現地へ行き、少しでも多く斜面を駆けずり回る意外に方法はありません。
というわけで、21日改めて大沢鉱山を訪れた次第。

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鉱区と平行して伸びている林道より、下の谷間2箇所をまず探索。
途中鉱山のものと思わしき錆びたワイヤーが出てきたので周辺部を丹念に探すも、坑口は見つからず。
後でもっと上の方で、これと類似のワイヤーを見つけたのですが、やはり周辺にこのワイヤーの用途を匂わせる何かを見つけることはできませんでした。

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林道より下のレベルで何も見つからなければ、前回見つけた石垣から上部へ踏み跡がないか探し、もしあればそれを辿ってみる作戦でした。
そして、下の斜面からこの石垣へ向かって登っていくと、なんとまたまた石垣に遭遇。
規模も前回のそれとほぼ同じ。
石垣の摩耗度、風化度から判断すると、江戸時代のものだと思うのですがどうでしょう?
やはりというか、ここから上部斜面に向かってうっすらと踏み跡があり、それを辿っていくと前回の石垣へ出たのでした。
そこまでの区間もひたすら大きめのズリがごろごろしている斜面で、坑口がいつ現れてもおかしくなかったのですが、現れず。
ただし、周辺で埋没してしまったのかもしれない坑口跡を2箇所見つけましたが、確信度は20%にすぎません。

IMG_2960.jpg

石垣から東の方にうっすらと伸びている新たな道の痕跡を辿っていくと、右手に怪しい地形が見えてきたのでひと登り。
そして坑口発見!
なんと、3つの坑口が集まっています。
スケールが予想以上に大きく、まさに圧巻。
今まで見つけた中で、最も東に位置する坑口になります。

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まずは最も大きな、一番下の坑口へ入ってみました。
内部は複雑な構造で、それぞれの坑道は短いものの、手当たり次第掘ったという感じ。

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左側の坑道の終点(といっても全長3mくらいですが)。

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二段になっている中央上部の坑道奥。

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右側の坑道。
水没しているけど、ひょっとしたら立坑の可能性もあります。
坑口からちょっと入ったところからでは見通せない部分もあり、坑道の全容は掴めませんでした。

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一旦坑口を出て、今度は上部の坑口へ。
ところが、写真からはわかりませんが坑口の正面に立つことが物理的に厳しいので、側面から。

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左側はすぐ閉塞。
右側は奥があるように見えましたが、高さが低く、この先に進むのは匍匐前進必須です。

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こちらは右側の坑口。
狸掘り跡のように見えますが、なだれ込んでいる土砂が左側にあったであろう坑口を覆い隠してしまった可能性も捨てきれません。
益坑跡はわからなかったけど、前回見つけた石垣奥がやはり怪しい。
あそこだと”南部方面に無名の旧坑多数存在し・・・”という金銀山史の研究で述べられている特徴と一致しますから。
この文献で書かれている”三角点”とは柴倉山の三等三角点を指すのではなく、前後の文脈からすると、どうも複数走っている鉱脈の中心を指しているように思うのです。
次回行くことがあれば、まだ探索したことのない柴倉山九合目まで登ってみたいです。










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