SSブログ

草倉銅山大川前坑口を探して [鉱物 (阿賀町・草倉銅山)]

旧鹿瀬町に草倉銅山があります。
明治8年(1875)の開山で、明治37年(1904)には古河鉱業の経営となり、大正9年(1920)の閉山。
主な鉱脈は4つあり、草倉、舟内沢、滑滝、東山の4条の鉱脈が知られています。
明治時代前半は、草倉銅山、舟内沢銅山、滑滝銅山(=品ヶ谷銅山)、そして大川前銅山(=大川端銅山)が個別に操業していたのですが、古河財閥傘下になると全てまとめて草倉銅山と称したようです。
昨年までに草倉鉱区と舟内沢鉱区、及び東山鉱区の探索は概ね終了し、20個前後の坑口を発見しました。
残すは滑滝鉱区と大川前鉱区のみ。
9日は、よりアプローチしやすそうな大川前鉱区の坑口を探しに行ってきた次第。

IMG_4354.jpg

ぼくが参照している地図は、明治時代に作図されたものとしては珍しく10m単位で等高線が描かれているもの。
従って、より時代が下がってから発展してきた三川鉱山や間瀬銅山のデフォルメされまくりの絵地図(もしくは地質図)よりはるかに場所の推測がしやすいのです。
探索開始から1時間、おそらくここに開口していたに間違いないと思われる地形を発見。それがこの写真。
予兆はありました。
いよいよ坑口がいつ現れてもおかしくないと思われる標高に差し掛かった時、かなりはっきりした踏み跡を見つけたのです(次の写真)。
そこを辿っていくとこの岩場の左端に出ました。
完全に埋もれていますが、位置的にもここで間違いないのではないかと(確信度70%ぐらい)。

IMG_4369.jpg

ジグザグに踏み跡を追って斜面を登っていくと、急斜面に差し掛かったところで不明瞭になり、2つか3つに分岐しているように見えました。
帰り際、別な分岐を進んでいくと、これまた大きな岩壁の中心部へ出ました。

IMG_4390.jpg

残念ながらこの岩場の周辺には坑口は見当たらなかったけど、この壁の付け根に沿って、踏み跡はさらに奥へ伸びているようでした。

IMG_4394.jpg

左端がその踏み跡っぽい地形。
あとで地形図と重ね合わせてみると、どうも滑滝銅山の右端の坑口(=品ヶ谷銅山)へ続いているように思われました。
今はまだ雪が部分的にたくさんあるので縦横無尽に歩き回るのは危険。
なので、春になったら一度このルートをトレースしてみるつもりです。

IMG_4365.jpg

ところで大川前鉱区と思われる斜面ですが、あちこちにそれほど古くはない黄色やピンクのビニールテープが枝にぶら下がっていました。
岩には赤ペンキで番号も書かれています。
この日は坑口があったと思われる地形のさらに上の方まで登ってみたのですが、思いきり上の方に落石防護柵が競ってされているのが目に入りました。
あれらのテープは、それを設置するための調査で目印代わりに付けたものかもしれません。
それにしても、あそこって70度くらいの斜度があるんです。
どうやってよじ登ったんだろう?

IMG_4359.jpg

気になる地形や分岐の探索を終え、再び最も怪しい地形に差し掛かったらやはりここだと思いました。
どの角度から見ても怪しい。
ぼくが持っている資料によると、大川前鉱区には2つの坑口があることになっています。
もっと下の方には大切三番坑があるはずなのですが、そこは標高からすると道路のすぐ上なので、道路工事や治山治水工事に伴い、完全に破壊されたものと思われます。

IMG_4334.jpg

さて、こちらは角神不動滝の”二の滝”。
滑滝鉱区はここより200mほど上流にある滑滝周辺がそれだったわけですが、林道からは遠いし、もちろん周辺に登山道などもありません。
不動滝から高巻きして上流へ行けそうかを確かめるのも今回の目的だったのですが、左岸をなんとか高巻けそうです。
しかしながら、この沢を遡行した沢屋さんの手記によると右岸を巻き気味に登ったそうなのですが、そのルートはぼくには無理であることも確認。
やはり左岸を高巻くしかない。

IMG_4342.jpg

多分今回を含めるともう5回くらい訪れている不動滝の二の滝なのだけど、初めて不動明王が滝壺近くに祀られていることに気づきました。
なんかオーラが出ています。
しかも、岩盤をくり抜いて彫っていますよ。
これは必見。

IMG_4324.jpg

下流の河原もざっとチェック。
鉱山のあった上流から流れてきたものであろう鉱石が見つかることがあるからです。

IMG_4328.jpg

今回はこのような茶碗の破片を多数(7個くらい)見つけました。
不動沢の上流にあった舟内沢鉱区の飯場跡、及びその近くの河原からは昨年同じような茶碗の破片をたくさん見つけていますが、同じ時代のものだと思います。
こんな下流部まで流されてきているんですね。
その区間、滝はあれど堰堤はないですから。
これと行った鉱物は見つからなかったけど大満足です。







共通テーマ:趣味・カルチャー