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海岸部の捨て石地帯は鉱物観察に最適 [鉱物(新潟市中央区)]

最近10日間で、新潟市の海岸を中心に6回、それぞれ1時間程度なのですが石活してきました。
狙いは縦堤の基部に見られる捨て石地帯。
そこで使われている捨て石は、おそらくは中国から輸入されたものなので、国内ではあまり見られない産状の鉱物が見られることが多いのです。

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一番きれいだなと思った鉱物がコレ。
はっきり言ってよくわかりません。色合いだけだったら柘榴石に似ているけど、結晶の形が違うような・・・
苦土電気石のような気もしますが。

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捨て石地帯の特定の場所では、ほとんどが花崗岩で占められている一角があり、その花崗岩は例外なくペグマタイトなので本当に見ていて興奮を禁じえません。
下越地方でいえば、五頭山麓には花崗岩の真砂土を採取していたり、石材加工用に花崗岩を切り出している採石場が何箇所もありますが、五頭の花崗岩は晶洞やクラックが生じにくいため、このように複数の鉱物が混ざり合っている光景はほとんど見られません。

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こちらは鉄電気石でしょうか。
長さ10cmほどあります。
黒い鉱物は他にも鉄雲母や普通角閃石も見られますが、時に区別が困難です。

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こちらは多分緑簾石の結晶だと思います。
7~8cmくらいあります。
ガラス質の光沢がグッと来ます。

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その下にも青っぽい鉱物が見られるのですが、これはさすがにわかりません。
ぱっと見、アパタイトに似ているのですが、違うだろうな。

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これらペグマタイト地帯では、まるでカーネリアンのような紅色の透明な結晶もたまに見受けられます。
よく探せばジルコンも過去には目撃しているのだけど、今回は見つけることができませんでした。

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そして、ある場所には大きな珪岩が密集していたりします。
構成物は、石英、方解石、珪灰石が主体。
個体差が大きいのですが、ピンクや水色、黄色など複雑な蛍光を見せる石も多く、過去記事でも新潟市の海岸で拾ったそういった石の蛍光写真を載せたことがあります。
今回も重さ2.6kgほどの石を一個持ち帰り、夜蛍光実験をしてみたのだけど、あまり蛍光しませんでした。
それならばと石を2つに割って、破断面にUVライトを当ててみたのですが、劇的に変わりました。

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濃い黄色に蛍光するようになりました。
珪灰石は短波でこのような黄色に蛍光しますが、365nmの長波でも、モノによっては短波の蛍光と同じような色合いに蛍光を見せる石があります。
基本的に、ここの珪岩はわりと珪灰石の占める部分が多いので、新鮮な断面が現れたがゆえの鮮やかな蛍光現象と言えるでしょう。



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珪灰石の魅力 [鉱物(新潟市中央区)]

9日、おそらく今日が最後の夏日になるのでは?
新潟市の日和山海岸でゆく夏を惜しみつつ、汗だくになりながら石友3人と捨て石地帯を探索してみました。

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昔と違ってもう良品は出そうにないのだけど、飴色をした方解石の大きな岩がゴロゴロしている場所を発見。
それを知人が4分割してくれ、うち1個をもらいました。
それがこの石。

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この手の方解石を産する場所は下越に複数箇所ありますが、どれもこのように強蛍光します。
うっかりするとすぐ白飛びしてしまうので、やや暗めに撮りました。

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2年ぶりくらいに訪れた場所なのだけど、特に成果はなし。
しかしながら、唯一持ち帰った写真の珪岩(質量2.7kg)がユニークな蛍光を示してくれました。

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右側の部分が赤っぽいピンクとオレンジに蛍光しているのです。

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別角度からアップで撮り直し。
赤っぽい蛍光はマンガン方解石はじめいくつか候補があり、特に珍しくはないのだけど、これだけ広い範囲が濃いオレンジ色に発色した石は初めて見ました。

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この石の反対側です。
イエローに近い茶色に発色している部分が珪灰石。
あとの青白い蛍光は疑似蛍光が多いと思うのですが、詳細は不明。

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レンズを近づけてみました。
短波(260~275nm)のライトでしたら、もっと記憶色にあるイエローそのものに発色するはず。

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ついでに、3年前にこの場所で拾ってきた珪灰石にも改めて365nmのUVライトを照射してみました。
ピンクの部分はマンガン方解石です。
この石の珪灰石部分は、今日持ち帰った石よりイエローっぽく発色するようです。




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犬牙状方解石を愛でる [鉱物 (村上市)]

県北の磯の一角に、犬牙状方解石を多産するエリアがあります。
9月1日、2年ぶりくらいに犬牙状方解石を探しに行ってきました。

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波が非常に荒く、あと少しで一発大波を被るところでした。
危ない危ない。

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水晶は混じっていないと思います。全部方解石の結晶です。

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なぜこの岩場にだけ、こんなに犬牙状の立派な方解石が自生するのかフシギ・・・
長さは1~2cmが主体ですが、大きいものになると3~4cmの結晶も見られます。

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右横にも、この下側にもビッシリと方解石が付いていました。

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奥の結晶は4cmクラス。

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水晶はおろか、石英でさえもほとんど見かけないのですが、この日は運良く手の平サイズの水晶クラスターを2つ見つけることができました。
結晶の輝きが非常に強く、例えて言うなら下越の他の産地の水晶クラスターより、こちらの水晶はモース硬度がワンランク上に思えるような、そんなイメージ。

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この場所で初めて孔雀石を発見。
他にも3つほど見つけました、どれも並品ですが。

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この産地の方解石は例外なく表面が汚れているものばかり。
アルカリ性の洗浄液に漬けたらどの程度汚れが落ちてくれるだろう?
ぜひ実験してみたいところですが、母岩がどれも鬼のように固く、1kg未満のハンマーではまったくもって役不足。
ということで、今年も見るだけに留めました。



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新潟市の海岸にトルマリンはあるのか? [鉱物(新潟市中央区)]

先日、初めて鉄電気石(=トルマリン)の針状結晶を発見しました(8月27日の記事参照)。
鉄電気石(以下、トルマリンと明記)は珪酸塩鉱物の一種で、柱状結晶の柱面に条線が発達するのが特徴。
花崗岩質ペグマタイトに産出するので、ならば下越の他のペグマタイト地帯でも見られるのではないかと思い、かつて足繁く通い詰めた新潟市の海岸へ2年ぶりに出かけてみました。

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この80~90cmほどの花崗岩に、ところどころトルマリンが生じていました。

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いずれもトリミングあり。
特に3枚目の写真は柱面が確認できるので、大変貴重だと思います。
トルマリンは好きな石で、我が家にも総重量2kgに及ぶ多数のブラックトルマリンの原石があり、うち1kgほどを洗濯用ネットに入れ、風呂用に使っていたり。
話がそれますが、会津美里町のどこかの立ち寄り湯の湯船に一抱えもある巨大なトルマリンの原石が沈められています。
そのお湯の感触が気にいったので、以来我が家のお風呂にもしょっちゅうトルマリン風呂での入浴を楽しんでいる次第。

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さて、こちらは同じ場所(同じ岩ではない)での緑簾石。
トルマリン同様、珪酸塩鉱物である緑簾石は、下越では花崗岩ないしはペグマタイト質花崗岩でごく一般的に見られる鉱物です。
しかし、この護岸地帯におけるそれは一回り大きい結晶が多く、見ごたえがあります。

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多数の捨て石が敷かれている護岸地帯、及び縦堤の基部に置かれている花崗岩地帯を探すと、かなりの確率でこれらの鉱物にお目にかかることができるでしょう。
しかし、おそらくはこれらの花崗岩は国産ではなく中国産です。
別にどこ産でもいいのですが、産地不詳のままだと価値が半減するので、個人的にはそこが引っかかります。



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