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初冬の間瀬銅山 [鉱物 (弥彦山周辺・間瀬銅山)]

最近、間瀬銅山について書かれた新たな文献を見つけました。
『間瀬銅山の鉱脈につきての観察大略』曾我俊二郎。
残念ながら地図やイラストは一切載っていないのですが、岩室村史の資料より多くの鉱脈について論述されています。
いつ頃書かれた文献かは不明ながら、太刀川鉱山や坂井銅山についての言及が一切ありません。
なので、明治末か大正初期に書かれたものでは?と推察する次第。
さてこの文献によると、間瀬銅山の鉱区は、間瀬銅山事務所周辺、鮫ノ沢の区域、鉢前沢の区域、の三箇所に分類されるとあります。
そして、主な鉱床として次のものが取り上げられています。

①横樋、②銀棒樋、③脂(やに)樋、④大樋、⑤前樋、⑥本樋、⑦奥樋、⑧八号樋、⑨鮫ノ樋、⑩滝壺ノ樋、⑪鉢前卯酉樋、⑫鉢前本樋、⑬鉢前脂樋、⑭間沢のナバタケの樋、⑮間沢子牛樋、⑯トチノ木沢の樋

実にたくさんあるんですね!
それぞれの樋についておおまかな位置関係が延べられているのですが、思い切り文語体で書かれているのに加え、イマイチ舌足らずな説明なので、やはり図で示してもらわないとさっぱりワカラナイというのが本音。
他には、鉱脈の種類についても延べられています。
曰く、鉱脈の種類は鉢前の脂樋を除けば、方解石を脈石とする黄銅鉱の脈であるとのこと。
これらの鉱脈中に普通に生じる鉱物は、方解石、石英、黄銅鉱、黄鉄鉱、方鉛鉱などだそうです。
この他、菱鉄鉱や紫水晶も産す、とあります。
ここでも紫水晶の名前が出てきました。
前後の文脈から判断すると、特定の場所ではなく、広くこれらの区域で少量採れたと解釈するのが自然なような気がします。
さて、冬将軍がやってくる前にどうしてももう一度行っておきたかった間瀬銅山へ14日、行ってきました。
前回初めて坑道を探検した際、主坑道の最奥部で方解石の脈を見つけたので、そこを詳しく調べてみるのが目的。
あと、余裕があれば、まだほとんど行ったことのない枝坑道も見てみたいなと。

IMG_4450.jpg

そもそも最初道を間違えて、枝坑道へ迷い込んでしまいました。
結果、計2本の枝坑道へ終点まで行ってみたのですが、いずれも長さは60~80m未満と比較的短く、表面をざっと観察した限りでは特にみるべき鉱物はありませんでした。
うち1本はやたら下層エリアへの竪坑が出てきて緊張しましたが、ずっと壁は胆礬と思われる青い鉱物に彩られていたので、視覚的には楽しめました。
でも、鉱物的に見るべきものが多かったのはやはり主坑道の奥(上の写真)でした。
この辺から緑泥石が頁岩に混じって出てくるのですが、壁面に現れる鉱物も胆礬から霰石(アラゴナイト)が主となり、地面に転がっているズリ石は一気に増し、見るからにマラカイトと思われる銅の二次鉱物が増えてきます。

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これはアラゴナイト。
厚みのある結晶はありませんし、カラフルなそれもほとんどないですが、個人的にはアラゴナイトを過大評価?しているので心が踊りました。

IMG_4458.jpg

こちらは壁面に発達中の、白のアラゴナイト。
持ってきたUVライトを当てると、神秘的な光を放ってくれました。

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今回、お目当てだった方解石のそこそこ大きな自形結晶は見つけることができなかったものの、方解石とアラゴナイトが共生した形の可愛らしいクラスターを発見。

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これが蛍光写真。
ピンクの部分が方解石です。

IMG_4463.jpg

その近くにあった、竪坑内部を激写。
正面に見えるのは木製の階段です。
斜度は70~80度くらいでしょうか。
命綱がないと降りていくのは不可能でしょう。

IMG_4481.jpg

ぼくはいつも沢を遡行せず、最初から前半は右岸、後半は左岸に付けられている鉱山道を歩くのですが、今回その中間地点の右岸側の斜面上部で露天掘り跡を見つけました。
鉱山道から標高差で15~20mくらいあるでしょう。
斜面は急で、補助ロープなしだと下降に苦労すると思います。
露天掘り跡は結構たくさんあるのですが、そのほとんどは左岸の斜面に存在します。
帰りにこの露天掘り跡の入り口までよじ登ってみたのですが、右側の暗い洞窟らしいところも坑口が待ち構えているわけではなく、奥行3mくらいの露天掘り跡でした。

IMG_4477.jpg

雰囲気的にまだまだ掘れば有用鉱物が出てきそう。
特に、個人的に目を付けている脈石として一般的に産する方解石が採れそうな気がします。
左側のテラス状の地面にもきれいな鉱物が転がっていそうだし、露天掘り跡を徹底的に探るのも面白いかもしれません。
ここに限らず、どの現場も斜度が急なので、そこだけは気をつける必要がありますが。

※4月4日追記:
ぼくが今まで八号坑と思いこんでいた坑口が万才坑である可能性が高いです。
詳しくは2022年4月4日の記事参照。




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